24 お母さんの若返り
お母さんは1匹だけになっても、その暮らしぶりは灰色がいたころと、ほとんど変わらなかった。
朝ごはんを食べると、トイレを済ませて、縄張りを一巡りしてくる。
戻って来ると、丁寧な毛繕いと、長いお昼寝をする。
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私が仕事から帰宅すると、お母さんは、夜また縄張りの巡回に出かける。
灰色が生きていた頃と、大体同じ1日だった。
母猫が子猫のように甘える
灰色が亡くなって、1匹になってしまったお母さんは、まるで子猫のように甘えるようになった。
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子猫たちがいるときは、私に甘えることもなく、いつも遠くを見て、孤独に閉じている静かなお母さん猫だった。
灰色がいなくなってから、お母さん猫はそれまで好きだったペット用の炬燵に潜らずに、人間の炬燵に来て、私の膝にいるようになった。
夜も、私のベッドの枕もとで眠るようになった。
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子猫たちがいたとき、母猫の愛情というものを、このお母さん猫に教えられた。
どの猫もみな、こんな風に情愛深いのだろうか。
それとも、人間と同じに猫の育児能力も個別で、子育てにも個体差があるのだろうか。
人間に合わせるよりも猫は自分のしたいように行動する
お母さんは、私の膝に乗ってくる。
私が抱くと、嫌がってすり抜けようともがく。
お母さん自身が安眠しようとしたり、暖を取ろうとしたりするときは、私の膝を狙う。
いい気なものだ。
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しかし猫のこの行動を見ると、小さい子どもが親の膝に座ろうとしたり、身体のどこかを親にくっつけて安心したり、おんぶや抱っこや手をつなぐことを、ねだる理由がわかる気がした。
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