漢字を読めるが、漢字を書けないという子どもたちが、病院小児科に相談に見えます。
大きく分けて、原因は4つあります。
1つ目は、漢字を「分解と合成」していない、視覚的な問題です。
2つ目は、分解と合成を「言葉で記憶する」、記憶力の問題です。
3つ目は、漢字の意味を言うことで、似ている漢字を分けていく、説明力の問題です。
4つ目は、記憶した言葉の通りに、美しい「線分の再現」ができるか、手指の協調運動の問題です。
今回は1つ目「漢字の分解と合成」と、2つ目「漢字は言葉で記憶する」を、詳しく見ていきましょう。
ひらがなとカタカナを覚える
小学1年生ではひらがなを習い、カタカナを習います。
ひらがなは漢字から生まれ、カタカナはひらがなの一部分です。
例えば、カタカナの「ナ」は、ひらがなの「な」の一部分です。
機関車トーマスやポケモンのキャラクターが好きな子どもは、好きなキャラクターの名前のなぞり書きから、文字を練習してください。
象形漢字は 意味から覚える
画数が少ない漢字は、ひらがなやカタカナと同じレベルで、覚えやすいです。
1年生の象形漢字は、実物とも結びついて覚えやすいです。
ダイソーに漢字カードがあります。
2組購入すると、絵の問題から漢字の札を取ったり、漢字の問題から絵札を取ったりして遊べます。
象形漢字の日月火水木金土山川などは、実在するお月様や樹木の絵で表わすので、漢字は表意文字と呼ばれます。
学校の国語の授業では 漢字の分解と合成を言わせる
ところが、「花」になると、咲いている花と似ているとは思えません。
そこで、「くさかんむり、イ、ヒ」あるいは「サ、イ、ヒ」と、分解して覚える必要があります。
学校の国語の授業では、先生がカラーチョークを使って、「くさかんむり、イ、ヒ」あるいは「サ、イ、ヒ」と、色分けして黒板に書いてください。
一画一画の画数を順に唱えるのでなく、空書きも、「サ、イ、ヒ」と言いながら書きましょう。
漢字赤ねこドリルの練習の欄も、漢字の分解と合成=部首、を言いながら書きましょう。
一画一画の画数を順に唱えるのは、+1方式の追い足し算のようなものです。
漢字の分解と合成は、10の補数のような、かたまりの組み合わせです。
部首という共通項を覚えることが、1000文字の漢字記憶を助けていきます。
この漢字の分解と合成の仕組みは、ローマ字および英単語の音節の分解と合成の仕組みと同じです。
漢字でこの仕組みを習得することは、ローマ字や英単語を覚えていくときにも重要になります。
家庭の宿題では 書き順を指摘しない 否定しない
書き順は、草書体を使うような時代には必要でした。
現代では書き順に力を注ぐより、漢字の分解と合成記憶に力を入れた方がいいと考えています。
自閉症スペクトラムや協調運動障害があると、自分の書きやすい部分から書く子どもがいます。
苦労して書いたのに、書き順が違うと言われると、書く意欲が落ちて、苦労から荒れたり切れたりします。
家庭では、書き順を否定せず、出来上がった形を「書けたね」と認めてください。
分解と合成に力を入れれば、書き順も部分部分でしだいに整っていきます。
漢字練習帳に分解と合成を言葉で書く宿題
子どもたちは、漢字の分解と合成を、漢字練習帳に書いて、口頭で言えるようにします。
絵のように写す視写法でなく、口頭で言える聴覚法で漢字を練習しましょう。
漢字の分解と合成を言えるようになると、漢字記憶になります。
「雨ニモマケズ」のような、詩の暗唱と同じですね。
場面の映像が浮かべば、雨ニモマケズの暗唱はできます。
漢字も、脳内の漢字のイメージ ⇔ 言葉にすること、が重要です。
宿題は、
①漢字の分解と合成を1行に書いて、漢字を見て言えるように練習してくる。
②漢字が好きで、書きたい人は、下の空いているマスに、その漢字を言いながら書いても良い。
目で見て、黙って書き写す視写法だけの宿題を出すのでなく、
全員 ①聴覚法の漢字記憶
さらに書きたい人 ➁視写法の漢字練習
全員で①、書きたい人は①+➁という、選択的な宿題にすれば、合理的な配慮になり、漢字の書き取りに苦労がある子どもの負担になりません。
教科書の音読の宿題と同様に、漢字の分解と合成を口頭で言うのを、家族が聞いて「言えるね。書けるね。」と、ほめてくれる認めがあると、子どもの励みになり、やる気が増えます。
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