21 灰色猫のケガ
梅雨の時期、灰色は一度、目の下のあたりと額に傷を作って帰宅した。
小さいときから、喧嘩の際は母猫の後ろに隠れたり、脱兎のごとく逃げ帰ったりして、以前から喧嘩を好まない灰色にしては、珍しいケガだった。
喧嘩で怪我をしたのか?
闘いを避けてか、ケガの直後はしばらく、灰色は狩りに出かけないで家にいた。
夏、灰色の片方の牙歯の先が、欠けていることがわかった。
しばらくして、右手の肉球周辺が腫れて、一週間ほど痛そうにして歩いていた。
これも、よそ猫と、縄張り争いをするようになった戦傷だったのだろうか。
秋になって、灰色は豪雨でびしょぬれになって帰り、疲れたのか翌日は、お天気になっても狩りに出かけず、ただひたすら寝ていた。
ネズミも獲ってくる灰色猫
ねずみを2度捕ってきたときには、私は灰色に食べられないように、すぐに取り上げた。
灰色は「ねずみがいたはずだ。獲物を返してくれ。返してくれ」と、一晩中、室内を捜し歩いて鳴いた。
初冬、灰色が、ほとんど外に出かけなくなった。
トカゲが捕れなくなったし、寒くなったので外出しなくなったらしい。
大人にもなったのだろう。
私はそう考えていた。
しかし1年後、灰色に大変なことが起こる。
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