特別支援教育は物理的な支援でうまくいく

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教育仮設No.13-1 物理的な環境整備 座席の決定の方法

①座席は先生が決める。初日からでも良い。2週目からでも良い。

➁新学期の初日に言うべきである。「授業では、学習に集中しやすいように、座席は先生が決めます」

③どの座席位置が希望か、「全員の希望が叶うのは無理」だが、参考までに、子どもたちにアンケートを取ってもいい。

④たとえ、くじ引きであっても、先生が一晩預かって、先生の配慮の上で決定し、発表する。

⑤座席の位置を考える時は、子ども一人一人の名前を単語カードや付箋紙に書き出し、一番支援を必要とする子どもから座席位置を決めていく。

⑥登校しぶりで教室に入りにくい子どもや、座席を離れる子ども、教室を出ていく子どもがいるならば、他の子の視界に入りにくい位置である、一番後ろの廊下に近い席にする手もある。 

⑦一番前において、それとなく進度を手伝ってやりたい子どもか、気にはなるが、一番後ろで自由にさせておくほうが落ち着く子どもか、を考える。

⑧先生とピンポイントの会話になりやすい子ども、全体が見えない子どもは、一番後ろの席が全体が見えて良いかもしれない。

⑨座席は1年生であっても、ビニールテープやシールの目印、あるいは茶色のマジックで床に印をつけて、劇場型にする。

劇場型とは、中央の先生の方向に、扇形に机が向いている型式である。

南の窓側の机と、北の廊下側の机が45°くらい斜めになる方法で、子どもの身体ごと、中央の先生の方を向くことになる。

落ち着くためには、早く作業に取り掛かるためには、先生の方向を見やすい座席が重要だ。

身体ごと先生の方を向いているということが、物理的な支援である。

⑩机を斜めにすることについて、ブツブツ言う子どもがいれば、「あなたが集中しやすいように」とYouメッセージで言うのでなく、「先生の方を見て欲しいからね」とIメッセージで言えば良い。

Youメッセージは相手の非難になりやすく、Iメッセージは相手の非難にならない、先生の気持ちを語ることである。

⑪どうしてもおしゃべりしやすい子どもは、教室の四隅の位置に座席を決めて、隣接する3人を静かな子どもか、勉強ができる子どもで、周囲を固めるのはどうか。 

⑫ 先生が右利きの場合、先生の板書が見づらく、背中を見ることになる北側の座席は、取り掛かりが早い子どもや、書写が得意な子どもの席にする。

南の窓側は先生とも目が合いやすく、 先生の板書が見やすいので、書写の苦手な子どもや、取り掛かりの遅い子どもにするとよさそうである。

A先生のクラスはいつも物理的に整備され、子どもたちも気持ちいい。毎日、帰りの会の後、机の中の青い引き出しを机上に出して、それぞれ整理して帰る。

教育仮設No.13-2 物理的に見える指示にする方法

①教科書・ノート・資料集など、子どもの使うものの該当ページを「教科書を開きます」「36ページ」と言いながら、先生も開けて、先生の胸の前で見せる。音声系の指示だけでなく、視覚系の指示を見せる。⇩

「教科書を開きます」「36ページ」と言いながら、先生も開けて、先生の胸の前で見せる。視覚系の指示が大事。

「教科書を開きます」「36ページ」と言いながら、S先生も開けて、先生の胸の前で見せる。視覚系の指示が大事。

➁教科書を開く身振り、鉛筆で書く身振り、三角形の身振り、球体の身振りなど、先生があらゆる身振りを行ない、見える指示で行動を促す。

③板書をノートに書かせる際に、先生が黒板に▢の長方形を書いたり、____傍線下線を書いたりして、この場所に5個書く、この場所にこのように書く、という記入空間を視覚的に伝える。

④教科書何頁の「何」は数字で黒板に「P.18」と書く。「問4番の③を解く」も黒板に「4-③」と数字を書く。音声系は消えるので物理的に残す。⇩

ノートを意識した、黒板3等分の板書。H先生は、45分で黒板一面に書ききるように、いつも工夫している。教科書に載っていても、拡大コピーを準備して、注目をもらう。

⑤算数問題プリントや、国語・社会書き込み式プリント、板書の書写に取り組ませ、手に作業を与えると子どもは落ち着く。書くことがよほど嫌でなければ、比較的、おしゃべりも黙るのではないか。

⑥今取り組んでいる作業が終わったら、次は何をするのか、個人速度差を考えて、次は何、次は何、という指示を板書の文字でも伝える。

⑦例えば、5年生の算数で、台形・菱形・平行四辺形の面積の公式を使い、自習形式で、5~6枚の算数プリントに取り組ませる。

正答は黒板に貼ってあり、黒板まで正当な理由で移動行動が何度でもできる。

こういう作業は、全員が集中して取り組みやすい。

終わった人は、漢字書き取りをすることも伝えておく。

自習形式のプリントへの取り組みは、一人担任であっても、机間巡視と個別支援がしやすい。

個別に声をかけて指導することは、学力をつけるチャンスであり、個別に褒めることは、絆を深めるチャンスである。

⑧S先生の、本日の予定の明示の例。⇩

本日の予定が、消えない文字で知らされる。小1。

⑨U先生の、45分の授業の明示と、💮花丸即時評価の例。⇩

45分の国語の授業予定が冒頭メニューで知らされ、途中、評価の花丸も付く。小3

教育仮設No.13-3 認め合えるクラスにする言葉かけの方法

①4月7日の初日から姿勢の良い子を呼名してほめる。「誰々さんいいね。姿勢がいいです。」など。姿勢をけなす、注意ばかりの学級にしない。

➁帰りの会でも、日直に姿勢の良い人をほめてもらい、帰りの会を始めさせる。「誰々さん姿勢がいいです。」すると、皆、ほめられたくて姿勢を正す。

③前年度担任からの申し送りで、支援を最も必要とする子どもが分かっていれば、4月7日の初日から先生の腰ぎんちゃく風にお手伝いをさせ、行動や態度を認める声かけを、頻繁にかける。

④良い行動や良い態度を認め合えるクラスにするには、担任が率先してそうしていく。マイナス行動は意図的に無視していく。スルーする。

⑤できていない行動を注意することと、してほしい行動を提案することはイコールである。だから非難でなく、提案にしたい。

正そうとするのでなく、次のプランを伝えたい。

例えばおしゃべりが多ければ、「書くことに集中ね」「手を動かしてね」「あと1分で書いてください」「書けた人から持ってきてください」などである。

子ども非難や子どもを正そうとするのでなく、どこまでも教師からの提案、教師からの Plan Do である。

今できていない行動批判でなく、取り掛かって欲しい行動を何度も何度も伝えていく。

⑥徹底的に肯定語を使う。

「何々するよ」という次の行動プランを何度も伝える。

「今あなたは何々していない」には触れない。

先生のそういう一貫した、はっきりとした姿勢が貫かれると、子どもにはそれが伝わり、トゲトゲしない、温かいクラスになる。

物は言いようだ。

大場美鈴さんの声かけ変換表を、先生方も学んでほしい。リンク先は⇩

肯定的な言葉かけの方法
教育仮設No.5-1 梅津八三の接近仮設による言葉かけ 心理学者 梅津八三の意図するところに学んで、肯定的な言葉をかけるとしたら、以下のようになると思う。1.現勢の保障「そうしていいよ」2.共感と同行「何々だね」「一緒にね」3...

教育仮設No.13-4 合理的配慮とは まず物理的な支援

特別支援教育の合理的配慮とは、物理的な支援で結構うまくいくことが多い。

座席環境、目に見える消えない指示、声かけ環境、の3つから、ぜひ実践されたい。

H先生の、宿題の提出場所の例。⇩

H先生の教卓上に、宿題の提出場所が決まっている。あかねこ計算スキル・漢字練習ノート・宿題プリントなど、朝、そこへ提出する。物理的に提出場所が決まっていることが大事。H先生は教卓のわきに机を1つ足して、提出場所を拡張確保している。小6。

中学校では特に、教科ごとの宿題を、いつどこへ出すのかが不明で、宿題をしていったのに出し損ねる生徒もいる。

教科の先生ごとに、提出方法が異なると、発達障害のある生徒の、記憶の負担が増す。

各教室の前方に宿題提出コーナー机を置くか、職員室廊下に長テーブルを3台置いて、学年クラスごとの提出場所を明示して、提出方法を1つにし、わかりやすくしたい。

コメント

  1. ねこのしっぽ より:

    共感し同行する、循環型の教育、そうだと思いました。。

  2. ねこのしっぽ より:

    特別に支援する方法を工夫しなければ、特別支援教育にならないということがわかりました。
    猫ちゃんの豊富な経験と考察の深さを感じました。
    普通学級の先生たちは知識のないまま経験したことのない子ども達を受け入れたのだということを思いました。

    • 猫ちゃん より:

      心理学者梅津八三がお互いに分かり合えない状態を「相互障害状況」と呼んだ。何教育であっても、対人関係でもそうなのだと考えています。わかると納得がいくし、わかると楽しいし、分かり合えると相互に嬉しいです。私も認知症になって脳機能を失えば、障害状況になり、助けてもらうことが増えます。工夫できなくても、共感し同行するだけでもいいのだとも思います。梅津八三は「相互主客二役性」と呼びましたが、子供達に教えてもらい、育ててもらっているのは自分なのだと、感じます。支えようとして、実は支えてもらっている、 そういう循環型の教育がいいなと思っています。

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