子どもに分かりやすく伝える方法とは、大人が脳の中で考えていることを、脳の外に見せることです。
目で見て分かるものは、実物・実物をかたどった身振り・模型・写真・絵・マーク・図などです。
例えば、子どもに向かって、「手を洗おう」と誘うとします。
その時、子どもの側へ水道を持ってくることは不可能です。
子どもに水道の場所まで移動してもらう必要があります。
水道が見えない、離れた場所から、水道へ移動することが起きにくい子どもさんがいます。
特に、2歳前後で、まだ音声の言葉を持っていない子どもさんは、お母さんや先生の音声の言葉の指示が伝わりにくいことがあります。
子どもの脳の中に、手を洗う場面、水道の場所が、音声の言葉からでは、イメージできない時です。
子どもが手を洗う行動は、以下のように結構複雑です。
①子どもが「手を洗う」という言葉を理解して、
➁手を洗う場面をイメージできて、
③手を洗う気持ちになり、
④「手を洗う」という言葉を保持して、
⑤子どもが水道まで移動します。
⑥水道まで移動できたら、蛇口やレバーを動かして水を出します。
⑦ 鏡や石鹸ポンプなど、他のものに気を取られないで、「手を洗う」という行動を完成させなければなりません。
どうでしょうか。
改めて考えると、結構複雑ではありませんか。
2歳児でも、すでにスラスラとお話ができる子どもさんは、水道への移動も、手を洗う行動も、起きやすいと思います。
起きやすい理由は、先生の言葉が分かり、先生の言葉から画面をイメージでき、行動完成まで、音声の言葉をずっと、自分の内言語として、復唱・保持できるからです。
音声の言葉から、場面をイメージできるかどうかが、行動できるポイントです。
そこで、先生の音声の言葉でイメージできない子どもさんには、お互いの脳の外に、イメージを出して見せてあげることが必要です。
例えば、水道の写真や絵を見せて持たせる、手を洗う身振りを見せて真似させる、水道の場所を指差す、水道の蛇口から水を出して「ジャージャー」と言っておいでおいでをして呼ぶ、「手、洗う、ジャージャー」と擬音語を言う、などです。
自分が、まだ音声を持っていない子どものつもりになって、今から無言で子どもとやり取りしてみませんか。
自分も、音声を使わないで行動してみると、どんな風に伝えると良いかが、分かりやすいことがあります。
アメリカで発達したベビーサインは、音声をまだ持たない1歳児とお母さんが、身振りでイメージをやり取りする会話です。
心理学者梅津八三の言う、「脳内の表内系の信号を、脳外の表出系の信号にしていくこと」が、音声の言葉がまだない時期の会話になります。
手を洗う、服を着替える、コップで飲む、ご飯を食べる、歯を磨く、トイレに行く、帽子をかぶる、靴を履く、絵本を見る、 おもちゃを片付ける、昼寝をする、鞄にしまう、など、子どもの生活行動全般に渡って、模型・写真・身振り・絵を使うと、相互にイメージの共有が起きやすく、子どもの行動も起きやすくなると考えています。
写真を撮ったり、絵を描いたりする事が大変な場合は、セリアには「やることすることマグネット」、ダイソーには「おしたくマグネット」というものも販売されています。
これらのマグネットの絵を見せて、動作をつけて誘うと、子どもに行動が分かりやすく、伝わりやすいです。
また、「靴を揃える」行動の形成には、玄関のたたきに貼る、靴のシールシートが、セリアにありました。
靴型に合わせて、靴をおけば良いという仕組みです。
子どもに言葉で「靴をそろえなさい」と言うよりも、「靴、頼むね」と、靴のシールシートを指差すことで、子どもは目で見て分かりいいから、すぐやりそうですね。
音声の言葉だけで、子どもにイメージを持たせ、行動させようとするよりも、実物・実物をかたどった身振り・模型・写真・絵・マーク・図を、目に見せると、子どもには分かりやすいです。
何も道具が要らない、準備がいらないのは「身振り」です。
音声の言葉がまだない子どもさんとの間で、ぜひ、写真・絵・身振りをお試しください。
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