保育園の5歳の子どもさんで、「じゃんけんに参加はするけれど、じゃんけんの意味が分かって行動できているのか、不明なので見てほしい。」という相談がありました。
じゃんけんでは、じゃんけんの3種類の指型が作れる、2人でじゃんけんした時の勝ち負けがわかる、などが土台に必要ですね。
実際にR君のじゃんけんの様子を拝見すると、じゃんけんした時に、一度出した指型を変更する様子がありました。
相手と同じ指の形を出す!と思うのか、あるいは勝ちたくて指型を途中変更するのか、見ただけではR君の考えがわかりませんでした。
じゃんけんカードで勝ち負けを確認する
そこで
R君のじゃんけん理解を客観的にモニターするために、保育のその場で、じゃんけんの3種類のカードを色画用紙で作りました。
じゃんけんカードは床の上に平面化されるので、立ったままの空中じゃんけんよりも、視覚的に見やすくなります。
2人でそれぞれが3種類のカードを背中に隠して持って、「最初はグー」は口で言って、「じゃんけんぽん」でカードを出します。
私とやってみると、 R君は、じゃんけんカードでは、勝ち負けの〇✖が分かりました。
R君と友だちでも、じゃんけんカードでは、勝ち負けの意味が分かっていました。
「入れて」と言って、友だちが10人以上やってきて、円形に並んで待って、じゃんけんカードのじゃんけんをやりたがります。
けんかもなく、いばる子もいない、素晴らしいクラスです。
友だち同士のじゃんけんでも、R君は勝ち負けの判定〇✖係ができました。
じゃんけんの指はいつなら変更して良いのか?
R君は、実際の指でも、勝ち負けの意味が分かっていました。
実際の指でじゃんけんをやってみると、R君は出したパーを相手のチョキと同じ指型に途中変更します。
「勝ち、負け、わかるまで、ずっとこの指のままでね」と頼んでみました。
いつは変えてはいけなくて、いつなら変えて良いのか、それをはっきりと分ける必要があります。
じゃんけんぽんの「ぽん」では出した指を変えてはいけないが、「あいこでしょ」では変えてよいという2種類です。
ここが、混同されているようでした。
「ぽん」はそのまま待って、「あいこでしょ」になったら違う指にしていい。
この言葉を、先生が何度も言って、刷り込んであげると良さそうです。
お試しください。
ゲームでじゃんけんをしたあと移動する2方向を見せる
1つしかないオモチャを使いたい仲間が3人いる時とか、給食のおかわりの希望者とか、しばしば、じゃんけんで決めます。
床に座っていたり、椅子に座っていたりして、身体を動かさない場面では、割合じゃんけんの意味を取りやすいです。
ところが、ホールや園庭などの広い場面で、走ってきてじゃんけんをして、勝った人は前へ進み、 負けた人はもう一度列の後ろに回る、などは急いで判断するので、難しくなります。
じゃんけん列車などが、その例かと思います。
R 君とじゃんけんのたびに、先生が R 君自身になって、「勝ちは前へ」あるいは「負けは後ろに回る」と、先生が言ってあげるといいと思いました。
「走る・止まる・じゃんけん・勝ち負けの判断・勝ちは前へ・負けは後ろへ戻る」など、たくさん脳内情報でゲームは成り立っています。
じゃんけんの勝ち負けと、取るべき行動の2方向が、瞬時に結びつかず、動きの判断が難しくなると思います。
可能であれば、先生と友だちの6人くらいで、ロールプレイを保育室で見せてから、ホールや園庭に行くと、目から予習ができて、広い空間へ移動しても、予想の動きが2通り、分かるかもしれません。
ロールプレイでも難しければ、ジャンケンと同じように、平面で分かりやすい色画用紙の人形を使って、「勝ちは進む、負けは後ろに戻る」とホワイトボードで人形を動かしてみせると、空間全体をとらえやすくなります。
広い空間全体や遊びのルールをモニターしてもらうには、ゲームを撮影した映像をテレビで見せたり、ホワイトボードで画用紙人形を動かして見せたり、ホワイトボードマーカーで矢印で動きを描いたり、友だちを使ってロールプレイをしたりすると、R 君の脳にゲームのイメージがしやすくなります。
突然、広い体育館や園庭で音声の言葉だけで説明されるよりも、机の上やホワイトボード及びテレビのような平面的な狭い空間で、人形やマーカーで予習をすると、ドッジボールや運動会などのルールも、全体を捉えやすくなります。
広い空間での音声言語だけではイメージしにくく、平面上の視覚情報だとわかりやすいです。
R君の脳内に、じゃんけんで勝った時に動く方向と、負けた時に動く方向の、2つの動きのシュミレーション・イメージを持たせるということが、必要ですね。
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