保護者から見て、育てにくい子どもがいます。
難しい育児に疲れたとき、少し力を抜いて、以下のように考えてみてください。
自分にとっての育児も難しいけれど、それは同時に、この子にとっては毎日の暮らしが生きにくいのだろうなぁ、ということです。
その子自身の目線になって、暮らしを見てみるといいですね。
すると、これまで、かんしゃくやわがままだと思えていたことが、違う風景に見えてきます。
まずは子どもが、どんな風に感じるので、かんしゃくやわがままにつながるのかを、探りましょう。
育てにくい子どもには、感覚過敏があります。
まずは、感覚の過敏さを、その子固有のものだと思って、人間の多様性だと思って、認めてやりましょう。
①感覚過敏から来る聴覚過敏があると、眠らない赤ちゃんです。
睡眠不足で、赤ちゃんを育てるお母さんは疲労します。
保育所や他の大人に頼んで、お母さんがお昼寝をしたり、一人になる時間を作ったりしましょう。
②感覚過敏からくる味覚過敏があると、好んで食べるものが限定され、偏食です。
大人のレベルで考える「栄養」という考えを捨て、好んで食べるもの、気持ちよく食べるものを用意しましょう。
「栄養」を取るか、「親子の楽しい食事時間」を取るかでは、楽しさを選択しましょう。
子どもは、好きなものを作ってくれるお母さんを、大好きになるはずです。
栄養より、笑顔があふれる食事時間が、必要な子どもです。
偏食では死にません。
1歳~3歳頃、オレンジジュースしか飲まなかった男の子が、保育園では色々と食べるようになり、今では高校生になりました。
保育園や学校に通うようになれば、集団場面でも「栄養」は補われます。
育てるのが難しい子どもに対して、栄養も楽しい時間もと、いくつも同時に「理想」を望むと、お母さんが疲れます。
子どもの好きな食べ物で、お母さんの育児が楽になる、その目標1つを選びましょう。
③感覚過敏からくる触覚過敏があると、衣類の拒否や衣類へのこだわりがあります。
1.ぴったりする服を好む、保育園児がいます。
スカートやゆるいパンツは嫌で、水着のようにピッタリしたパンツを好む女の子がいました。
お兄ちゃんのパンツが気に入って、それを穿いて毎日登園しました。
保育士さんに理解してもらいました。
誰に迷惑がかかることでもなく、誰からも見えないパンツなので、「そのこだわりを卒業するまでそうするように」お母さんに勧めました。
小学校に入る頃、下着類へのこだわりが消失しました。
感覚が過敏な幼児期に、その子固有の感覚を肯定することが、こだわりの消失に繋がります。
こだわりに反対することは、かえってそのこだわりを、強化してしまいます。
こだわりを尊重し、肯定し、応援しましょう。
気に入った T シャツは2枚買い、サイズ違いも買っておきましょう。
2.また別の子どもさんは、洋服のタグの位置にこだわっています。
大抵の洋服は、着た時に、タグが左に来るように付いています。
しかし、発達障害があると、右と左の特定が難しい子どもさんがいます。
T シャツの「前後が違うよ」と言われて、「タグが左に来るように」と言われて、T シャツの前後がわからず、右と左がわからず、頭が混乱して、タグの位置を繰り返し繰り返し、お母さんに確認するようになりました。
小学校に入って、タグの確認が強迫行動になり、お母さんの育児を一層難しいものにしました。
間違いを指摘しない、「お母さんに直させてね」と前後が気になるお母さんが優しく直す、他の記事で投稿した前後のない T シャツを購入する、「これが首のところに来るよ]と背中のタグを目印にする、などの対応が良いです。
子どもの発達は理想通りにはいかない、鉛筆もカルタもジャンケンも何が難しいかを理解することで次のステップが見えてくる
子どもの間違いを「何で間違うの!」という非難する言い方にすると、子どもの不安と確認行為が激しくなります。
3.シャツをきちんとしまわないと、気が済まない子どもさんがいます。
感覚過敏があって、シャツのゴワゴワが気になります。
でも、お母さんから最初に言われた、「シャツをしまいなさい」を必死で守ろうとします。
自分の触覚過敏と、お母さんの言いつけを守ろうとするこだわりとの間で、子どもはパニックになります。
暮らしの場面でことごとく、シャツが……シャツが……シャツが……と、じれて泣き叫びます。
感覚過敏があり、シャツを入れることを忘れ、シャツが出ていても気にしない、そういうタイプの子どもさんに、一番初めに「シャツをしまいなさい」「シャツをしまいなさい」が繰り返されると、強迫行動につながっていきます。
シャツが出ていることを気にする大人の方が、笑顔で黙ってしまってやったり、「風邪をひくからお腹をしまおうね」と入れてあげたりするのがいいです。
じれて泣き叫ぶ時は、子どもの困り感と一心同体になって、シャツを悪者にします。
「シャツなんか、ないといいねぇ」
「シャツは、面倒だね」
「ホント、もう、嫌になっちゃうシャツだね」
「ママが入れてあげるね」などです。
子どもの、シャツに対する、どうにもならないじれったい気持ちに、共感するのです。
シャツを悪者にすれば、シャツの物理的工夫ができます。
前後のない T シャツを購入する解決法と同様に、つなぎの下着、つなぎの洋服を提案してみてはどうでしょうか?
水着、スイミングスーツ、ワンピース、つなぎパジャマ、オーバーオール、のように、上下が一体型になっている洋服です。
大人用の T シャツワンピースもユニクロなどにあるので、大人が率先して「楽だよ」と着て見せましょう。
赤ちゃんの下着、カバーオール、ロンパース、ツーウェイオールは、一体型ですね。
一番初めにつなぎパジャマで育ったから、あれがこの子の理想なんだと、理解してあげるといいと思います。
シャツを入れる、シャツをしまう、という行為がない服が、この子にとって最も良いのです。
お母さんに着せてもらうことが、赤ちゃんの頃からの安心なのです。
お母さんに世話してもらうことで、子どもの愛着が満たされます。
子どもの触覚過敏の味方になり、最大限の物理的な衣類の工夫をする、そういう理解が難しい子どもの育児を楽にします。
育児が難しい子どもとの愛着関係を優先し、着替えの自立は保育園でやってもらいましょう。
着替えができる人であれば、練習の必要はないので、しつけよりも愛着を優先する意味で、シャツを入れてあげましょう。
感覚過敏があり、シャツを入れることを忘れ、シャツが出ていても気にしない、そういうタイプの子どもさんに、言葉だけで「シャツを入れろ」としつけると、親に愛されていないんじゃないかという誤解が生じます。
言葉の命令でなく、笑顔で黙って行動で、シャツを入れてあげましょう。
常識の側に立って躾けるのでなく、感覚過敏のある子どもの側に立って、暮らしやすいように手伝います。
世間の味方か? 子どもの味方か? 子どもの味方になることを忘れないでください。
感覚過敏のあるタイプの子どもさんには、まだやっていないことを命令するよりも、すでにできていることに声をかけることが、子どもに自信を持たせます。
初発に同意肯定する
子どもが最初に言った言葉を、「何々なんだね」と繰り返します。
車の窓から見て「お母さん、綺麗な花があった」と子どもが言ったら、車の運転中で、その花を全く見ていなくても、「綺麗な花があったんだね。よかったね。」と復唱します。
それだけで子どもは、自分の喜びがお母さんに共有されたと、嬉しくなります。
基本的に、復唱で良いのです。
復唱して、末尾に共感の「ね」をつけてください。
分かったよと言う
お母さんは、子どもに共感できない時もあるかと思います。
共感できない時も、子どもに「あなたの気持ちはわかったよ」ということを強調します。
こう感じたんだね、こう考えたんだねと、あなたが感じたことをお母さんは理解したよと、「受容」を伝えてください。
気持ちをわかってやると、興奮は静まります。
初発を否定しない
育児が難しい子どもを、一般的にしよう、正そう、しつけようとすると、育児はさらに難しくなります。
感覚過敏や、子どもが言った言葉に、同意し、肯定して、まずは共感してください。
お母さんに受け容れられたと思うと、子どもは穏やかになります。
梅津八三のいう、現勢の保障ですね。
子ども固有の勢い・感じ方を肯定して、否定しない、認めるということです。
子どもが初めて言った言葉、言葉にした感じ方に対して、お母さんの感性や常識をぶつけないで、一旦子どもの言葉を復唱してください。
難しい子どもさんに対しては、必ず、同意・肯定・受容してから、やり取りの会話を始めます。
「だめだよ」と言わないことです。
「そうしたいんだね」「そう思ったんだね」と言ってください。
子どもの気持ちを聞いた後で、「あなたの気持ちはわかった。お母さんはこう思う」と話してください。
現勢の保障「あなたの気持ちは分かったよ」という共感育児のコツ
以上を実践すれば、これまでとは違う育児が、見えてくるはずです。
梅津八三の接近仮設「現勢の保障=あなたの気持ちは分かったよという共感」は、対人関係全般に通用します。
育児で、家族関係で、職場の人間関係で、ぜひ、お試しください。
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