こそあど言葉の形成の方法

教材No.22-1 こそあど言葉

 指示語「こそあど言葉」を、小学校3年生の国語で学習する。

大抵の子どもは、小さい時から、家族が話すのを聞いて、指示語を身につけていく。

小学校3年生のじゅんちゃんは、お母さんがじゅんちゃんに対して「それ、取って」と言うので、じゅんちゃんは自分のそばにあるものを「それ」と言っていた。

撮影の時のⅤサインの手のひらの向きと同じで、相手の使う指示語「それ」を、そっくり同じに会話に取り込んでいるのだった。

自閉症の子どもさんは、指示語の空間概念が、自然には取り込めないことがある。

教材No.21で「あげる・もらう」の2者関係の空間を学習したように、指示語「こそあど言葉」は、2~3の空間の全体把握の学習を必要とする。

教材No.22-2 物・人・空間の3つの読み取り

「これ」は、自分に近い空間の物を指す。 

「それ」は、相手の人に近い空間の物を指す。

「あれ」は、二人から遠い物について話す。

「どれ」は、分からない物を指す。

自閉症の子どもさんは、「物」それ自体は見るのだが、「物」「所有人物」「周囲の空間」の、3つを同時に把握するということが難しいようだ。

立体的な生活空間での指示語の対応が難しいので、机の上で平面的に学習するとよさそうだった。

本やテレビやゲームが子どもに好まれる理由は、3次元空間を2次元平面で見るから分かりやすいのだ。

体育の競技ルールや運動会なども、ビデオ映像や模造紙描画の、空間が限定された平面で説明すると、子どもにはわかりやすい。

教材No.22-3 指示語の空間の認知

準備する教材の道具は、これまで使ってきた、いつものボール紙の文章枠、単語カードの枠、色の手掛かりのある単語カード、絵などを利用する。

ロールプレイの実物は、30cmくらいのリボンか紐、ハサミと、ダイソーの引き出しを用意しておく。 

机上の教材の位置の通りに、子どもを左手に、先生は右手に、あい向かいで座る。

➀画像のように、「これ」「それ」「あれ」「どれ」について、透明の で空間を示して、先生が説明する。

➁次に子どもに透明の 〇 を持たせ、先生が絵カードで作る事象について、先生が「このリボン」「そのハサミ」「あそこに入っている」などを言ってやる。

先生の作る事象の場所へ、子どもに透明の 〇 を置かせながら、子どもにも先生の後に続いて「このリボン」「そのハサミ」「あそこに入っている」などを復唱させる。

③絵カードによる机上の学習に続いて、実物のリボン・ハサミ・引き出しで、実際に「これを切りたい」「それを貸して」「あそこにもハサミがあるよ」など、ロールプレイしてもよい。

汎化として、ホワイトボードが好きなお子さんであれば、3~4色のホワイトボードマーカーを使って、ホワイトボードに先生が絵事象を描いて学習するのも楽しい。

間違えても簡単に消せるので、子どもはホワイトボードとホワイトボードマーカーが好きだ。

仕上げには、先生が、上記の絵事象のプリント問題を作って、子どもに答えてもらう。

プリントの答え方は、絵事象のすぐ下に「こ・そ・あ・ど」文字カード選択肢が4つ書いてあり、丸で囲む方式にすると子どもは答えやすい。

教材No.22-4 指示語の形成

④選択肢の「こ・そ・あ・ど」語群の枠を4つ並べ、先生が絵事象「このリボン」(下の画像)を作り、子どもが「これ・この・ここ」のカードを対応させる。

同様にして、先生が絵事象「そのハサミ」(下の画像)を作り、子どもが「それ・その・そこ」の文字カードを対応させる。

同様にして先生が絵事象「あそこの引き出し」(下の画像)を作り、子どもが「あれ・あの・あそこ」の文字カードを対応させる。

同様に「どれ・どの・どこ」(下の画像)についても行なう。

子どもが困っているときは、先生が正解の「これ・この・ここ」のカードを先に置いて、子どもに同じ「これ・この・ここ」のカードを上に置かせる。

先生が正解の「これ・この・ここ」のカードを先に裏返しで置くこともよい。

「正解を教えてもらう時、一番学ぶ」とは、中野の教えである。

子どもが「これ・この・ここ」のカードを置いたら、先生が、それぞれ「自分に近い場所だね」「相手に近い場所だね」「 二人から遠い場所だね」などと、つぶやいてやる。

子どもが先生の言葉を模倣して、空間名をつぶやけるようになれば、完成である。

仕上げには、再び先生が、上記の絵事象のプリント問題を作って、子どもに答えてもらう。

やはりプリントの答え方は、絵事象のすぐそばに「こ・そ・あ・ど」文字カード選択肢が4つあり、文字カードを置いたり、選択肢を丸で囲む方式にすると子どもは答えやすい。

脳内の比較対象が、いつも一目瞭然で、すべて目に見せてもらえること、それが特別支援だ。

物事の代わりのことば=指示語の使い分けが、空間概念の使い分けであるということを、じゅんちゃんとの学習で学んだ。

参考:記事ブログさんの「こ・そ・あ・ど」記事画像

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