
1 三代目の猫
二代目猫のクーちゃんが老化と口内炎で、冬に逝ってしまったことは悲しかったが、不思議と涙は出なかった。
19歳のクーちゃんの介護を半年出来たからかもしれない。
猫の半年は人間の2年くらいに相当する。
クーちゃんは人間で言えば90歳くらいだった。
口内炎の介護という状況ではあったが、最後にクーちゃんとの蜜月を過ごせた。
クーちゃんはインターネットで見つけた猫だった。
元野良猫だった初代のお母さんが12歳で死んで、やっぱり猫のいない生活は寂しくて、ネットで保護猫を探した。

東北の震災があり、自分にも何かできることはないかと、被災した猫ちゃんを貰って育てようと考えた。
福島県で被災したかたがアパート住まいで猫を飼えなくなって、「いわき市犬猫を捨てない会」に保護されたクーちゃんをホームページで見つけた。
クーちゃんは震災当時11歳と高齢だったために、その後2年間、新しい飼い主が現われなかった猫だった。
私はお母さん猫が12歳で死んだので、クーちゃんが13歳だということに見えない縁を感じていた。
13歳を迎えることが出来なかったお母さんの代わりに、13歳のクーちゃんを育てることで、お母さんの猫生を継続できるような気がした。
いわき市まで往復500キロ、車で貰いに行った.
2年間保護猫としてケージ暮らしだったクーちゃんは手のかからない、ベタベタしない雄猫だった。

13歳からの6年間、ひょうきんなクーちゃんに小さな幸せをたくさん貰った。
19歳になったクーちゃんを見送って、何週間かはぼんやりとしていた。
クーちゃんのアルバムやフォトキーホルダーを作ってペットロスをしのごうとした。
3か月くらい経つと日常が戻って、猫のいない生活が寂しくなった。
穏やかな、大人しい、老猫を飼いたいと思った。
二代目のクーちゃんは13歳で貰ったが、雄のせいか、飼い始めは活動的だった。
出来ればもう少しのんびりした猫がいいなぁと思い、雌の老猫を飼いたいと思った。
クーちゃんは遠出で迎えたが、あれから6年経って、自分もあまり遠出は出来ない年齢になり、今回は県内で探せたらいいなと思った。

クーちゃんのガシガシ
毎日老猫をネットで探した。
ネットでは県外に10歳を超える保護猫がいたが、県外へ猫を見に行くことは距離も気持ちも遠かった。
広島県の保健所で殺処分を待つ老猫がいて、近くだったら迎えに行けてよかったのに、と切なかった。
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