ある子どもさんが、学校のトイレのスリッパを全部きれいにそろえていて、毎日、学級の朝の会に遅れて来るという話を聞きました。
「遅れちゃダメでしょう」と言わずに、子どもの行動の意味を考えてみましょう。
どうして朝の会に遅れるまでそろえているのか?という理由を考える事が、子ども理解の上でも、子どもの行動変容を考える上でも大事になります。
スリッパをそろえるマナー
この話を聞いたとき、私は次のように思いました。
その子どもさんは多分、そのトイレを朝使う子どもたちが、トイレを使わなくなるまで、最後まで残っていて、全部のスリッパをきれいに揃え、気持ちよく学級に戻るから、朝の会には少し遅れてしまうのだ、と考えました。
学校のトイレには、「スリッパをそろえましょう」というポスターが、貼ってあります。
その子どもさんは、そのマナーをポスター通りに守ろうとして、最後まで残って、トイレのスリッパ全てをそろえてから朝の会に行くのです。
きれいにそろえて満足する姿が、目に浮かぶようですね。
担任の先生や保護者に、まず掛けてもらいたい声掛けは、「毎朝スリッパをそろえてくれて、ありがとう。」というのが、その子どもさんのマナー遵守に対する、肯定や共感です。
今している行動を認めてから、次にやってほしい行動の話に移ります。
自分のスリッパをそろえたら 朝の会に行こう
ソーシャルストーリーで、だいじなことの順位を話します。
「学校のトイレはたくさんの人が次々と使います。そろえない人を待っていると、朝の会や授業に遅れます。スリッパをそろえることよりも朝の会や授業に間に合うことが大事なので、自分のスリッパをそろえたら教室に戻りましょう。」
その子どもさんの様子によっては、「スリッパが気になったら、20分休みや昼休みにもそろえることができます。」と付け加えてもいいと思います。
ホワイトボードや紙に、上記のピラミッド図のような、大事な順位の数字、短い文章、イメージする絵、を描きながら話すと、子どもさんに分かりやすいです。
学校のトイレのポスターを、新しいポスター「自分のスリッパをそろえよう」に変えるのはどうでしょうか?
この子どもさんのこだわりや判断の誤解に合わせて、物理的に環境を変えるといいです。
子どもさんと一緒にポスターを張り替えたら、新しいマナーが印象に残るように思います。
行動変容には、子どもが目で見て分かるように物理的に助ける
あるいはトイレにも、時計を設置すると良いかもしれません。
時計と校時表も貼ると、授業に間に合う時刻の表示になって良さそうです。
スリッパそろえのマナーを守る、真面目な子どもさんです。
朝の会の開始時刻のルールも、記憶の負担をなくして、目で見て分かるように、物理的に掲示すると守りやすくなります。
こんな風に子どもの行動の意味を理解すると、先生や保護者が望むような行動変容へ、環境を整えていくことができます。
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