ダウン症のまさや君 グループホームへチャレンジする

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まさや君が、26歳になりました。

落ち着いた、立派な青年になって、24年間の係わりが私も誇らしいです。

まさや君は、今、グループホームという新しい生活の場へ、踏み出そうとしています。

撮影者 お母さん

まさや君の18歳まで

まさや君は、病院小児科の療育に、1歳半から通ってくれました。

障害幼児の通園施設に週3日、一般の保育園に週2日、通いました。

小中高は、大学教育学部附属特別支援学校で学びました。

学校は行事が毎年たくさんあって、まさや君の活躍の場が、何度もありました。

学齢期は、活発で、明るく、何事にも積極的で、人懐こい、ダウン症の男の子でした。

小児科の療育と学校教育で、ひらがな・カタカナ・数字を覚え、加減算や作文、空き缶つぶしの作業などができるようになりました。

9-3=6 白い蓋を開けてブロックの3個を下の空いた箱へ隠せる。3個が無くなるので引き算の意味がわかりやすい。
中野尚彦考案 制作by猫ちゃん

ご両親は、プールや温泉に連れて行ったり、陸上のつどいやスキーに連れて行ったりして、まさや君の発達に力を注ぎました。

お母さんは、まさや君の言葉がよく聞き取れるのだが、私にはほとんど聞き取れない、構音障害がまさや君にありました。

2000年代に iPad があれば、1995年生まれのまさや君の構音障害を、もっと補うことができたのかと、振り返って思います。

まさや君が作業所に就職してから24歳まで

特別支援学校の高等部を卒業して、まさや君は18歳で作業所に就職しました。

月曜から金曜まで、週5日、おうちから作業所へ、お迎えのバスで通っています。

撮影者 お母さん

18~24歳まで、主な作業は、作業所内で、10時から12時と、1時から3時まで、MAX のホチキスの針の箱詰めをしていました。

仕事が丁寧なまさや君は、ホチキスの針が崩れないように、慎重に針を箱詰めする6年間の作業の中で、「ゆっくりと行動すること」を、次第に身につけて行ったのではないか?と、想像します。

週に1度、自動販売機の空き缶集めの外回りに、連れて行ってもらえることもありました。

構音障害があるためか、まさや君のしゃべりが仲間や指導員さんに通じないためか、黙って作業するためか、まさや君がだんだん声を出さなくなりました。

家庭でも、声を出すことが減って、このまましゃべらなくなるのではと、お母さんはとても心配しています。

小児科の医師にかかり、医師の依頼で、臨床検査技師さんに聴力検査もしてもらい、耳は聞こえていることが分かり、お母さんも安心しました。

まさや君と事前に、音に対する反応の練習をしました

24歳のまさや君の音声系をたもとうと、病院小児科の療育で、 iPad 「かなトーク」「えこみゅ」を使うようになりました。

スーパーの駐車場で犬にかじられた時の気持ちを表してくれました

えこみゅは、iPad iPhone Android に入れられます。

かなトーク | KanaTalk

たとえ、言葉が音として外に出なくても、まさや君の内言語として、音声系がたもたれれば良いのではないか、と考えたからです。

音声が減ったのと同時期に、行動がとてもスローペースになりました。

30分以上シャワーを浴びていたり、ラーメンを一本ずつ食べるなどが目立ちました。

ホチキスの針の箱詰めを慎重に行なう6年間の作業行動が、他の行動全般に及んだのではないか?と、今、想像できます。

インターリンクス キッチンタイマー。お風呂でタイマーを押してから、シャワーを浴びてもらいました。 

作業所の、朝の着替えなども時間がかかり、作業開始に遅れる日が出てきました。

これは、着替えルームに1番に到着し、誰もいないところで着替えることで、改善されてきています。

学齢期は早食いで、飲み込むように食べていたまさや君が、1時間かけてゆっくり食事をとるようになり、午後の作業に遅れることがあります。

よく噛んで、ゆっくり食べることは、胃腸に優しいですね。

「大人になった」といえば、そうなのだと思います。

あるいは、外の世界に一生懸命合わせていたまさや君が、自分のペースを出し始めた、ということかもしれません。

時間の見えるタイムタイマーで急ぐ時とのんびりする時の使い分け

作業所の指導員さん方も、決してまさや君に無理強いすることはなく、見守りながら声をかけてくれています。

まさや君の好きな食べ物

まさや君の好きな食べ物は、焼肉、から揚げ、マグロのお刺身、ラーメン、餃子、麻婆豆腐、納豆、納豆ふりかけ、ポカリスエットです。

ご家族と外食で嬉しそう 撮影者お母さん

焼肉、から揚げ、マグロのお刺身、ラーメンを食べるときは、噛むことに非常に時間がかかるということでした。

そこで、病院小児科の療育で、まさや君が噛みやすいように、カーブハサミで、とんかつ・ラーメン・焼きそば・スパゲティをカットして、食べてみました。

カーブハサミは、食べ物を細かく刻むことができました。

食品カットカーブハサミ,終わりがわかるタイマー, 洗濯を楽にしたジェルボール

作業所でのお昼がゆっくりで、午後の仕事に間に合いそうもない時は、毎朝お母さんが持たせてくれる「納豆」を昼ご飯に入れてもらって、最後は時間までに急いで食べる、ということを指導員さんがしてくださいます。

私もネットで、「納豆ふりかけ」を探してみました。

おうちで納豆ふりかけを食べ慣れておいて、作業所や外出にも持っていけば、納豆がないとき、急いで食べる時に、食べやすいかと思います。

まさや君は小さい頃からお菓子を食べない人なので、納豆が好きと聞いて、納豆のお菓子も探してプレゼントしてみました。

カンロ プチポリ

iPad での作文

お母さんが撮影してくれた写真に、私が文章をつけて、療育場面でまさや君が iPad で入力しています。

まさや君は、目で見本の文字を見て、頭の中で文字を読んで音声系を使い、50音表で入力できます。

iPad の「かなトーク」の操作のうまい、まさや君です。

カタカナとひらがなの切り替え、濁音と半濁音、拗音の「ゃゅょ」や促音の「っ」の入れ方も、一人でできます。

かなトーク | KanaTalk

作文の教材は、ダイソーの2 L サイズの白ボール紙に、写真と見本文章をつけて、ダイソーの B 6サイズのクリアポケットに入れると、その場ですぐにラミネートの代わりになります。

26歳 グループホームへのチャレンジ

24歳、ホチキスの針の箱詰めの作業から、パンの製造部門へ変わりました。

仕事が丁寧なまさや君は、パンの袋のシール張りなどを、頑張っています。

まさや君の働いたお金から、パンとお茶を買ってきて、毎回私にプレゼントしてくれます。

お母さんも、お家で、まさや君に、餃子作りや、作業着の洗濯などをチャレンジさせています。

ジェルボールはポンと入れればいいので簡単です

4月、作業所の系列施設で、グループホームが完成しました。

お母さんから、グループホーム入所は、した方がいいか、まだ早いか、相談を受けました。

大人になったまさや君自身が、好きか嫌いか、気持ちを表せるようになっているので、チャレンジしてみて、まさや君の決定を尊重したらいい、と話しました。

過剰なストレスで幻視を訴えたダウン症の青年の身の守り行動

病院小児科の療育の時、まさや君に、おうち・バス・仕事・グループホームの絵文字と、(月)~(日)の週のカレンダーを簡単に描いて、「お泊り体験に行ってみよう」と「Let’s~」で勧めると、まさや君がうなずいてくれました。

4月、1週間のグループホーム体験入所にチャレンジしました。

帰って来たまさや君にインタビューしてみると、ホームに泊まるよりも、「おうちにいるのが良い」と言う返事でした。

まだ24歳のまさや君は若く、年齢の高い方から入所が決まって、10名定員から漏れたので、お母さんはなぜかホッとしました。

しかし、毎月1回の、グループホームへのお泊り練習は、1年半、継続しています。

1年後、グループホームに欠員が出たということで、再び、まさや君に「グループホームで暮らしてみないか?」という話が来ました。

お母さんは、「迷っています」と、相談してくれました。

私はまた、チャレンジを勧めました。

意思決定は、まさや君がすると考えているからです。

まさや君に、「(月)~(木)グループホームのお泊りに行こう」と「Let’s~」で、絵文字を書いて勧めました。

私が療育場面で絵文字で説明したお泊まりの予定を、お母さんがおうちの壁に貼ってくれて、それを見て予定を立ててくれる、まさや君です。撮影者お母さ

「行く?行かない?どうする?」と聞かれても、まさや君も困ると思うからです。

「行ってみて、どうだったか、教えてね」と言うほうが、まさや君が行動しやすいと思います。

お母さんには、「今回の4日間連続の体験後に、まさや君にとって連続した4日間が長ければ、真ん中の2日目か3日目に、一度家に帰るようにしたら良いのでは?」と提案しました。

お母さんも、4日間連続のお泊りの他に、その手があると考えて、入所の方向でチャレンジしてみると、考えが固まりました。

新しい領域には慣れた確定域を持ち込むと安心できる

小さい時から現在まで、まさや君の趣味は、トミカ、ウルトラマン、仮面ライダーです。

まさや君が持っている、トミカ・ウルトラマン・仮面ライダーの本やパズル、可能であれば DVD などを持って、グループホームへ入所すると良いと思います。

新しい不安な場所に行くときは、慣れた安心できる大好きなものを持っていくといいですね。

子どもが、慣れたタオルや毛布、ぬいぐるみなどを持ち歩きたがるのも、新しい世界に安心して踏み出したいからです。

保育園と文化差の大きい小学校に慣れなくて、お母さんに教室にいてくれという、小学校1年生もいます。

お母さんという安心できる基地の見守りで、新しい世界に踏み出したい、ということです。

この子が踏み出す基地になる、離陸の日までそう考えて、好きな活動を予備に持って、近くで見守ってください。

まさや君のお母さんも、まさや君の新しい自立まで、基地であり続けます。

何度でも戻ってきて、また飛び立てばいいよと、お母さんは思っていると思います。

もちろん、お父さんも、妹さんも、そういう気持ちで、まさや君の意思決定を尊重してくれるご家族です。

私も、まさや君の趣味に同行し、意思決定を尊重し、ご家族の支えになりたいと思っています。

撮影者 お母さん

BS プレミアムで、毎週日曜の朝8時から、昔のウルトラセブンを放送しています。

同じく BS プレミアムで、「仮面ライダー歴史ヒストリア」や「仮面ライダー大投票」もありました。

「ウルトラマン歴史ヒストリア」、「ウルトラマン大投票」もありました。

歴史秘話ウルトラマンヒストリア – NHK

仮面ライダー歴史ヒストリアもウルトラマン歴史ヒストリアも、 NHK に要望するとすぐに、再放送をしてくれます。

見逃した方は NHK に再放送希望の連絡をしてね。

もちろん NHKオンデマンドでも見られます。

まさや君に、ウルトラセブンと仮面ライダーをダビングしてあげたら喜んで、毎週2回ずつ見ているそうです。

グループホームへも、持っていってね。

ブックオフやセカンドストリートなどの中古ショップに、再生専用の DVD プレーヤーが、3000円くらいであるかな?

テレビと DVD プレイヤーをつないだら、グループホームの夕食前後の自由時間に見られるね。

次回まで、私もウルトラセブンを録り溜めておきます。

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