音声のない多動な自閉症児のことばと行動を理解する

多動で、お母さんを困らせている、A君が初めて療育にやってきました。

保育園が2時に終わり、遠方から4時に来てくれました。

病院の建物に入った瞬間、A君は走り出します。

お母さんとゆっくり歩きながら、あちこち見回す探索は、できない様子です。

音声の言葉のないA君にとって 走る行動もことば

A君は、建物の行き止まりまで、廊下を走ります。

身体全体でする、建物の探索「ここはなんだ?」ですね。

ピューッと走って、短い、探索行動です。

ゆっくり歩いて、あちこち見回す、長い時間をかける探索行動には言葉が必要ですが、A君にはまだ音声の言葉がありません。

建物の行き止まりのところで、立ち止まったA君に、「A君おいで」と言うと、振り返ってくれました。

走っている途中で捕まえるよりも、探索行動の終点で、切り替えの声をかけるとうまくいきます。

お母さんとも、私とも、手をつないでくれます。

繋いだ手を振り払わないのは、お母さんとの愛着関係を感じます。

手を繋いだまま、四畳半ほどの療育の部屋に入りました。

A君の好きなもの=確定域

あらかじめお母さんに、「A君の好きなものを持ってきてください」と伝えてあります。

お母さんはA君の好きな、細長いスティックパン、光る太鼓、トーマスの本、トーマスの映像の入ったスマホを持ってきてくれました。

私もおもちゃの再販店、トイプラネットで、トーマスの厚手の本を2冊購入しました。

次回、持たせてみます。

A君が40分間療育の部屋にいられたのは、お母さんが持ってきてくれたA君の好きなものがあったからです。

どうして病院に来たのか、この部屋で何をするのか、A君は言葉で分からないので、A君の基地となる、おやつやなじみのおもちゃが必要です。

初めて療育に行く、初めて保育園に行く、初めて学校に行く、そういう時は子どもの好きなものを持っていくと、不安が軽減されて、新しい場所ですることがあって、子どもも先生も仲良くなりやすいです。

おやつのパンを食べることで座る

A君は、療育の部屋をうろうろします。

「ちょうどおやつの時間だね」と、お母さんがパンを出してくれました。

私が「座って食べよう」と椅子を勧めました。

見えない椅子に、遠回りして座ることが難しいので、A君から見える位置に椅子を置きます。

椅子そのもの、実物が言葉「すわろう」です。

椅子に座って、お母さんが教えた、手のひらを上に向ける「ちょうだい」をして、パンを一口ひとくち食べました。

お母さんの言う通り、パンの食べ方も、噛むというよりは、上あごと舌を使ってパンを柔らかくして、飲み込むという感じです。

音声の発達には、噛むという発達が欠かせません。

音声のなかった自閉症の一平君は、29歳から、iPadで「かなトーク」を使うようになって、31歳で音声が増えてきました。

A君の体格はいいので、食に関しては安心しています。

夜10時から朝の6時半まで、深くぐっすり眠ってくれるそうです。

その時間帯だけ、お母さんは気をゆるめて、安心できるようです。

A君がよく眠れるのは、昼間の保育園での活動や、寝るまでのお母さんの付き合い方が、充実しているのだと感じます。

パンは、今後、直接法「宝探し」の教材のゴールに使えると思っています。

A君に提案したジョーロ、ジャラジャラ、玉転がし、パンの填め板、トーマスの填め板

パンが好きだと聞いていたので、パンの填め板を出してみましたが、A君の目が来ません。

填め板のパンのピースを、A君に渡して持たせてみましたが、目で見ないで1つ入れました。

A君の目の使い方は、スマホの動画や、実物である立体を見る使い方で、填め板のような平面を見る使い方は難しい様子です。

A君の手に、お風呂パズルのパンのピースを1つ持たせると、口びるに当てました。

「A君 パンだよ」と渡されて、くちびるに当てたことが、「パン?」という返事の言葉ですね。

セリア・ダイソーにあるお風呂でペタっとシート

パンの填め板は平面で、課題とすると、玉入れよりもずっと高級で、手と目の協応が必要です。

トーマスは好きだけれど、トーマスの填め板も難しいとわかるのか、チラッと見ましたが、全く触りません。

A君は、好きなものを手にずっと持つレベル、その次に玉を入れようと手放すレベルだと思いました。

A君に赤青黄のジョーロを3つ出すと、お家にもあるという、赤と青のジョーロを10分以上両手に持って喜んでくれました。

ジョーロは触れる立体で、実物のことばそのものです。

A君の言葉のレベルは触覚=実物

A君は、ジョーロ同士を打ち鳴らしたり、ジョーロの水が出てくる穴にそっと口をつけたりします。

お家での水遊びを、思い出している様子でした。

ジョーロを持ったまま、部屋の隅から隅へ、走ったりジャンプしたりします。

ジョーロを持つことが「ジョーロだ」というA君の言葉ジョーロを持って部屋の隅から隅を走ることが「うれしい、うちのと同じジョーロだ」というA君の言葉です。

お母さんはA君の気持ちがよくわかって、「うちのと同じジョーロだね。」「青いジョーロが好きだよね」と話しかけています。

この日1番のヒットは、ジョーロでした。

2番目に良かったのは、セリアのタワーボール落としです。

セリアで3つ買って、3つを連結して高くしました

これはA君が、5回も6回も玉を入れて、目で追視してくれました。

3番目にジャラジャラも、5~6回、ひっくり返して興味を示してくれました。

Amazonに似ているガラガラがあります。1144円。

A君の手や目の扱い方を見ると、玉落とし・玉転がしなどの、ベビートイが向いています。

セリアのジョーロとボール落としは差し上げたので、次回また同じものを、病院での療育用に買っておきます。

A君は身体を動かしながら、短い時間おもちゃを扱う

療育の部屋でA君は、冷たい壁を叩いたり、冷たい床を叩いたり、冷たい床に置いた自分の手を、自分で叩いたりします。

叩くことも、「壁だ」「床だ」「冷たい」という言葉です。

A君の手の使い方を見て、お母さんも光る太鼓 ドラムたいこ を買ってくれたのだと思います。

A君は、願いを禁止されると、自分のほほを両手で叩く自傷があります。

嬉しくても、興奮して友達をつかんだり、かじったりする他害があります。

医師から処方された、落ち着くための薬も飲んでいます。

A君はトーマスが好きなので、何でもブルーのものを持っています。

落ち着くための イヤーマフ ブルーを、私もAmazonで注文しました。

療育の時、テーブルの上に置いて、A君がいつでも使えるようにしたいと思います。

首からかけているだけでも、すぐに使えるから安心かもしれません。

落ち着くためには 両手におもちゃ(=実物のことば)を持たせよう

自傷は、禁止を少なくすることで、軽減されます。

ダメな時は、「ここならいいよ」「これならいいよ」「こっちならいいよ」と、いいことを提案してから、ダメ出ししてください。

他害は、A君の両手におもちゃを持たせてあげることで、軽減します。

1.おもちゃを持つことが、A君のことばです。

手ぶらだと走るしかない、手ぶらだと友だちや先生の身体を、ギューってするしかないのです。

ジョーロや玉入れで、A君の言葉を聞いて、会話してあげてください。

A君の様子が分かったので、以下のおもちゃをAmazonに注文しました。

2.太鼓を叩く行動を、アンパンマンを手でしまう行動へ、「ねんね、ねんね」という音声へと拡大したいと思って、動物ポンシリーズのアンパンマン開いてピョコンを購入しました。

残念ながら、トーマスピョコンはないのです。

バンダイ アンパンマン開いてぴょこん

3.玉入れは色々と楽しめそうです。

トイプラネットを覗いたら、こんな玉入れもあったので購入しました。

タワーに、トーマスの絵を貼ったら、喜ぶかもしれません。

やってみます。

くもん くるくるチャイム

4.コイン入れができるというので、以下の円板入れも購入しました。

くもん ジャラットプレート

円板並べは、私は「スリット通し」と呼んでいます。

並べて どん

つまんで入れることを楽しむ教材です。

サイズがとても小さくなりますが、セリアに似ているものがあります
5.親指と人差し指で、円板をつまめるようになると、小さな玉入れも楽しめます。

ベック社 玉転がしシロフォンチャイム

目と手の協応、追視を楽しむ教材です。

6.保育園やデイサービスでも、これらのおもちゃを購入して、部屋のコーナーで使ってくれると、A君が落ち着いて基地で遊び、自傷や他害が軽減すると考えています。

部屋の隅に子ども用テントを設置すると、視界が遮られてA君は落ち着けます。

落ち着いたら、小さな窓を開けて、実物で誘って会話できるといいですね。

きかんしゃトーマステントハウス

ボールプールとして、遊べるタイプもあります。

病院の療育では、後ろから出入りできて、ボールで遊べる、こちらを買ってみました。

きかんしゃトーマスボールハウス
7.言葉のないA君は走るので、病院の療育の部屋でも身体を動かせるように、トランポリンマット と ピアノマット も購入してみました。

その2つを部屋の2隅に置いて、A君がトランポリンマットとピアノマットを行ったり来たり運動しながら、テーブルと椅子で、玉入れ教材を扱ってくれるように、工夫していきます。

次回は、9月22日を予約してくれたので、楽しみに待っています。

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