今回出逢った学習は、小学校高学年の、小数わり算の文章題です。
「6.3 m の鉄棒があります。重さは7.56 kg です。1 m あたりは何 kg ですか?」と言う、子どもの日常生活の算数を超えていると思われる、小数の問題でした。
学習指導要領のねらいは、「小数わる小数」、「わられる数もわる数も10倍して計算する」、などのようです。
助走問題
私ならば、取り掛かりで、整数のわり算助走問題を、以下のように行ないます。
「6 m の鉄棒があります。重さは12 kg です。1 m あたりは何 kg ですか?」
この時に重要なのは、立式の前に、実物のイメージが持てる、絵が描けるということです。
子どもに向かって、「この鉄棒を絵に描いて、数字を書き式を立ててください。今から1分。」と言います。
絵を描けない子どももいることを想定して、名刺サイズくらいの絵のプリントも、全員分用意しておきます。
1分経ったところで、全員に、配布します。
全員に配布される間に、式と答えのある拡大プリントも、黒板に貼ります。
分かる助走問題と、正答教授が、イメージを持ちにくい子どもたちの参加度を高めます。
絵に描いて考える
文章の意味のイメージを持ってから式を立てる、それが文章題の解法のポイントだと考えています。
6mで12kgの重さの絵
(絵)ーーーーーー (式)12÷6=2 (答え) 1 m は2kg
そして初めて、
「6.3 m の鉄棒があります。重さは7.56 kg です。1 m あたりは何 kg ですか?」
という、教科書問題を模造紙に拡大コピーした、文章題を貼ります。
「鉄棒の絵を描いて、数字を書き入れ、式を立てましょう。」
助走問題で絵が描けているので、本日のねらいの小数問題でも絵が描けます。
絵が描け、意味が取れていると、計算も授業も楽しくなります。
6.3mで7.56kg
(絵)ーーーーーー (式)(7.56×10)÷(6.3×10)=75.6÷63=1.2
(答え) 1 m あたり1.2 kg
早く解けた子どものために、文章題の1問プリントを、教卓にかごで用意します。
隣の人とノート交換して説明させたり、黒板に絵と式を描かせたり、説明を発表させたりします。
全員で確認し、まとめます。
数字やわり算筆算を扱うだけでなく、イメージで理解することを形成する点が、算数文章題では重要です。
低学年のころから、6年間続けたいです。
概算予想
また、小数の文章題では、7kgあって6mだから、答えは 「1mでは1kgとちょっとが正答だ!」という、大ざっぱな概算予想も大切です。
概算予想ができると、答えの位取りの大きな間違いがなくなります。
助走問題と、文章の絵図化が、解法のポイント
本日のねらいの問題を、イメージしやすくする助走問題と、絵を描いて理解することが、特別支援教育の視点だと思っています。
助走と絵により、算数に苦手さや困難を持っている子どもにも、文章題の意味が分かりやすくなります。
4年生ごろから抽象化する算数を、嫌いになる子どもも増えるので、可能な限り、絵や身振りで脳外にイメージを見せて、「分かる」「楽しい」算数にしたいですね。
おうちの方が宿題を手伝うときも、文章題を絵に描くことを、是非やって見せてあげてください。
猫ちゃんブログへのコメント
「助走問題でイメージして考えられるようになる」、特別支援教育の視点だと思いました。それと比べれば、「わられる数もわる数も10倍する」とか「分数の割り算はひっくり返してかける」などは、考えないから早いだけだということがよくわかります。
それにしても、猫ちゃんの仕事はどこまでも進みますね。
子どもとの1対1の個別の学習場面から、子どもの側が何が分からないかが、分かるようになりました。
学習のどこで考えることをやめるのか、何なら取り掛かるのか、などです。
子どもは分かれば考える、分かれば取り掛かります。
分かりやすくするには、可能な限り脳外事象(実物、模型、身振り、写真、絵、マークなど)を提供することでしょうか。
脳内事象(文字、音声)だけになると、イメージを持てない子どもが出てきます。
その数名の子どもたちにも分かるような保育や授業をする、そういう特別支援の目線を持ってもらえるように、子どもたちから学んだことを紹介していきたいです。