自閉症児の感覚運動を満たす市販品の初期学習教材

赤ちゃん、幼児、発達障害のある子どもたちは触覚を満たすおもちゃを喜びます。

一人一人の子どもの、興味関心に沿って、その子の力に合う、木製のおもちゃや教材を作れれば最高ですね。

しかし、木工には、丸ノコやボール盤を置く場所が必要で、製作には時間と材料費がかかります。

若い頃は、大学の工作室で、子どもたちの教材を作るのが、楽しみでした。

仕事が忙しくなるにつれ、市販品を代用する、時間の省エネを覚えました。

材木を求めて、ホームセンターに通った時代から、100円ショップに通う時代になり、教材の費用も抑えられるようになりました。

タブレットの普及で、角材とタイルで50音表を作らなくても、無料アプリかなトークで、ひらがなやカタカナの50音の位置と言葉作りを学べるようになりました。

これらの良い点は、専門的な工作ができなくても、市販品を購入したり、無料アプリを利用したりすれば、先生方や保護者の教材使用がすぐに起きやすいことです。

特別支援学校の小学部に通う、音声の言葉のない自閉症のあっちゃんと付き合うようになって、以下のことが分かり、市販教材を Amazon で購入しました。

次回の療育から、使っていきたいと思っています。

あっちゃんはサンダルを脱いで、素足でリノリウムの床を歩く

あっちゃんは足の裏の感覚を楽しむので、足の裏の感覚を楽しむ教材が必要だと考えました。

①平均台

そこで、高さの低い、組み合わせを変えられる、平均台を Amazon で購入。

5000円から２万円のタイプがあります。

円形も販売されていますが、円形だとあっちゃんがグルグル回ると考え、方形タイプを購入しました。

方形の角で、あっちゃんが止まったり、90度身体の向きを変えたりすることを想定。

足の裏で、イボイボの感覚を楽しめるといいと思います。

診察室が狭いので、購入したのは112cmの方形タイプですが、学校や家庭の廊下であれば、距離のある長いタイプを購入して、楽しめるかもしれません。

手の操作が一瞬で終わる玉入れよりも、操作がずっと続く棒挿しをあっちゃんは好む

穴にボールを入れる、一瞬の玉入れは、あっちゃんの目がそれます。

しかし、深い穴の中に、長い棒を入れる棒挿しは、棒が入っていく感覚を楽しみ、入れる穴を見つめる時間が増えました。

ずっとの運動を続けている時、あっちゃんの目は、じっと手に注がれる様子です。

そこで、棒挿しの教材を Amazon でいくつか購入しました。

➁棒挿し

これは、わずか5mm の太さの棒挿しです。

届いたら、非常に小型だったので、あっちゃんの指には難しいかと思っています。

木製なので、入れる時のなめらかな感覚は、楽しめそうです。

③教材を入れて持ち歩く透明袋

小型教材の良いところもあって、あっちゃんが下のようなビニール袋に教材を入れて持ち歩き、お母さんの用事を待つ間、棒挿しを楽しめるといいのかなとも考えます。

④棒挿し

私のこだわりでは、同じ長さの棒を10本入れる棒挿しだといいのですが、市販品でもあっちゃんが楽しめるかどうか、とりあえずは８本でチャレンジします。

ホームセンターで、同じ太さの棒があるか探して、見つけたらノコギリで８本を同じ長さに切りたいです。

⑤棒挿し

プラスチックなので、木製ほど棒に重みがないのですが、黒ひげドキドキパニックのような、はめ込む棒挿しがありました。

棒を入れて出す、枠のようなケースも、枠が「棒はここですよ」という言葉の代わりで、大事だと考えています。

長い棒に沿って、だんごを上下するだんご挿しもあっちゃんは喜ぶ

また、あっちゃんがだんご挿しを喜んだので、似ている教材を Amazon でいくつか購入しました。

音声の言葉のない多動な自閉症児の療育8 感覚運動をずっと満たす教材

⑥ゆらりんタワーのリングは、太くて持ちやすくていいのですが、棒がまっすぐでないこと、リングの穴に大小があることが欠点です。

棒は下へ行くほど太くなっており、赤➡オレンジ➡黄色➡緑➡水色の順番に入れないと、リングはぴったり入りません。

棒の太さが上から下まで同じで、入れるリングの穴の直径が全て同じ方が簡単です。

こういう市販のおもちゃは、見栄えの美しさや０歳１歳２歳と長く使えることが優先されます。

特別支援教育では、どんな教材であれば、操作が初期的で簡単か、を優先します。

リングの直径の大きさが違うこの市販品では、あっちゃんに、リングを順番に赤から手渡せばいいと考えています。

簡単なおもちゃは自力で解決することを楽しむ、難しいおもちゃは人が手伝って一緒に完成させることを共有する、と考えるといいと思います。

木製のタワーは4000円前後するのですが、このゆらりんタワーは1000円以下で買えます。

⑦これは３色リング挿しで、学研のモンテッソーリ教具では１万円近くします。

Amazon では高さ11cm と 小型ですが、2000円以下で購入できます。

⑧円盤挿し

だんごよりも平らな円板で、周囲を持ったり、つまんだりして棒に挿します。

これも棒の高さ10cmと小型ですが、棒を差し込む場所が工夫されていて、同じ太さの棒をホームセンターで購入できれば、高い長さの棒に変更ができ、長い時間すべらす感覚を楽しめます。

⑥⑦⑧のいずれも、あっちゃんが填める・滑らす感覚を楽しむものです。

スマイリング　ストアの紹介

かつて中野尚彦先生が開発した、スライディングブロックという盲の乳幼児のための教材は、子どもが滑らす感覚を喜ぶ、素晴らしい教材です。

現在、スライディングブロックなどの初期的な教材を、スマイリングストアというところが受注生産しています。

どの教材も、非常にしっかりとした作りで、１万円前後します。

高価なので、今のところ、あっちゃんに、私は購入できていません。

あっちゃんの特別支援学校で購入して、初期学習に使ってもらえたら、嬉しいです。

教材と教材の作り方を掲載した70頁の本　バリアフリーみんなの教材図鑑〜「自分でできる」を支えるために〜　は送料込み1000円で販売されています。

スマイリングストアの教材は、肢体不自由特別支援学校重度重複学級、盲特別支援学校重度重複学級、知的特別支援学校重度重複学級の、注文と利用があるようです。

滑らす感覚運動が楽しいビーズコースター

➈虹モチーフのビーズコースター

すべらす感覚を楽しむ教材として、探しました。

だんごを1個ずつ動かす、手の大きな運動と、10まで数える数唱を、一致させる学習もできます。

⑩IKEA のビーズコースター

だんごを外して終わりにできないのが残念ですが、ビーズコースターでクネクネの針金をたどる、手の運動も喜ぶかなと思って、IKEA のビーズコースター約30cmを購入しました。

私はこれまでずっと、ビーズコースターは３種類の針金が複雑に交差していて、子どもには難しすぎると思って、購入しませんでした。

ところが IKEA のビーズコースターは、六角レンチで外せることが分かったのです。

すると針金を１種類にできるので、見るべき場所をシンプルに設定できます。

こういう教材を作るとなると、１日も２日もかかるので、市販品はありがたいです。

おそらくはお母さんも、０歳から７歳まで、あっちゃんが楽しめるおもちゃを市販品で探し続け、あっちゃんとチャレンジしてきたのに違いありません。

あっちゃんが楽しんでくれるかどうか、それが一番の関心事です。

どれか１つでも、あっちゃんの運動感覚を満たす楽しみが、増えるといいなと思います。

そして、市販品でも、あっちゃんが楽しめる初期的な学習教材を提供することで、あっちゃんが机と椅子に座る意味を獲得できるといいなと思っています。