5 お母さん猫の避妊手術
秋分の日、帰宅すると温室の下方のガラスが一枚割れて、母猫の白い毛がたくさん飛び散っていた。
庭で壮絶な闘いがあったらしい。
猫の縄張り争いの喧嘩
猫たちはこの地域への新しい侵入者だったから、先住の地域猫に縄張りを主張されて、喧嘩になったのだろう。
母猫は、子猫と縄張りの両方を守るために、頑張って闘ったに違いない。
必死で抵抗したようだ。
母は強し。
或いは発情した雄猫に、母猫が雌として狙われたのかもしれない。
私は猫たちを、家猫として守らねばならないと思った。
しかし、野良だった母猫を、完全に室内に閉じ込めておくことは不可能に思えた。
母猫の不妊手術
このまま猫たちが外の見回りに行くならば、避妊手術・去勢手術をそれぞれ受けさせようと考えた。
動物病院に問い合わせると、避妊手術は抜糸が済むまでの1週間の入院で帰れるということだった。
子猫たちの乳離れの様子を見て、お母さんを避妊手術に連れて行った。
動物病院に向かうとき、お母さんを車に乗せると断末魔のような声で鳴いた。
母猫と離れた子猫たちの様子
母猫のいない間も、子猫たちは元気いっぱいで、お母さんのいない寂しさは感じさせなかった。
灰色と母似はよく2匹でソファーベッドの上に重なり合って昼寝していた。
黒猫だけがソファーベッドの端でぽつんとしていた。
4匹以上は飼えないので、私は母猫の避妊手術を決行し、猫の親子の蜜月を奪った。
我が家へ来て2か月、猫たちは安心して眠る場所と餌を確保したが、私との出会いでなくしたものもある。
野良猫でいれば危険だが、繁殖の自由もあったのではないか。
4匹を最後まで見ていこう、そうとだけ決意した。
不妊手術後のお母さん猫の様子
1週間後、お母さん猫を迎えに行った。
獣医さんによると、お母さんは一歳くらいで、初産ではないかということだった。
すると子猫は、5~6月ごろ生まれたのかも知れない。
親子の年齢が、それぞれ分かった。
抜糸も済んで、お母さんは私と帰宅した。
帰りの車でお母さんは、なぜか往きよりも激しく鳴かなかった。
帰れるということが、分かるのだろうか。
戻ったお母さんは、初めと同じように家中を探索し確認した。
子猫が手術前のように授乳を求めてお腹に近づくと、お母さんは抜糸あとが痛むのか、「フギャー」と威嚇してどの子猫も追い払った。
子猫たちは待ちわびていた母猫に追い払われて、どうしたらいいのか状況が飲み込めず、遠巻きに3匹で静かになった。
お母さんは温室や車庫という縄張りも確認し、子猫たちとある距離を保ちながら、庭で遊ぶ彼らのそばでその動きを見守った。
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