まさや君は、12月から、月曜~木曜、グループホームの宿泊を利用するようになりました。
8年間通っている作業所でも、26年間暮らしているお家でも、大きく乱れる様子はなく、持ち前の穏やかさで、3箇所に適応して暮らしています。
大きく乱れたのは、お母さんでした。
育児に全精力を傾けてきたお母さんに訪れた寂しさ
グループホームの利用から1か月経って、まさや君とお母さんが病院小児科の療育に見えた時、お母さんはとても疲れた様子でした。
お母さんは「まさやに、こんなに自分が依存して暮らしているとは思わなかった………」と、ため息をつきました。
グループホームを隔週で2週間、体験してきたまさや君は元気そうでしたが、お母さんが意気消沈していました。
まさや君が夜、家にいないことがお母さんは寂しくて、昼間何もする気になれず、何も手につかないということでした。
まさや君の0歳から26歳まで、お母さんもお家も何もかもが、まさや君を中心に回っていたんですね。
一緒のベッドで、まさや君と寝ていたお父さんも、未だにベッドの中央で寝ないで、今でもベッドの片側で寝ているとのことです。
㈮㈯㈰に、まさや君がグループホームから帰ってくると、ご両親は嬉しいのです。
まさや君がいないと、ご両親とも、片腕をもがれた感じですね。
1年くらい経たないと、まさや君のいない生活に、ご両親とも慣れないかと思います。
まさや君の妹さんも、まさや君のグループホーム入所より先に、就職して隣県で暮らしています。
二人の子どもが次々と自立して、お母さんは、鳥の巣症候群、空の巣症候群という心理状態かもしれません。
お父さんは日中変わらずお仕事があるので、気が紛れるかと思うのですが、朝9時にまさや君を送り出して、4時に帰ってくるまさや君を待つ暮らしを23年間続けて来たお母さんは、心にぽっかりと穴が空いてしまった感じです。
素直で穏やかで気持ちの平らなまさや君は、新しい居場所であるグループホームに適応しています。
このまさや君のグループホームへの適応の力は、ご両親やご家族が26年かけて育てたものです。
ご両親は寂しいけれど、ご両親の育児が大成功だったということの証ですね。
趣味のサークルやボランティア、お仕事パートに、お母さんの自由時間をシフトしていくように提案しました。
ご自宅はいつもピカピカに綺麗で片付いており、餃子やハンバーグなどのお料理も上手なお母さんです。
お母さんは、まさや君の「0歳から撮りためてきたビデオを DVD にダビングしようかな………」と、鳥の巣症候群の状態でも起きやすい行動を、メールで知らせてきてくれました。
12月から、グループホームにチャレンジした、26歳のダウン症のまさや君の、最近2か月間の様子です。
グループホームに泊まる日と家に帰ってくる日の予定表作り
お母さんから、まさや君のグループホームの利用スケジュールを聞いて、現在のスケジュールを書き出しました。
新しいスケジュールから急に予定表を始めるのでなく、安定して慣れたスケジュールから見慣れると良いと思ったからです。
11月は、これまでの8年間と同じ、昼間の作業所のお仕事と、自宅での生活でした。⇩
これを見本にして、お母さんが12月の予定表を、ご自宅でまさや君と立ててくれました。⇩
12月は隔週で、計2週間利用しました。
1月は、3泊4日とか4泊5日とか、1か月間利用しました。
2月も土日の他に祭日が2回あり、お母さんは、まさや君が家にたくさん帰ってくるので、お母さんの楽しみになっています。
恋人の帰還を待つような気分なんですね。
グループホームでの実際の暮らし
まさや君がグループホームの個室で暮らしやすいように、お母さんはまさや君の好きな物を色々と購入し、こまごまと準備しました。
まさや君にインタビューで聞くと、指導員さんは「優しい」そうです。
グループホームでのご飯も「美味しい」そうです。
お母さんにしてみたら、「おうちのごはんの方が美味しい」と言って欲しいと思うのですが、「グループホームのご飯も美味しい」と思えるまさや君だから、グループホームに適応できているのだと思いました。
グループホームでのお風呂も、のんびりゆったり入っているそうです。
そしてグループホームから昼間向かう作業所での時間も、これまでと変わらずに過ごせているそうです。
年末年始のお休みの楽しみ
クリスマスに帰ってきて、年末年始のお休みになりました。
病院小児科に学習に来てくれたので、グループホームの感想をインタビューし、iPadで作文して、まさや君の好きなウルトラセブンのダビングDVDをあげました。
まさや君は、自宅で、好きなイチゴケーキを食べたり
家族でゲームセンターに行って、太鼓の達人をやったり
まさや君が大好きな、マリオカートを運転したり
神社に初詣に行って、おみくじを引いて、小吉だったり
寅年の書き初めをしたりして、過ごしました。
撮影がうまい!お母さん。
まさや君は、グループホームから年末年始に自宅に帰省して、家族と楽しい時間を過ごす、26歳の立派な青年です。
自宅・作業所・グループホームの3箇所で、適応して暮らせるまさや君の力に、感激しました。
まさや君の適応の力は、この先グループホームや施設で暮らすかもしれない、私のお手本でもあります。
写真を見ながら iPad で作文
お家では、お母さんが、「いちごとりんごとどっちを食べる?」と選択的に聞くと、「りんご」などと今でも音声で答えてくれるそうです。
まさや君とは iPad で、かなトークプラスを使って会話や作文をしています。
かなトークは iPad に無料でダウンロードでき、かなトークプラスは購入時に300円払います。
iPad で設定すると、6人までファミリー共有ができます。
iPhone に入れるのは、かなトーク mini です。
かなトークプラスは、登録①登録➁に、文章を記憶させておくことができます。
緑色で囲った右側の文章が、写真と文章の見本を見ながらまさやくんが入力した作文です。⇩
好きな食べ物の順位を、数字タイルで決めてから、かなトークプラスで入力してくれました。
iPad 文字入力発声アプリ「かなトーク」ダウン症のまさや君の場合
グループホームチャレンジがもたらす まさや君の自立
まさや君の柔らかい笑顔や、まさや君の落ち着いた態度が、現在のまさや君の幸せ感を表わしているように見えました。
お母さんも、大人になったまさや君の感じ方を尊重して、小さい頃のように急ぐ指示をしないで、まさや君の意思決定や、まさや君の時間の流れを大切にして、後ろに控えている感じが、2か月前よりもありました。
いつも一緒に暮らしていたまさや君と、物理的にも少し離れることで、お母さん自身も、まさや君が自分とは別個の一人の人間であるということを、認識したように見えました。
子どもたちの学齢期の療育だけでなく、成人してからの暮らしぶりも知ることができ、皆さんにも紹介できて、私も嬉しいです。
掲載を許可してくださるお父さんお母さん、いつもありがとうございます。
猫ちゃんブログへのコメント