カタカナなどの書字が難しい時の対応法

教材No.15-1 書字も身体運動

書字は身体運動と関係している。

家庭では NHK 教育テレビの「おかあさんといっしょ」などで踊る体操もある。

手遊び・リトミック・お遊戯・ダンス・体操教室などが、保育園でも学校でもある。

手だけ真似する、足だけ真似する、回を重ねたら手も足も真似する、そういう粗大な運動もできると、書字のような微細運動につながる。

身体を動かすことが好きな子どもさんだったら、書字だけにこだわらず、ダンスやお手伝いが上手くなることも、書字につながる可能性がある。

向かい合ってのボール転がし、うまくいった時の V サイン、うまくいった時のグーサイン、二人で手のひらを合わせるハイタッチ、腕相撲・指相撲、じゃんけんのグーチョキパーの模倣、1から10の指型作り、指で影絵を作る”ちょうちょ・犬・キツネ・鶏のとさか”などの動物の形態模倣、指を2本ずつ付けたり離したりする運動、食器や椅子や道具を運ぶお手伝い、昼寝の布団・洗濯物のタオルなどをたたむこと、新聞紙・広告・折り紙を折ること、お米研ぎ、雑巾がけ・雑巾絞りなど 、 様々に手指を使うチャンスがあると良い。

教材No.15-2 描画の経験

2020年9月3日投稿の、「描画と音声の形成方法」でも述べたが、 描画を経験していることも、書字への必要条件である。

描画と音声の 形成の方法 | 猫ちゃんブログ

何も書かれていない画用紙に、何かを描けと言われても難しい子どもには、数字や車の木片の縁取りを描かせると良い。

数字の縁をペンでなぞる

もちろん、コップやお皿の円形の縁取り、 小さい絵本の四角形の縁取りでも良い。

昔は、子守をしてくれるおじいちゃんおばあちゃんが、孫に自分の指を縁取って、指型を描いてくれた。

描画の手前の、形の縁取りも描画や書字につながる。

トレーシングペーパーで、写したりなぞったりすることもよい。

教材No.15-3 手指の巧緻性

教材の玉入れをしたり、棒差しをしたり、だんご差しをしたり、填め板をしたりする。

積み木を並べたり、積み木を積んだり、ブロックをはめたり、レゴをはめたりする。

服を脱いだり着たり、ボタンをはめたり外したり、チャックを上げたり下げたり、靴を脱いだり履いたりする。

いずれも、はじめの4/5を大人がやってやり、残りの1/5を子どもにしてもらうと、子どもの行動は起きやすい。

完成に近い方からやってもらう、スタートを手伝う、うまくいくように見守る、などが大事だ。

教材No.15-4 空間の認知

大小が分かりにくかったり、遠近が分かりにくかったりする子どもがいる。

弱視、遠視、近視、乱視が隠れていることもある。

頻繁に転んだりつまずいたりするようであれば、視力の測定も必要だ。

身体運動とも関係するが、「上へ、下へ、横へ」などの360度の空間の使い方と呼び方が対応しているかどうかも重要だ。

自分の身体のおへそが中心という感覚を初めから持っている子どもは、前へ、後ろへ、上へ、下へ、右へ、左へ、という運動感覚や空間の認知、呼び方の対応が楽にできる。

それが難しい子ども達もいる。

保育園で「前へならえ」の程よい距離が取れない子がいた。

「肩の高さに腕を上げて、前の人の肩へ手を伸ばし、グー1つ分離れる」 ということだが、広い空間で運動しながらだとできない。

絵に描いて見せたり、写真に撮って見せたりするとわかる。

本人が運動を起こしている時に、外側からモニターするということは、非常に難しいらしい。

視覚的に分かることと、その運動・運筆ができることとはまた別だ。

見えているが書けないときは、困らせないで、なぞり書きがよい。

教材No.15-5 基線を示す 

ひらがなの文字の角度の違いがわからないという状況であれば、支援策がある。

ひらがなの「い」と「こ」、「く」と「 へ」「し」と「つ」は、文字タイルの下に基線をマジックで書けば良い。

」と「」、「」と「」「」と「」のように基準となる線を下へ入れると、90度の違いを比較しやすい。

これも身体の基準、空間の基準を持っている子どもさんの方が楽にわかる。

基線が難しければ、 長方形の填め板・棒の填め板で、身体のお腹を基線とし、縦・横・斜めなどの角度を、見本と同じに構成する学習に戻ると良い。

教材No.15-6 斜めの模倣

その子どもさんの両腕を使って、先生の両腕の斜めを身体模倣できると良いと思う。

斜めという運動感覚を身体で持っている方が、斜めの線を描きやすい。

見本を見て、✙と✖の描き分けや、/と\の描き分けができると、カタカナの斜めを書きやすい。

教材No.15-7 時間順序を見せる

見本は出来上がりを見せるのでなく、見本の構成の時間順序を見せてやると子どもにわかりやすい。

漢字の書き順のように、一画ずつ書いて見せるということである。

上が先生のお手本用、下が子ども用

絵で顔を描いてみせるときも、出来上がった顔を提示して真似させるのでなく、顔全体の〇、次に目玉の〇ふたつ、次に鼻の〇、次に口の〇、その次に両耳の〇ふたつ、そして髪の毛として棒|||||||を生やす、と顔が出来上がる、そういう時間の経過を子どもに見せるということである。

そうやって時間順序を見せた後は、顔の絵の完成お手本だけでも顔が描ける。

同様に考えれば、ひらがなもカタカナも、苦労している子どもには、時間順序で教えると良さそうだ。

時間順序・構成順を見せながら真似させ

小学校1年生の教示用ひらがなの大きいカードが、赤・青・緑の書き順で構成されている理由も、それだと思う。

時間順序を提示しても、書き順が難しい子どももいる。

目に飛び込んでくる、最も特徴ある部分から書き出す子もいる。

書きやすい運動の部分から書く子もいる。

それらをお母さんにも担任の先生にも「書けたね」と認めて欲しい。

楽に書けない子どもが、何とか開発して身につけたやり方の、味方になってほしい。

教材No.15-8 似ているカタカナの書き分け

「ン・ソ」「シ・ツ」がそれらしく見えるように、書き分けることが難しい子どもがいる。

極端に見ると、「ン」は「二」だ、「ソ」は「リ」だ。

「二」が斜めになっているのが「ン」、「リ」が斜めになっているのが「ソ」と、今現在子どもが楽に書けている文字から、少し変更して書いて見せると子どもは模倣を取り込みやすい。

極端に見ると、シは「横横横(三)」、ツは「縦縦縦(|||)」だ。

そういう言語的なコツを飲み込める子どもは、似ているカタカナを書き分けられるようになる。

言語の力と、運動の器用さが必要だ。

言葉の力や運動の器用さが難しい子どもは、その子が難しいカタカナだけは、先生がなぞる点線を書いてやり、なぞり書きにすれば良い。

すでに修得したひらがなの上に、カタカナを載せる

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