介護保険制度の住宅改修費で手すりを付けよう
自宅でヤエさんが室内を移動するのに、手すりが欠かせなかった。
病院に行くと、程よい高さのがっしりとした高価な手すりが、ふんだんに使われている。
病院の手すりは、持つところも様々に工夫されており、真似たかったが我が家は予算が少ない。
介護保険制度の20万円の住宅改修費を使えば、玄関・室内・浴室の手すりはどのお宅も完備されそうに思う。
我が家では、住宅改修制度を知るより以前に手すりを付けた。
ヤエさんに必要だと思った翌日に、ホームセンターのカインズに飛んでいき、手すりを購入し電動ドライバーで設置した。
病院の廊下の手すりのように、床と平行の手すりを切れ目なく壁に付けることは、我が家では不可能だった。
エレベーター・トイレ・階段と、至る所に出入り口があり、ドアや引き戸があった。
床と平行につけられない場所には、27cmの短い手すりを、縦に取り付けた。
手すりのないところをヤエさんが移動するには、歩行車が必要だった。
なぜ転倒するのか?
ヤエさんは、要介護3ごろ、度々転倒した。
歩行とは2本足でなく、片足ずつ立つことが出来なければならない。
ヤエさんにそれが難しくなったとき、転倒が増えた。
それで、手すりが必要だった。
片手で手すりを持つと、手が3本目の足になる。
外出のとき、1点杖を持っても転ぶようになったら、4点杖を使うといい。
4本足と同じになる歩行車を、早期に使うといい。
それが、頻回の転倒を防ぐ。
私もヤエさんの介護中はそうと分からず、今になってそれに気付いた。
遅かりし由良之助である。
要介護4では、片手の手すりも次第に難しくなり、ヤエさんは両手で手すりにつかまり、常に4本足で移動することが必要になった。
手すりは、廊下の両側にあるとよかった。
機能訓練の時の手すりのように、体の両側にある手すりだ。
片側手すりだと、手すりを持った手が後ろへ残り、出した前足の肩から前方へ転倒しやすい。
歩行車であれば常に進行方向と同じに、持ち手が前方にあるので、転倒を避けられる。
直進の時は手すりでもいいが、ヤエさんが90度曲がったり180度回転したりする時は、見守りや介助が必要だ。
歩行車の4本足になっても転倒が起きるようであれば、車椅子が必要だ。
手すりをつかむ手もだんだん不器用になる
ヤエさんは、要介護1ごろは手すりを上手に使っていた。
食事では、お箸も上手に使っていたころだ。
要介護3では、歩行車や車椅子を押して歩くことが必要になった。
要介護4の後半では、ヤエさんの指が不器用になり、手すりをつかむというよりは、壁に手が突進してから手すりをつかむという感じだった。
食事では、自分で食べることがスプーンでも難しくなったころだ。
手すりの付いた壁には、ヤエさんの爪の突撃の跡がたくさん残っている。
手すりが壁に近すぎると、要介護4くらいでは本人が手すりにつかまりづらい。
手すりは、ある程度壁から離れていることが必要だとわかった。
オムソリの「ちょっと てすり」は、壁から6 cm 離れる。
しかし、要介護4のヤエさんには、そういう手すりが必要だった。
住宅改修の手すり設置の際に、可能であれば、廊下の通路が広ければ、車椅子の幅に差し支えなければ、手すりは壁から5~6cm離すことをおすすめする。
我が家は、私が取り付けたカインズの手すりは、壁から3 cmしか離れていない。
つかみにくいから、ヤエさんの手が、壁に突撃するわけだ。
手すりの高さと取付場所のシュミレーションをしてから申請
住宅改修費で手すりを設置してもらう前に、ダンボールを手すりの幅にカットして、セキスイ養生テープやダイソーの養生テープで、段ボール手すりを室内に止めてみるといい。
手すりの高さと手すりの取付場所を検討してから、改修を申請すると良い。
ご本人の身長と手の位置を現場で家族が検討してからにすると良い。
手すりが高いと、身体が反り返り、手に力が入らない。
手すりが高いと、転倒しやすい。
手すりは、やや低めの方が力が入る。
本人が両手を下ろしたときに、楽につかめる高さが良い。
要介護4ごろ、身長145 cm のヤエさんの手すりの高さは70cmでいいくらいだった。
設置の高さが高い手すりは、力が入らない。
手すりはできるだけ、低く設置した方が良い。
本人の立ち会いで、本人が手を下げたときの位置を測って、設置できることが一番だ。
本人の立会いが無理な時は、家族が本人の身長の高さにしゃがんで、手すりの位置を決めたら良い。
こたつテーブルは63cmの高さがよかったが、椅子の肘が入らないので、我が家のこたつは高さ66cmだった。
立つとき、頭が前方へ下がれば転倒しないが、テーブルが高いと、頭が反り返り、転倒が起きやすい。
玄関手すり・浴室手すり・室内手すり
玄関の手すりも必須だ。
93歳、要介護3、我が家も住宅改修制度を使って、玄関手すりを工事費込みで6万円で付けてもらい、1割負担の6000円で済んだ。
この玄関手すりは、設置から5年間、ヤエさんが車いす生活になるまで、毎日役立った。
これがないと、車から室内へ入れなかった。
浴室の手すりはもちろん、トイレの手すりも、階段の手すりの上下も、手すりの間隔が途切れないことが重要だ。
部品とすると10%くらい高くなるが、手すりの角は壁に丸く接着するほうが安全だ。
我が家は、階段手すりが棒状に切れたままなので、ヤエさんの上着のすそが絡んで危険だった。
エレベーター内にも、手すりが付いていることが必要だ。
椅子には、肘がついているといい。
ベッドには、脱着できるサイドガードがあると良い。
手すりは、木製手すり タテ・ヨコ兼用 300mmが良い。
冬、木製は金属製より冷たくない。
車にも、助手席のフロントAピラーに、手すりがあると乗降が楽である。
住宅改修費の20万円や、福祉用具購入の毎年の10万円などを、皆さんは在宅介護のごく初期に、意識して介護保険制度を有効に活用されるとよい。
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