保育園の年長さんで、自分の名前のひらがな、1~10の数字、を書くことが難しい子どもさんがいます。
ひらがなや数字は本来、入学後に学校で習うので、5歳で書くことが難しいのは、当たり前です。
なぜ難しいのか、保護者や保育園の先生が、書くことの難しさを理解しておくと、助ける時に、叱らずにすみます。
子ども自身が書きたいと思っているが、うまく書けないとき、なぜ難しいのかを大人が知っていれば、理にかなったアドバイスができるのです。
今回は、ひらがなや数字を書くことの、難しさと助け方を紹介します。
子どもは絵のように同時処理でひらがなを見ている
パッと見て分かることが得意な子どもは、「あ」の形も見えています。
「あ」全体の形を、同時処理で見ています。
書くときは、時間順序をつないでいく、継次処理になります。
会話、スラスラと書いた作文、文章、文字の書き順などは、時間順序をつないでいく継次処理です。
「あ」が書けない子どもは、この継次処理に苦労しています。
そこで、ボール紙・クリアファイル・マジックを使って、物理的な教材を作ります。
口頭で、ああしろこうしろと言う教え方は、書けない子どもにとっては、脳の中にイメージできない教え方です。
特別支援教育の第一歩は、脳の外で目に見せて行なう、物理的な工作援助です。
「あ」の線分を分解して、同時処理に近い、部分の合成にしてやります。
触ること、動かせるもの、が大好きな子どもたちは、透明カードによる線分の合成を喜びます。
あの分解と合成の理屈が、3枚のカードによって、子どもに分かりやすくなります。
ひらがなの線分の分解と合成が分かれば書くことに進めます
子どもにとっては、「の」を書いて、「|」縦棒を入れて「め」にして、最後に横棒「ー」を書いて「あ」にすると、書きやすい構成順序です。
苦労してる子どもの書き順が違っていても、「違うよ」と否定しないようにしましょう。
まずは、「難しいあをよく書けたねぇ。いやぁ驚いた!」と褒めると、書く意欲が続きます。
「お母さんも書いてみるね。」と、正しい順序をおまけで教えましょう。
書くことが苦手な子どもさんは、2年生になっても3年生になっても50字の漢字練習帳を使ってください。
大きく書くことでミスが少なくなります。
分解と合成は、ひらがな・数字・カタカナ・漢字・英単語の構成の仕組み
①文字を分解したカードで、文字の形を作れる
②脳の中に形が見えてはじめて、書き順で書くことができる
ひらがなと同じに、分解と合成で、数字も構成できます。
子どもたちは、4・5が難しいです。
4は、/<L のような、斜め、角、が難しいですね。
8・9も難しいです。
どこが難しいかを、言語化できますか?
ゼロ0のカーブが←右から左へ向けてスタートできる、
0の丸に棒|を足して9が書ける、
9と同じ書き方で8の出だしを書ける、
8を書くためには、アルファベットの S を、なぞり書きで練習しておくと良さそうです。
ひらがなや数字などの文字の、分解と合成の仕組みは、漢字や英単語の習得の仕組みと同じです。
漢字は、偏・旁・冠などに、分解し合成します。
100円でできるセリアの多目的カードを使ったへんとつくりの漢字カード
英単語も、音節に分けて組み合わせることで、記憶を効率的に助けます。
保護者や先生方が、この分解と合成の仕組みを分かっていれば、教材を作ってやることもできます。
形取りに苦労している子どもの手伝い方
「書こうとしたんだね」と褒める
「書いたね」と事実を褒める
形が違っていたら「ここが難しいね」と同意を示す
「こうかな?」と見本を、子どもの文字の上に書いて見せる
背後から手を持って、空中へ大きく一緒に書く
無料アプリ「書き順ロボひらがな/カタカナ」でなぞり書きをする
書くコツを言語化できるなら、大人が教えてやる
蛍光ペンで下書きをしてやり、なぞり書きで書く
一筆ずつ書いて見せ、時間順序で、一筆ずつ真似させる
お母さんの見本と子どもの文字は、左右並びだと鏡文字になりやすいので、見本は上に、子どもは下に真似して書きます。
文字の習得し始め、5~6歳の子どもは、鏡文字を書きやすい場合があることが研究で知られています。
鏡文字を修正するには、上下前後左右などの言葉が言えるようになること、始点の場所に左手の指を置く、などが有効です。
以上は、右利きの子どもを想定した話ですが、左利きの子どもには、この2倍の運動苦労があります。
左利きであればいっそう、出来上がりの形が合っていれば、就学前は書き順が違っていても良いです。
「左利きなのに書けたね」と、書いた事実を褒めましょう。
褒めるとは、子どもの行なった事実を、言葉にして言ってあげることです。
眠れたね、起きたね、食べたね、歯を磨いたね、着替えたね、保育園の用意ができたね、保育園に行ってこれたね、お便りを持って帰れたね、ひらがなの勉強を一緒にやれたね、などです。
できてないことを指摘するのではなく、やったことを褒めましょう。
認められると子どもは意欲的になり、書くことにも喜んで取りかかります。
ボール紙・クリアファイル・マジックで、ひらがな・数字の分解と合成カードを、皆さんも作ってみませんか。
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