25 飼い主がしてくれるまで見つめる
猫は、人間のようなことばは持たない。
猫の「ニャー」には、10のパターンがあるらしいが、私には10種類は区別できない。
どういう状況のときに、猫がどういう鳴き声を出すのか、5種類くらいしか私にはわからない。
1つ目はよそ猫などに敵意を表わす防御・威嚇の「シャー」や「ファー」、2つ目はしっぽを踏まれて痛かったときなどの悲鳴の「ギャッ」、3つ目は突然触わられて嫌なときなどの不快の「ニャッ」、4つ目は餌がほしいときなどの要求の甘えた「ニャー」、5つ目は子猫を探して呼ぶときの語尾の高い「ニャーオゥ」などである。
鳴かない猫
お母さんは、あまり鳴かない猫である。
もともとそういう性格なのか、野良だったために自分の所在を明かさない習性になったのか、わからない。
お母さんは、私の目の前にやってきて、私を下からじっと見つめる。
あるいは私に付いて歩いて、半歩先を歩いては立ち止まり、私を見上げてもの言いたげである。
ご飯の要求か、猫草を食べさせてほしいのか、嘔吐した毛玉を片付けてほしいのか、トイレの清掃か、日光浴のためのガラス戸開けの要求か、抜け毛のお手入れをしてほしいのか、あれこれ私は予想しながら、私を先導するお母さんに付いていく。
猫が見つめる視線の意味を考える
猫の考えていることの理解も、子育てと同様、発達心理学で言うところの「共同注意」が基本である。
猫の見つめている方向に、視線を重ねて、猫が考えていることを読み取る。
猫はまさに身体全体で、行動そのもので語る。
赤ん坊や、1~2歳の子どもと同じだ。
お母さん猫がじっと見つめる視線の先へ、私も注意を向ける。
私は、お母さんの一途で無口なしぐさや瞳に弱い。
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