子どもを一人の生活体として敬意をもって見つめる

アカシヤこどものへやの実践

 梅津八三弟子の木村先生が、夫人とともに1984年から「アカシアこどものへや」を主催している。

障害児教育を志す日本全国の沢山の先生方が、木村先生ご夫妻のアカシアこどものへやに宿泊し、ご夫妻が指導的立場にある県立親子通所センターとアカシアこどものへやで、就学前の子どもたち及び学齢期の子どもたちとの係わりと、創作教材について学んだ。

詳しくは下のリンクの、アカシヤこどものへやのホームページを参照されたい。

アクセスすると、Google の警告「kasper3taro.com への接続は安全ではありません。この警告は、サイトが HTTPSに対応していない場合に表示されます。」が出ますが、https の S がないだけで、アカシヤこどものへやのホームページは安全です。

akashiya kodomono heya (kasper3taro.com)

以下に、木村先生によるアカシヤこどものへや開設の趣旨を転載させていただく。

 『あかしやこどものへや』は、ご両親と子供達に通所していただいて、子供達の成長を巡る様々な思いを一緒に考えるための場所です。子供さんの年齢、障害名、現在の所属機関等の別は全く問いません。その理由は以下の通りです。私達は、誰も皆それぞれの生活体の条件と、生活体を取り巻く状況の中に生きています。状況が変われば、生活体もそれに耐える底力の増強を願って、新しいものの見方、新しい姿勢、新しい生活の形を模索しようとします。しかし、その模索の過程は必ずしも滑らかに進行するとは限りません。ある子供さんは『頭を叩きながら』、ある子供さんは『バランスを崩して揺れながら』、ある子供さんは自分の気持ちを他者と共有するための自分なりの『ことばを探しながら』、私達の目から見ると『こだわり』と『とどこおり』を携えて、必死に生活の調整を図る様子を示してくれます。どうやら、人は皆、閉じたり開いたりしながら、遅く遅く、しかし確実に自分を高めていくもののようです。そうしてみると、私達の目から見ると『遅い』あるいは『奇異』に見える子供さんの行動のひとつひとつは、本当は実に素晴らしい意味を秘めているはずです。たとえば、やむを得ぬ条件によって、ずっと頑張って寝た姿勢を続ける子供さんが、少しずつ舌を外界に突き出し、足で輪を描いて自分の空間を広め、そこに徐々に手や目を添えて空間内の『もの』や『ひと』とかかわりながら、やがて少しずつ姿勢を起こし、その姿勢から自分の新しい生活の空間と新しいものの見方を築いていく様子は、人にとって『姿勢』とはなにか、人にとって『生活空間』とはなにかを、根本から問いかけてくれるように思います。また、たとえば目の見えない子供さんが、指を『目』にして直接さわりながら手探りで築き上げた世界には、私達の知らない『もの』の微妙な性質や、『風』の動きや、『人』の肌触りが豊富に詰められているのに違いありません。ふらふらと動き回るようにみえる子供さんは、その動きの内容を我々に分かるように説明してくれませんが、我々が努力してその子供さんの『ものの感じ方』を知ることが出来たとき、今まで意味なく動き回るようにみえた子供さんの動きのひとつひとつが、実は素晴らしい調整の努力の姿であることに出逢います。偉大なエネルギーをもって爆発する子供さんは、すでに『もの』や『ひと』を感じることの出来る子供さんであるのに違いありません。そして、その爆発の極みから、なお新しい生活の形を待ちわびているようにみえます。そうして、遅くてもゆっくりと確実に作り上げた生活の形をまた壊し、また創る。 見えなくても『生き生きと見る』、聞こえなくても『生き生きと聴く』、歩けなくても『生き生きと歩く』、‥‥そういうことが、ありそうに思います。『あかしやこどものへや』のスタッフは、微力ではありますが、そうした子供達が随所に示す生活の調整の姿にふれながら、そこからあふれ出る「言葉によらないことば」をまず受け止め直し、それを土台にして、子供達が新しい生活の形を探し当てて、小さくうなずくための『お手伝い』をしたいと考えています。そして、そう考えれば考えるほど、子供達がその時々に示す「とどこおり」は、実は我々もこれから乗り越える壁であり、乗り越えるごとに我々も子供達のおかげで少しずつ成長できそうな気がしております。そうした『かかわり』にとって、年齢や、診断名や、現所属機関等は問題になりません。遅いとか、早いとか、そういうことはどうでもいいです。むしろ、人が一生『探し』『見つめ』『比べ』『選び』『見つめ直す』、そういうことのくり返しの過程を大切にしたいと思います。どうか、そういう場所として『あかしやこどものへや』をご利用下さい。

アカシヤこどものへや便り第1号1984年 http://kasper3taro.com/

アカシアこどものへや教材の全貌は、別に「こどものへや教材ライブラリィ」に収めてあるので、必要な方があれば、送料とDVD代金を負担していただいてお届けしたい。(木村)  アカシアこどものへやの住所等のアクセスはアカシアこどものへやホームページ http://kasper3taro.com の左メニュー「所在地」に掲載されています。

アカシヤこどものへや便り 復刻版

子どもを一人の生活体として敬意をもって見つめる

木村先生のお考えの言葉や見聞きしたお仕事からは、子ども一人一人を我々と対等な人間、すでにそこで生活体として立派に暮らしている人間と捉えている。

そこには行動水準が高いとか低いとか、言語水準が高いとか低いとかの価値観が存在しない。

そういう一人一人の子どもたちへの敬意というものをいつも感じる。

木村先生の数多い仕事の中から、「ゆかりさんとの係わり」と「はじめくんとの係わり」が木村先生のお仕事の双璧をなす、と個人的に思っている。

重症心身障害児施設に収容されていたゆかりさんは盲聾重複障害児で、看護学校に心理学の講義に行っていた木村先生と、重心の看護師さんの紹介で出会って、そこからゆかりさんは自宅に帰り、ご両親と暮らし、15年間に渡りゆかりさんの自宅で木村先生と500回以上の学習を重ねた。

梅津心理学はもちろんのこと、中島の初期学習および水口の基礎教育が、ゆかりさんという一人の子どもの15年に、具現化されている。

言葉のなかった自閉症のはじめ君も、木村先生と10年以上にわたって係わり、大好きな電車の切符の教材から文字の読み書きができるようになり、駅名のキーボードを打つことで音声も発するようになり、自分の電車の切符の趣味と、家族との協調生活を整えて行った。

二人についての論文は金沢大学教育学部紀要第48号(肇君172~212頁・ゆかりさん213~234頁)1999年2月に収蔵されている。

はじめ君については、日本障害児教育実践学会誌 『障害児教育学研究』第4巻第2号障害児教育学研究モノグラフ2「肇君との係わりの記録ー肇君、バラバラにして、つなぎ直すー」1998年5月発行に、肇君のご両親との共著で、掲載されている。

ゆかりさんについては、梅津八三たちの「人間開発 しげ子とただお」の映画映像に負けない DVD 映像がある。

子どもを一人の生活体として敬意を持って見つめるやり取りを私も見習いたい。 

盲聾のゆかりさんDVDがほしい方は送料とDVD代金を負担して申し込む。
アカシアこどものへや住所等はアカシアこどものへやホームページ
http://kasper3taro.com 左メニューの「所在地」に掲載あり。

アカシアこどものへやは、2023年12月をもって、閉所いたしました

たくさんの子どもと、たくさんの先生方の笑顔を胸に、木村先生はご本を執筆中です。

発刊されたら、掲載して、お知らせいたします。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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