絵に描くとイメージが持てて会話になる、許可を求めるソーシャルスキルの形成の仕方

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今回は、絵に描いてたずねたら、状況を詳しく述べることができ、1つだけお願いしたら、「許可を得る」ソーシャルスキルが連続して自発した Q ちゃんについて紹介します。

Q ちゃんは、頭の良い活発な男の子です。

じっと座っていることが、苦手です。

体重が重くなる、5~6年生頃には落ち着くと、私は考えています。

Q ちゃんは、鉛筆の芯を折ったり、消しゴムを細かくちぎったりして、学校の5時間を耐えて帰宅します。

Q ちゃんの鉛筆や、消しゴムを見ると、頑張っているなぁ、という感じです。

毎週購入して、毎日用意する、お母さんのお世話は大変ですが、 Q ちゃんがそうやって適応しようとしていることを、理解してくれるお母さんです。

Q ちゃんは、人に許可を求めないで、物の方に直接行ってしまうことがあります。

目に見えない、はっきりと説明されない、常識やルールを、汲み取ることが苦手なのです。

お母さんや先生、友だちから、言葉だけでたずねられて、出来事の説明や、自分の気持ちを言うことが苦手です。

パンチの原因を教室の絵を描くことで話し合えた

お母さんが私に、学校での出来事を、小声で教えてくれました。

 Q ちゃんは叱られるのが嫌で、お母さんには学校での出来事を報告しないのだそうです。

お母さんは、先生やお姉さんから、情報をもらっているそうです。

私はとりあえず、教室の絵を描いて、Qちゃんに「座席はどこか」と聞いてみました。

私が大雑把に、座席を、4川×4列で16個ぐらい描きました。

すると Q ちゃんは「4人のところと、5人のところとある。29人。」私の描いた座席の間に細かく座席を描きました。

「大体の場所を教えて」というのは伝わらず、厳密な教室座席配置図が出来上がりました。

絵に描くと、Qちゃんの記憶はしっかりとあり、そして再現は非常に厳格です。

音声だけの質問でなく、絵に描いたことで、 Q ちゃんが会話に乗ってきました。

絵だと、イメージを持ちやすいようなのです。

私が先生の教卓を、教室の真ん中に描くと、こっちだよと、南の端に描き換えてくれました。

「廊下側と、窓側と、今の席はどっちかな。だいたいこの辺かな?」と、私が真ん中に鉛筆で座席を描くと、 Q ちゃんは「3番目なんだよ。前は5番目で、次は21番目で、そして3番目」と厳密に教えてくれました。

すごい記憶です。

相手が何を求めて聞いているかという、意図の汲み取り方はQちゃんは少し曖昧ですが、私の脳内のイメージを脳外に絵で描いてみせると、事象を非常によく記憶しており、会話もしてくれることがわかります。

そして自分から、「僕がここにいたら、〇〇ちゃんが、ここをピューと走ってきて、肩がぶつかって、………」と話してくれました。

友だちが教室の中を走った、しかも、走ったために僕に肩がぶつかった、二重のいけないことを友だちがした、言い合いになったとすれば、 Q ちゃんが手を出した理由がわかります。

 Q ちゃんは、これまでも、たいてい理由を言えないまま、悪役を叱られてきました。

なんだか、切ない気がします。

もちろん、友達の行動に我慢できないで、手を出した Q ちゃんが悪いです。

しかし、そこに至る経過は、むしろ、友達の方が原因を作ったように、私には思えました。

教室の29人の座席の描きかたの厳密さや、座席の順番のずば抜けた記憶を考え合わせると、 Q ちゃんに強すぎる正義感があるかもしれません。

そこで「教室は狭いし、廊下も教室も走らないことになっているから、歩こうね。狭いところを走れば、わざとじゃなくても、肩がぶつかるね。」という風に、次はこうしてね、という注意が、友だちに対して、できるとよさそうです。

「今の君が✖」というダメ出しだけだと、友達も怒って、言い合いになります。

「教室が狭いからさあ、歩いてね」と頼むことが、友達と仲良くするコツですね。

Qちゃんも、この次は、パンチで注意するのでなく、言葉で注意できるとよさそうです。

お母さんには、「このように絵に描いて話し合うと、 Q ちゃんも出来事や気持ちを話してくれる。大人も頭ごなしに叱るのでなく、事情を聴きだしやすい。」とその場で伝えました。

お母さんも、絵を描いてやると事実を話しやすいということが、とてもよくわかった様子でした。

お家で、きっと、そうしてくださいます。

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Q ちゃんはとっても早口で何と言っているのか聞き取りにくい

お母さんは、Qちゃんと毎日暮らしているので、Qちゃんのしゃべりをとても良く分かっています。

ところが私は、最近の学校の様子・好きな勉強・嫌いな勉強・給食・偏食についてインタビューしたのですが、 Q ちゃんの返事の言葉がほとんど聞き取れませんでした。

早口で、単語で、ゴニョゴニョ言い、相手にわかるような文章で言えないのです。

しつこく何度も聞き返しても失礼なので、私はなんとなく分かったふうでいました。

麺類がいやなこと、スープが嫌なこと、を教えてくれ、それは聞き取れました。

教室の絵を描いたやりとりでは、非常によく、Qちゃんの音声や話が分かります。

Q ちゃん自身も、絵を見ながらだと、言葉がゆっくりになり、はっきりになりました

Qちゃんと話し合う時、大人の持った脳内イメージを脳外の絵に描いて見せ、Qちゃんの脳内イメージと一致させるということが、とても大事に思えました。

もしかしたら、友だちとの会話でも、この早口だと、言いたいことを分かってもらえないのではないか? 

友だちに、「何を言ってるのか、わからない」と言われて、カッとするのではないか?と想像しました。

そこで、言語聴覚士の先生に、通級指導してもらうと良いのではないかということで、ことばの教室宛にお便りを書き、お母さんに持って行ってもらいました。

似ているカタカナと似ている漢字の練習をしました

「シ ツ」「ン ソ リ」「十 木 本」「王 玉 金」「大 犬 太」を同時提示・比較照合で学習しました。

また「シ」は横横横、「ツ」は縦縦縦と言う具合に、線分に名前をつけて書かせました。

これが、線分の運動に対するコツの言語化です。

これを、お母さんに、手伝って下さいと、お願いしました。

本人は、目で、一生懸命写しているので、言語の部分を、お母さんに担ってもらうわけです。

丁寧に、美しく、一生懸命、書いてくれました。

たくさん褒めました。

注目しやすい、書きやすい部分から書いていいことにして、書き順は問いません。

苦労して書いているので、書き順の負担まで要求すると、努力の気持ちが切れます。

相手に許可を求めるスキル

学校でQちゃんが、突然友だちの手と鉛筆を持って、急に書かせようとした話を、お母さんがしてくれました。

それを聞いて、Q ちゃんが、私の私物や、私の机の引き出しを開けたとき、 叱ったり止めたりせずに、「Qちゃん、開けてもいいですか? 触ってもいいですかって、許可を求めることって、できるかな?」と聞いてみました。

「何々して、いいですか?って聞いてくれると、びっくりしないし、友だちはOKするんだよ」と説明しました。

私がお母さんと喋っていたら、壁の電話線の穴の留め具について、「触ってもいいですか?」とQ ちゃんが自然に自発的に喋りました。

頭のいい子です。

「わー、すごーい、 Q ちゃん、『いいですか』って許可を求めることができたねぇ」と褒めたら、 Q ちゃんは嬉しいのか、その後次々と、開けてみたい引き出しについて、開ける前に「見てもいいですか」と、6回、許可を求めることができました。

終わりの時刻に、引き出しを開けて見るだけでなく、中に触りたいものがあって、黙って取り出して、遊ぼうとしたので、それについては、「引き出しは見るだけで、それはこの次にやろうね」と、帰ることを提案しました。

Qちゃんは、終了と次回への延期にも、穏やかに応じられました。

「見てもいいですか」「触ってもいいですか」「遊んでもいいですか」など、またこの次に、こまかい使い分けのスキルも実践してみたいです。

お家でも、お母さんに「許可を求める」というスキルを、大人の提案で、何度もチャレンジできるといいですね。

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