単語から文章構成へ移行する方法

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教材No.17-1 多語連鎖

 実物・絵・写真・などの「りんご🍏事象」に、文字の「りんご」を名札付けできるようになったら、文章構成へと進む。

事象と単語の対応から、事象と文章の対応に進むのだ。

教材No.17-2 色+名詞 の多語連鎖

色は、その事象の中に内包された属性なので、大小のように比較する必要がなく、やさしい。

🍎「赤い+リンゴ」、🍌「黄色い+バナナ」、🍈「緑の+メロン」などである。

今回ここで紹介する学習では、青いカップ、黄色いカップ、緑のカップとしておく。 

教材No.17-3 次に大きさの属性を加える

大きさは、両者や3者を比較して決定するので、「事象の比較・事象と文章との照合・対応する属性の抽出」が1段階難しくなる。

大小の果物を用意するのが難しいので、〇丸・△三角の形の絵カードや、ベビートイのコップ重ねを使う。

COMBI コンビ プラスチック コップがさね

本筋から離れる余談だが、ベビートイのコップ重ねはカラフルになっている。

単色一色ではない。

単色一色でできている方が、大小はわかりやすいのになぁと思う。

きれいという理由でか、市販品のベビートイは必ず違う色のカラフルなコップで販売されている。

このコップ重ねを3セットほど買うと大~小の同色のコップが揃う。

子供衣料品店西松屋チェーンで980円前後で販売されている。 

子どもが果物を好めば、「大きい+赤い+リンゴ・小さい+緑の+リンゴ」、「大きい+黄色い+バナナ・小さい+緑の+バナナ」などの絵による多語連鎖でも良い。

教材No.17-4 大きさ+色+名詞 の多語連鎖を構成

車が好きな子であれば、「大きい+赤い+車・小さい+青い+車」などの材料と多語連鎖でも良い。

子どもの興味に従って、教材を一人一人変えてもいいし、誰にでも共通して使える、「大きさ+色+カップ」で行なっても良い。

1.提示されたカップに対応する「大・小」の単語カードを持ってくる。

2.2番目は提示されたカップに対応する文章を「大きさ+色+カップ」で構成する。

3.3番目は上記の反対に、提示された文章に対応するカップを持ってくる。

4.双方が自由に構成できれば完成である。

仕上げは、カードで構成した多語連鎖を見ながら短冊紙に文が書ける、あるいはカード構成を見なくても直接文が書けるようになれば素晴らしい。

教材No.17-5 多語連鎖教材の準備の仕方

1.カップは西松屋のベビートイのコップ重ねである。大小3色の〇丸の絵でもよい。子どもの食いつきの良さは、好きな事象>触れる実物>カラー写真>カラー絵>問題多数白黒プリントだ。

2.文章の枠は、ベニヤ板の代わりに厚紙を両面テープで2枚重ね合わせて丈夫にした台紙を作り、3 mm の角材の代わりに太いマジックで黒枠を書いた。

市販品では、ダイソーやセリアに、浅い角皿が売っていて、単語カードを並べられる。

年齢が小さかったり、手先が不器用な子どもさんには、ベニヤ板のようなしっかりとした重い枠や木製カードが必要である。

教材を丁寧に扱える子どもや、文章構成学習ができるような子どもは、厚紙とペナペナの画用紙でも学習が可能となる。

教材を準備する我々は、ベニヤ板や角材を切り出さなくていいので、準備が楽になる。

3.文章のカードは、英単語カードの画用紙を使っている。

4.この範囲を見てくださいと伝えるための、視空間の枠を大事にしている。

枠は、ダイソーの将棋盤の裏を使ったり、おせんべいの空き缶のふたを使ったりして、取り出す手の邪魔にならない、縁の浅いものを使用することにしている。

単語カードを並べる枠も、大きさ、色、名詞の属性ごとに箱で空間を分けている。

単語カードを並べる枠の箱は、空き箱を高さ1cmで切ったもの、そこに絨毯の切れ端を両面テープで貼り付けて、単語カードを取り出しやすいようにした。

ダイソーにも、キィやアクセサリーを置くフェルトケースがあるが、縁が高い。

絨毯を8cm×15cmくらいにカットし、両面テープで段ボールに3属性分、貼るだけでも、カードを取りやすい。

先生の脳の中にある、空間や属性、事象も文字も、目に見える形で子どもに提示する。

脳内操作を、脳外操作に構造化して目に見せることが、特別支援教育だ。

教材No.17-6 多語連鎖の先は動詞などのある文章構成へと進む

1.誰々が何々を食べる・飲む(動詞の学習)      

2.何々より何々は大きい・小さい(「~より~は」の属性比較文はかなり難しい。小1算数の多い・少ないの文章題並みに難しい)

3.行って帰ってきます・行って帰ってらっしゃい、ただいま帰りました・お帰りなさい(2者関係)

4.誰々に何々をあげる・もらう(能動・受動があって難しい)

5.指示語こそあど言葉(2者の空間の命名)

6.行く・来る、電話をかける・電話がかかって来た(空間の方向)

など、難しい学習がたくさんある。

自閉スペクトラムの特性がある子どもさんは、上記の3~6の空間に関する認知が苦手だ。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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