脳の中にある考えを音声の言葉に変換して、相手に伝えることが難しい子どもさんがいる。
どんな教材・どんな道具を使えば、その子どもさんが考えを相手に言葉で伝えやすくなるのか、お母さんと一緒に考えた。
言葉とは脳内イメージを伝えること
N 君は、家では言葉を話すけれど、学校ではなかなか考えを言葉で伝えられない。
学校から、毎日持ち帰る筆箱を学校で見失って、帰る時、 N 君は筆箱がなくて困った。
小学生でも授業によっては教室を移動するので、筆箱を、音楽室に忘れたのか、支援学級に置いてあるのか、学年の教室の帰りの会では、思い出せなかった。
しかし、 N 君は学年の担任の先生に「筆箱がありません」「どこに置いてきたのかを忘れてしまいました。」「先生探してください。」と伝えられない。
モヤモヤした気持ちの中で、帰りの会を終えて、お迎えのお母さんの車に乗った。
私は、パニックにならない N 君を、穏やかな、落ち着いている人だと思う。
N 君は家族には、言葉で要求や気持ちを伝えることができる。
お迎えの車に乗ってから、お母さんに「筆箱 ある?」と言えた。
お母さんがランドセルを見ると、確かに筆箱がない。
お母さんは、 N 君が「筆箱がない」ということを伝えたのだということが、わかった。
お母さんは、駐車場から学校の校舎にとって返し、先生に筆箱がないことを伝えた。
先生が探しておいてくれることになって、2人とも安心して帰ってきた。
N 君に持ち歩ける写真や絵があったら、先生に筆箱を指差して、「筆箱」と伝えることができる。
N 君が先生に向けて、筆箱の絵を指させば、先生が「筆箱がどうしたの?筆箱がないの?」と、問いかけてくれることが可能だと思った。
学用品と絵カードコミュニケーションの一覧表
そこで、お母さんに、学校生活に必要な写真を撮ってもらい、お母さんから画像をもらって、以下のようにエクセルで一覧表にして、プリントアウトし、ラミネートしてみた。
画像の大きさや添付する文字も、エクセル内で加工できる。
エクセルを使った一覧表の作り方
Excel の新しいブックを開き、ホーム画面から「挿入」➡「画像」➡「このデバイス」を選択すれば、必要な画像を、パソコン上で Excel に挿入することができる。
年賀状作成時に画像を取り込むのに似た作業だと、思ってくだされば良い。
エクセルで作った一覧表シートを拡大縮小したければ、エクセル上で右クリックでシート全体を「コピー」して 、「ペイント」で「貼り付け」れば、一覧表シートを貼り付けられ、大きさは自由自在だ。
同様の拡大縮小は、ワードに、エクセルの一覧表シートを貼り付けてもできる。
お母さんがスマホにダウンロードして、ご自宅でN君と使ってくれている「えこみゅ」も、最近N君が親しんでいるものを、スマホの脇ボタン押しのスクリーンショットで集め、エクセルで一覧表にした。
ラミネートシートの作り方
エクセル一覧表コミュニケーションシートが出来上がったら、パソコンのプリンターでプリントアウトし、薄いボール紙でしっかりとさせ、ラミネートすれば完成だ。
ラミネート用紙は、ダイソーで、11枚110円で売っている。
ラミネーターは、カインズや、ネットでも、2000円から3000円くらいで、 A 4サイズまで加工できるラミネーターを買える。
画像取り込みやラミネート教材作りの、最初の取り掛かりは誰にも起きにくいが、一度この教材作りの行動が起きると、生涯ずっとこの行動は起きるので、2回目からが楽になる。
何よりも N 君が、画像や絵を指さしたり、画像や絵から音声の言葉が出やすかったりして、コミュニケーションを先生や他者と取りやすくなる。
保育園や学校の先生に、このようなコミュニケーションシート作りに取り掛かってもらえたら、N 君もお母さんも、私も嬉しい。
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