家庭の育児で、育てることが難しい子どもがいます。
学校の教育でも、一緒に学習することが難しい子どもがいます。
その時は、我々の側に合わせてもらうのではなく、子どもの得意な領域に我々が合わせて係わります。
不安、過敏、こだわり、パニック、多動、教室離脱、暴言暴力、言葉の遅れ、発達障害、不登校などがある子どもたちは、苦手なことやできないことがたくさんあって、踏み出せる範囲が狭い子どもたちです。
何なら踏み出しやすいのか、好きなこと、得意なことの情報を集めます。
発達の順序を理解した上で、得意な領域を学習と結びつける
特に関係づくりの初めは、運動感覚を満たす、手で操作する、その子の好きなことを準備すると、興味を持ってもらいやすいです。
それは発達の順序が、①触覚➡➁視覚➡➂聴覚の順だからです。
①手の発達➡➁目の発達➡➂耳の発達、の順とも言えます。
準備する教材の順序で言うと、以下の順に子どもの側の分かりやすさ・取り掛かりやすさ・踏み出しやすさの難易度が上がります。
①手で触って操作できる立体教材
➁填め板などのように平らになった平面教材
➂絵カードのようなイメージ教材
④文字や音声だけの情報 の順ですね。
心理学者梅津八三の いう、言葉の整理の仕方で言えば、以下の合図が発達順序になります。
①行動を読み取る(自成信号)
①表情や目(自成信号)
➁実物や模型を見せて合図にする(象徴信号)
➁実物に似ている、身振り・写真・絵を合図にする(象徴信号)
➁実物をイメージさせる、マークや印を合図にする(構成信号)
➂実物とは全く違う、文字や音声を合図に使う(構成信号)
音声の言葉のやり取りが最も難しい合図=コミュニケーションです。
アンパンマン、ドラえもん、トミカ、ポケモン、ウルトラマン、トーマス、新幹線、昆虫、恐竜などを使って、子どもが踏み出しやすい、好きなキャラクターで始まる、象徴(図工などの制作)から文字・数への学習を組み立てましょう。
図工が好きだという子どもたちは多い
1.材料
おもちゃ売り場では、トミカやプラレールおよびレゴなどのカタログを、無料でもらえます。
好きなキャラクターを、パソコンからプリントアウトするのでもいいです。
自宅で持っているおもちゃを、写真に撮ってもいいですね。
2.塗り絵
カタログや写真、プリントアウトを、コンビニのコピー機や家庭のプリンターなどで、白黒で「薄く」、しかも拡大コピーすると、塗り絵になります。
3.はさみ
塗り絵を、画用紙のような台紙に、のりで貼り付けます。
乾いてから、切り抜くと、はさみの練習になります。
4.パズル
切り抜いたものを、5~10ピースにハサミで分割すると、その後、形の合成パズルになります。
5.作品の完成
出来上がりを貼ると、のりづけの練習になり、乾いてからラミネートすると、壁に飾れます。
一人の趣味にさせておくのでなく、家族で趣味を共有すると、会話が増え、大人に合わせてくれることも起きやすくなります。
野球、新幹線、昆虫、恐竜なども図工に応用できます
野球が好きな子どもさんだったら、大谷翔平選手をプリントアウトし、先生が大谷選手の輪郭をマジックで縁取りをして、線描きをします。
もちろん子どもがやりたがったら、子どもに鉛筆で縁取りさせてもいいですね。
文字を書くことが嫌いな子どもでも、好きなものを描くことには取り掛かります。
すると、上記と同じ、1~5の制作ができます 。
塗り絵や切り絵ができます。
車、バス、電車、Minecraft、ゲームの主人公などでも、同様にできます 。
ポケモンカードを、拡大白黒薄くコピーしてもいいですね。
その子どもさんの、好きなもの情報を、ぜひ、集めてください。
エレベーターの好きな子どもさんが療育にやってきました
先日、エレベーターの好きな子どもさんが病院の療育に来たので、その子と実際に屋上Rまでエレベーターで往復して、①エレベーターの乗降の仕方、➁人への話しかけ方、③声の大きさの調整などのソーシャルスキルトレーニングの学習を、エレベーターで行ないました。
エレベーター、えれべーたー、ELEVATOR、elevator、1階・2階・3階・4階・5階・R=rooftop=屋上、など、カタカナ・ひらがな・英語・漢字の学習につなげられます。
好きなことに関して、気持ちよく学習した後で、宿題に取り掛かれます。
この子どもさんも、エレベーターの後で、国語の教科書の音読、漢字の練習1回ずつ、算数の足し算・引き算・掛け算の筆算を、着席して30分以上学習できました。
算数への応用
1.好きなキャラクターの「仲間集め」を学習できます。
2.好きなキャラクターをシールにして、「タイル階段」や「算数ブロック」に貼り、数えたり、足し算・引き算をしたりします。
3.好きなキャラクターが登場する、「算数文章題」を学習します。
4.好きなキャラクターやゲームの「値段の学習」をします。
5.ゲームの取り組み時間で、「時刻と時間」の学習もできます。
国語への応用
1.単語カードを使って、キャラクター名と文字の「対応」(構成信号)を学習できます。
2.キャラクターに関係する名称の、「カタカナ」「ひらがな」「漢字」の読み書きを学習できます。
3.キャラクターに関して、「文章を作る、カード作文」の学習ができます。
英語への応用
1.キャラクター名の「ローマ字」を学習できます。
2.キャラクターに関係する名称の、「英単語の読み書き」を学習できます。
3.キャラクター名の登場する「英文」で、読み書きを学習できます。
学校の授業や、家庭の宿題で、好きなことから始める方法
通常学級の先生は、45分の授業の「1問目」にこれらを取り入れると、発達障害の子どもたちの食いつきが、良くなります。
慣れてきたら、「40分頑張ると、最後にお楽しみ問題が待ってるよ」とゴールの問題にすることも可能です。
キャラクター問題を別のプリントに作っておいて、授業の目当ての課題プリントができた人から、やってもよいという方法もあります。
特別支援学級の先生や、通級指導教室の先生は、授業の始めに、家庭の保護者や、学童の指導員の先生は、宿題のはじめに「ホワイトボード」などでやると、子どもたちは取り掛かりやすいです。
好きなことを提示すると、逃げる・避けるということが少なくなります。
子どもの好きなことから始めて、こちらのねらう宿題も気持ちよくやってもらいましょう。
ぜひ、お試しください。
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