保護者も教師も、意識して工夫すべき、最も重要なポイントがあります。
子どもと大人、お互いの脳内イメージの、「脳外共有」です。
学習は、お互いの脳内イメージの共有化、脳外イメージの高次化にあると考えています。
「できごと=音声の言葉」をつなぐ脳内イメージ
例えば、先生が、「すいか、りんご、みかん、が収穫される季節は?」と聞いた時、子どもの側に、「すいか、りんご、みかん」「季節」「収穫」の脳内イメージが必要になりますね。
果物は、楽に脳内イメージできるかと思います。
果物をイメージできない子どもの場合には、果物の実物・模型・写真を見せたり、絵を描いて見せたりします。
子どもに、すいか・りんご・みかんの形や大きさを、身振り運動でイメージ再現させることは記憶の定着を助けます。
季節は、春夏秋冬を知っており、それを総称して「季節」あるいは「四季」と言うということを理解して、脳内にイメージできる必要があります。
季節をイメージできない子どもの場合には、 4つの季節ごとの衣類を見せたり、4つの季節の写真を見せたりします。
暑い夏(うちわであおぐ)や、寒い冬(ブルブル震える)の季節の身振りをさせます。
りんご狩りに行った写真があれば、作文もできます。
すいか・りんご・みかんの形や大きさを、描かせることは、図工・美術につながります。
学校で、田植えと稲の収穫は、よく行なわれる収穫体験です。
日本では、すいか・りんご・みかんは、何県が有名な収穫産地か、調べる学習は、社会・地理につながります。
日本地図プリントで、収穫産地に果物の絵を記入することも、記憶を定着させます。
事前に、県名の学習などが必要ですね 。
絵が苦手な子どもであれば、果物や野菜のシールを使うと良いです。
子どもが2人なら2人分、4人なら4人分、大人が用意してください。
収穫や産地は子どもと一緒に、教科書で確認してもいいし、パソコン室やChromebook で調べてもいいし、あらかじめ先生が収穫産地の県名をシールや付箋紙に書いておいてもいいですね。
ここが、最も教科書でも確認しやすい場面です。
先生が子どもに、できごと(事象イメージ)を脳外提供すると、言葉の意味が取れ、脳内イメージが言葉と共に記憶になります。
また、「すいか・りんご・みかん、季節、収穫」という音声の聞き取りや復唱、「すいか・りんご・みかん、季節、収穫」という文字の書字表出を確認します。
ひらがな、カタカナ、漢字などです。
中学生ならば 、apple, orange, spring, summer, autumn, winter, season, harvestなどの、英単語を学習してもいいですね。
アルファベットの英単語が難しければ、カタカナで書くだけでも、英語学習になります。
教材
上記のように考えてくると、必要な教材が決まります。
果物産地が登場している教科書、Chromebook、 果物収穫のカラー画像、日本地図パズル 、日本地図プリント、県名が記入されたシールあるいは付箋紙、果物の画像、季節の画像 、果物の絵を描く画用紙、色鉛筆、身振りをする手や身体などですね。
果物以外にも学習を汎化させるなら、野菜でも可能だし、魚でも可能だと考えます。
算数・数学につなげるなら、果物・野菜・魚の値段が出ているスーパーの広告を使えます。
通常学級の学習であれば、以上のほとんどが、先生の音声言語と教科書の文章やカラー写真で、子どもの脳内イメージに取り込まれていきます。
音声言語と教科書だけでは脳内イメージが定着しにくい子どもたちには、上記のような実物・模型・写真・絵を描く・身振りをするなどの脳外イメージの提供によって、脳内イメージが形成されます 。
指導のコツは脳外情報の提供
先生の音声の言葉、先生の説明、先生の指示が、子どもの脳内にイメージ化されたか?イメージしやすくするには何を工夫すべきか? その視点が、特別支援教育です。
先生が、先生の脳内にある情報を、脳外に見えるように提供する工夫が重要なのです。
脳外イメージを提供する、これは2歳児の生活行動の写真、5歳児の生活行動の絵、学校ルールのペープサート、授業中の発言ルールを考えさせる絵のプリント、小学校低学年の算数文章題、小学校高学年の割り算文章題、など、ありとあらゆる活動に共通する工夫です。
予定も予告も見通しも社会ルールも、学習態度も協力も仲間の気持ちも、先生が脳内で考えている言語を、子どもの目に見えるように提供することです。
音声の言葉だけや教科書だけで済まさず、①身振り再現や音声復唱などの触覚運動系を脳外で使う、➁カラー画像などの視覚系を脳外で使う、③単語カードや付箋紙に書かれた選択肢語群などの文字系を脳外で使う、④出来事やルールを振り返る絵を使う、などを心がけたいものです。
イメージ共有のポイント
先生は、似ているものの同時提示、比較照合しやすい空間の整理もします。
その先生の教材の提示の工夫によって、子どもが脳内で行なう操作が 、異同弁別と脳内処理です。
例えば、先日授業を拝見した小学校1年生、通常学級の授業です。
似ているひらがなのカードがランダムに提示され、子どもが、似ているひらがなを2つあるいは3つ拾いあげていく、国語の授業でした。
動かせるひらがな文字カードが提示されること、同時提示であること、比較照合できること、同じ・違う、似ている・似ていないの異同弁別ができること、それらを視覚=脳内処理できること、に子どもたちは夢中になって考え、挙手していました。
黒板の前へ出て、ひらがな文字カードに触れる・カードを動かせる・ 発表できる、それら運動系の保障が、子どもたちを生き生きと参加させていました。
そしてその後、全員それぞれが、ひらがなのワークで、似ている文字のなぞりと書きを確認していました。
特別支援学級でも、カードのような移動運動系・視覚画像系を使ったイメージの共有が、中学校まで工夫されると、子ども達にとって分かりやすいと考えています。
分かりやすいと子どもは取り掛かり、やる気になり、集中します。
特別支援教育とはどういう教育か、についての記事です。
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