社会的ひきこもりを防ぐたった1つの方法―子どもの味方になる

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病院小児科で、心理療育の仕事をして、24年になります。

24年間で、出会った子どもたちは、850人ほどになりました。

ってくださった、深澤尚伊なおい医師の言葉は「子どもの味方であれ」でした。

深澤医師は2020年9月、68歳で亡くなられました

最近、深澤医師の言葉の意味が、ようやくわかりかけて来ているところです。

例えば、 保育園の保育室から子どもが逃げ出してしまったり、学校の教室から子どもが逃げ出してしまったりする行動があります。

こういう時、保護者も先生も、対面者としての自分の被害を考えがちです。

対面で理解するのでなく、一心同体で子どもの考えに共感する

子どもの行動理解には、子ども自身と一心同体になって、子どもの側から世界を考えたほうがいいのです。

子どもの心をつかむには子どもに並んで子どもの心の共犯者になる―不登校の場合

保育離脱・授業離脱は、行動結果ですね。

行動結果の手前に、環境条件と、脳機能があります。

①環境条件➡➁脳機能による世界の認知の仕方➡③行動結果です。

①保育園で嫌いな給食が出たから(逃げた)とか、教室がうるさくて耐えられなくて(逃げた)とか、の環境条件が先行しているはずです。

➁次に、脳の扁桃体という快不快の部位が、他の子どもさんよりも大きかったり過敏だったりして、

仲間への同調・協調よりも、自分の快不快を離脱で守る行動になります。

脳機能で規定されているので、「わがまま」や「我慢ができない」という説明は当たっていません。

そのような行動結果に立ち会う時、我々は行動をどう理解し、子どもとどう共生したらいいのか ?

子どもの行動理解・心理理解を、深沢医師の「子どもの味方であれ」という教えから、考えたいと思います。

「障害」とは我々の側の呼び名

①の環境条件の特定や分析も、とても大事ですね。

私の子ども理解は、その子の➁脳機能や認知特性を考えます。

不登校や引きこもりにならず、難なく社会適応している子どもや大人は、環境条件に同調・協調する、脳の仕組みが もともとあるのです。

「適応」も「不適応」も「障害」も、難なく社会適応している側からの命名です。

当事者個人は、「不適応」とか「障害」とか、考えていないと思います。

ひたすら、一生懸命暮らしているのだと思います。

一生懸命暮らしていても、なぜか非難されるのだと思います。

「不適応」や「障害」と、一般論に帰すのでなく、「一人の子どもが考える世界の認知の仕方」を、個別に考えるということが重要だと思っています。

親御さんも、先生がたも、一般論で「不適応」や「障害」とくくるのでなく、その子ども固有の感じ方・考え方・自己実現に、共感し応援することが我々の役目なのではないか、と思うのです。

社会の多勢や 一般論や 常識の側に立つのでなく、子どもの側に立つ

大勢の子どもは、快感を我慢して暮らしている、それが一般的、それが常識かもしれません。

しかし、他の子どもは、どうでも良い。

今は、一般論や常識を捨てて、我が子の一番初めの気持ちの言葉に傾聴し、我が子の世界の見方・感じ方に共感すべき時です。

「そうなんだね」「そういう気持ちなんだね」「そういう風に感じたんだね」「そうだね」「気持ちはわかるよ」という共感です。

子どもの初発(1番最初の言葉)を否定すると、子どもの心は離れます。わかってもらえないと思って、黙ります。

わが子の脳が不快に耐える仕組みが弱いのだから、快感を保障したほうがいいのです。

嫌いなものを、無理に食べさせる必要はありません。

子どもの脳は、ご両親からもらったもの。

子どもの脳機能や生来の社会適応力に、親として1/2の責任を自覚し、子どもの脳機能の仕組みの側に立って、理解者として支えていくことが、子どもの味方になるということです。

脳機能は発達するので、5~6年生や中高生になると、改善が見込めます。

成人すると、興味ある職場や、好意的な仲間によって、特性がほとんど気にならなくなる方もいます。

発達障害とは、発達する障害なのです。

その子の固有の脳の仕組みを理解して味方になる

「障害」と呼ばれてしまう脳は、同調や協調や社会適応より、自分の興味関心に向かう脳です。

興味関心がないと、今の〇歳、〇年生の年齢では、同調や協調や社会適応の方を選べない脳なのです。

親の期待に応える、先生に評価されたい、仲間と同じでありたい、そういう情動じょうどうが少ない子どもさんたちです。

情動(気持ちに反応すること)が、相互方向に交信しにくい状況 B です。

子どもから単体の方向 Bで世界の情報を集め、子どもから単体の方向 Bで世界に向けて情報が発信されます。

例えば、自閉スペクトラムのかたが、「人に向かわず、物に向かう」と言われる点です。

人の気持ちを理解する A ということが、難しいのです。

物に向かう仕事に、向いているかと思います。

ここが、「コミュニケーションが苦手」と、総称されるところです。

そこで、その状況を絵や図で視覚化し、AとBを同時提示して、「仲間に合わせる A の方法で頼むね」と、行動を比較照合するソーシャルスキルトレーニングを重ねたいです。

子どもがまだ持っていない、同調や協調であれば、それを新しく形成していく相互努力が要ります。

ソーシャルスキルトレーニングとは、欠けているものを埋める作業でなく、新しく生み出す作業だと考えています。

相手の気持ちを汲むには、相手の表情を読み取れないといけません。

表情を読み取るには、目が合う必要があります。

ところが、自閉スペクトラムの方は、相手の目を見るということが苦手です。

脳の眼窩野がんかやというところに、未熟や渋滞があるからです。

以上のような、脳機能の理解の上に立って、子どもの行動を理解し、子どもの味方になりたいものです。

それが、長期間にわたる、社会的ひきこもりのような状況を防ぐ、たった一つの方法です。

今からでも遅くありません。

身近な人が子どもの側でなく、社会や一般常識の側に立つと、愛着障害も起き、引きこもって閉じてしまいます。

傾聴、苦手な領域回避の保障、共感、同行、得意な領域の拡大を心がけ、子どもの側に立ってみてください。

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