似ているものを間違える、という状況は、誰でもよくありますね。
2~3歳くらいの小さい子が「とうもろこし」を「とうのもこし」と言い張ったり、
大人でも「階段」と「回覧」を聞き間違えたり、
文章中の「 どこも」と「こども」を読み間違えたり、
電車のホームの「上り」と「下り」を間違えたり、
約束の日にちや、曜日を、1日間違えたりします。
では、どうやって我々は、似ているものを区別しているのでしょうか。
子どもたちが、学習する時の、形・文字・漢字で、似ているものを、見ていきたいと思います。
大きさ・面積が似ている
〇と🔲
線分の辺が似ている
△と🔲
線分が似ている
ー 二 三 ミ 彡
似ている数字
235 69
似ているひらがな
のめぬねわれ さちらるろを
似ているカタカナ
フスヌヲ ラテ
似ている漢字
口日目白百自首道 人入 花草前 全金 虫足 枚校 板坂 北非
似ているアルファベット
bdgpq mnh
似ているものを分ける方法
1.仲間集め:目耳口手足顔額(身体の漢字)、
山川日月火水木土田峠(自然にある漢字)、
上下・左右・前後・大小・高低・軽重(反対言葉になっている漢字)など
2.分類:木へんの漢字、人べんの漢字、禾へんの漢字など
3.異同弁別:右と左、石と右、岩と石など
4.同時提示・比較照合・差異への着目:「右左石岩」など、一度に呈示して、どこが同じ・どこが違うかを言語化する
5.孤立項:太太太太太犬太太
6.書字運動:なぞり書き、空書き、見本を見て写す、書道など
7.言語的こじつけ
例えば、「寺つくり」で、共通した漢字を並べ、それぞれ意味から、違いを登録します。
寺は、土と寸に分けて、覚え方は「ドスン」。
詩:寺で詩を言う
侍:侍は一人で寺に
待つ:相手を待つ時は二人でぎょうにんべん
持つ:荷物を手で持つ手へん
特別:特別な日は寺で牛肉を食べられる牛へん
実際の文字練習・漢字練習の手伝い方
1.白抜き線書き
2.なぞり書き
3.見本を上部に置いてその下に書く
4.見本を左右に置いてその隣に書く
5.見本を見て書く、ノートに書く
6.空書き=横に並んで一緒に、人差し指で空中に大きく漢字を書いて、自分で漢字の痕跡をイメージできるようになれば素晴らしいです。
7.言語的こじつけ
漢字を書く子どもの隣で、子どもの書字速度に合わせて、へんとつくりを分解して言ってやります。
線分の数が少ない「カタカナ+象形漢字」に分解して、言ってやりましょう。
例えば、「禾」=「のぎへん」は「ノと木」に分解合成されます。
すると、漢字が難しくなってからも、分解と合成で言えます。
例えば、「朝」は「十日十月」
総合の「総」は、「糸へんにハム心」
例えば、
薔薇も 、記憶しようと思えば、「草冠十人人一回、草冠行人べん山一ルノ一✖ 」こんな感じで。
憂鬱も、「一ノ目ワ心又、木缶木ワ必ず囲んでヒノノノ」こんな感じで覚えることも可能です。
へんとつくりの分解と合成を、言葉で言えるようになることが、漢字記憶を助けます。
家庭の宿題や個別指導では、本人が言葉で言えるようになるように、大人が何度も言って見せてやりましょう。
他にも、足し算や引き算の繰り上がり繰り下がり、3桁の掛け算や3桁の割り算などの筆算を、スラスラと出来るようになるには、やり方を本人が言葉で言えるということが大切です。
プリントや漢字練習帳の宿題
漢字練習のそばについて、へんとつくりの分解を言い続けてやれない時は、書き上がった漢字練習を後で見せてもらいます。
1.漢字練習の間違いを指摘する前に、必ず、書いた事実を認めます。
「やったね!👍」
2.間違いがあれば、「この漢字は、お母さんはこうだと思ったんだけど、お母さんが間違っているかどうか、調べて教えてくれる?」と、2つの漢字を紙やホワイトボードに書いて見せて言うと、書き上がった宿題を修正するという、見比べ修正行動も起きやすいです。
3.そして、プリントや漢字練習帳の漢字を、自分で修正するはずです。
漢字練習に取り掛かりにくい子供への「声のかけ方」
夏休みに子どもさんが学習しているそばで、似ている漢字の記憶のコツを、1つか2つ紹介してみませんか。
子どもさんが書いた漢字をけなさず、認めて、励ます、そんな素敵な「声のかけ方」は大場美鈴さんの声かけ変換表を是非真似してください。
「宿題しなさい」「まだやってないの!」は、厳禁です。
誰でも、まだしてないことを、非難すれば、ますますやる気が失せますね。
「まだ掃除機かけてないのか…」と言われたら、私も「ホコリじゃ死なないわ…」「自分でやったらどうなの…」という気になります。
宿題をさせたければ、「エアコンの中で、アイスクリーム食べて、オリンピック見たいよねぇ」と共感しておくほうが、行動の区切りに「パパが帰ってくる前に、(あるいは夕飯の前に)、漢字練習やっちゃおか?」が有効になりやすいです。
その時、宿題プリントも、漢字練習帳も、筆箱も、出してやり、鉛筆を手渡して見守ることが重要です。
私も、「ハイ、掃除機!」と、ニッコリ手渡されたら、「ひゃー、ありがとう」と、掃除機をかける気になります。
誰でも、何でも、お互い、取り掛かりが億劫ですよね。
そういう共感を根底に付き合うと、良さそうです。
子どもたちの中には、締め切りギリギリ実行派の子どもたちもいるので、夏休み終了日の最後の日にはやるだろううと待ち構えて、保護者は2日間ほど休暇を取っておくことも大事です。
①一文字でも取り掛かったことを認めて言います。
「取り掛かったね、始めたね、書いているんだね」など。
②本人が書き終わったことを認めて言います。
「書けたね、全部書いたね、一気に書いたね、たくさん書いたね、丁寧に書いたね、綺麗に書けたね」など。
③間違いを真っ向から指摘せず、「こうだと思うがどうか」と提案します。
子どもが書いた漢字と、大人が知っている漢字を、同時に2つ並べて書いて見せて「この漢字って、こうにも見えるし、こうにも思えるけど、どうなっているのかな? 一緒に調べよう。」など。
夏休みの自由研究の宿題に、ペットボトルキャップで、ひらがなやカタカナ、漢字の熟語調べなど、親子で一緒に行なうのも楽しいですね。
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