介護保険制度 介護サービスの利用経過

認知症を本人はどう受け入れるか?

 家族の認知症を疑って、病院に連れて行こうと思っているところだったり、介護が始まったばかりで不安に思っているところだったり、様々な介護の岐路に皆さんが立っていることと思う。

ヤエさんが認知症診断を受けたのは、83歳だった。

通いなれた内科で、内科医にヤエさんの最近の物忘れエピソードを私が話すと、「いいお医者さんがいますよ」とヤエさんに言ってくれて、神経内科医に回してくれた。

語り口がソフトな、優しい30代の神経内科医は、その場で簡易MMSE検査をしてくれて、ヤエさんに向かってにこやかに「記憶が少し大変になっています。脳の写真をこの次に撮りましょうね」と言ってくれた。

MMSE検査で単語を覚えておく項目があったが、その場でその記憶が自分でも悪いと思えたヤエさんは、明るい笑顔で照れ臭そうに、画像検査を受け入れた。

1920生まれのヤエさんは、医師のような尊敬すべき権威に弱く、素直だった。

そういう具合で、我が家は「直近の記憶が大変になる高齢者」ということを、本人が穏やかに受け入れた。

祖父が85歳くらいから認知症の症状があったことも、ヤエさんにとってはよかった。

83歳の自分にも来た、自然な老化として受け入れられたと思う。

その後もヤエさんは、物忘れのために悲しんだり、怒ったり、徘徊や妄想などは、なかった。

レビー小体型の認知症は幻視・幻覚があるなど、本人にも家族にも大変な症状があるが、ヤエさんは穏やかなアルツハイマー型認知症だった。

ヤエさんが利用した居宅介護の15年

 介護が過ぎた者にしか語れない、介護の経過を以下に書いてみたい。

皆さんの介護の見通しの1つの例になったら、嬉しい。

0.認知症診断だけで家族が見ていた(4年間)83歳~

以下は、介護保険制度利用の居宅介護が、約11年だった。

1.自治体高齢福祉課の高齢者認知機能支援教室(1年半)要支援2 87歳~

2.通所介護(デイサービス、医療型25名定員)(1年半)要介護1 89歳~

3.認知症対応型通所介護(デイサービス12名)(1年半)要介護3 91歳

4.認知症対応型通所介護(デイサービス12名)(5年間)要介護3 92歳~

最後の1年の前半4か月は施設介護・病院入院などを、あちこち右往左往して、最後の半年は居宅介護で、自宅で看取った。

最後の10か月は、車椅子移動と一日中オムツの生活になったから、介護認定を受ければ、要介護5になったと思う。

5.介護老人保健施設(これは施設介護に相当)(2か月)要介護4 97歳

6.デイサービス付き高齢者住宅(25名定員) (3日間)要介護4 97歳

7.小規模多機能型居宅介護(宿泊30日迄12名)(1か月)要介護4 97歳

8.認知症対応型共同生活介護(グループホーム9名)(1か月)要介護4 97歳

9.病院に3回入院、脱水、尿路感染症、発熱 (2か月)要介護4 97歳

10.認知症対応型通所介護(デイサービス12名)(4か月)要介護5 98歳

11.訪問医療を使う予定だったが使う日の朝に、自宅で逝った。

他に利用できる介護保険制度

1.特定福祉用具購入(ケアマネ相談➡申請➡許可。毎年、年間10万円まで)で、ポータブルトイレ、入浴椅子、入浴手すり、移動用リフトの吊り具部分などを、1割負担で購入できる。

申請許可で、福祉用具事業者から手摺購入も1割負担
矢崎化工の回転椅子4万円の1割負担で購入できる

2.福祉用具貸与(ケアマネ相談➡申請➡許可。12品目を1割負担でレンタルできる)で、徘徊探知機・離床センサー、4点杖、歩行器、車椅子、玄関スロープ、ベッド、エアーマットレス、移動用リフトなどを借りられる。

歩行器ハッピーミニは1か月レンタル250~350円など。https://amzn.to/3BGKFMD
車椅子は1か月レンタル750~1350円など。
玄関スロープは1か月レンタル250~350円など。
ベッドは1か月レンタル1000~1300円など。おむつ交換には電動上下昇降がおすすめ。

3.居宅介護住宅改修(生涯にトータルで20万円まで。手すり、便器取り換え、段差解消、床面変更、扉の取り換え、などの5種類の工事と付帯工事)で、玄関手すり、室内手すり、浴室手すりなどを付けられる。

住宅改修費で手摺りを設置(工事費込み6万円の1割負担でOK)
中央が後付けの浴室手摺り(工事費込み2万円の1割負担でOK)

我が家で使わなかったが早期に使うといい訪問医療制度

介護の渦中では、私は制度とサービスの全体がよく分かっておらず、分からないまま知っている介護だけを利用して、喫緊に必要なものを購入する介護だった。

要支援2~要介護4まで、毎日自宅から通えるデイサービスしか、考えたことがなかった。

要介護4の後半になって、30日まで泊まれるショートステイと、入所させる介護老人保健施設(いわゆる老健)を初めて考えた。

要介護4で、訪問医療と訪問看護を早期に使うと良かったと、後になってから思った。

ヤエさんは要介護4まで、通院できる期間が長かったので、いつ訪問医療に切り替えるといいのか、私がわからなかった。

半年の間に入院が2回起きたら、在宅介護では、訪問医療に切り替えるといい。

我が家では、脱水と尿路感染症による発熱で、4ヶ月の間に2週間ずつの入院が3回起きた。

車椅子通院のために福祉車両を購入しなくても、歩けるうちに訪問医療に切り替えたらよい。

初めての介護では、経験者からの情報が大事だ。

毎日通っているデイサービスの介護士さんや、ケアマネージャーさんにその場で尋ねて、制度を図解してもらうか、制度の冊子のページを説明してもらうとわかりやすい。

私は、ケアマネさんの言葉の説明だけでは、全体の仕組みと個々の制度の関係が全く分からなかった。

介護うつになると、とにかく閉じて休んでいたいから、ケアマネさんに質問することも、次の施設へ見学に行くこともできないほど、疲れている。

皆さんは居宅介護でつぶれないうちに、介護の最初に、グループホームや施設介護も見学して、全体を見比べておいてほしい。

猫ちゃんブログへのコメント

タイトルとURLをコピーしました