Dくんは、文字を書くことを嫌がる。
2桁の加減算、繰り上がり繰り下がりの筆算も、苦手だ。
通常学級で、皆と同じように行動したがらず、隣の空き教室で、支援員さんと2人で過ごしている。
学校側も先生方の時間をやりくりして、週に8時間の個別指導を組んでいる。
数回にわたって、私も訪問し、個別指導をやって見せた。
通級指導の、自立活動のような学習だ。
2桁の加減算の筆算・作文・ものさしを使った長さの測定・なぞり書き・お金の表記などを学習した。
教育仮設2-1 問題数を減らして取り掛かりやすくする
1.1問だけ書けるような、小さなホワイトボードを使う。
鉛筆は硬くて書きにくいが、ホワイトボードマーカーは柔らかくて書きやすい。
間違った時消しゴムで消すのは嫌だが、ホワイトボードは指やティッシュで拭けて消しやすい。
2.被加数9+α= から始める。
算数ブロックで、加算の脳内操作を、目に見えるようにする。
3.学習の意欲を支える楽しいもの、D君の好きな石(確定域)のシールで意欲を下支えする。
4.通常学級で配布された12問のプリントに、時かに答えを書くのは嫌だと断られたら、
5.一旦引き取って、後回しにして、またのチャンスを狙う。
6.解答は、指を使っての、追い足し算でも良い。
考えることに集中すると、良い姿勢になる。
7.わかる・できると思い始めると、1問・3問・7問と、問題数を増やしてもやれる。
8.再度12問プリントを「できた答えを写すだけだよ」と勧めると、ホワイトボードマーカーで、プリントに答えを記入できる。
9.問題をたくさん出してもいいと、自発的に言い始める。
被加数8+α= に移る。
疲労が見えた時には、+1から順序よく出題すると、楽にやれる。
脳は、楽にやれる・スラスラできるときに、活性化するそうだ。
10.鉛筆で12問のプリントに、自力で考えて答えを書き始める。
11.最終的には、12問全てに答えを記入できる。
教育仮設2-2 単語カードを使って脳外で作文を構成する
12.Dくんの大好きな石を、一緒に校庭で拾ってくる。
12時までに戻ることを、マーカーで時計に書いて約束して、一緒に出かける。
「戻ってきたら作文を書くよ」と予告しておく。
拾う石が10個で終了し、教室に戻りやすいようなケースを用意しておき、持たせて出かける。
13.約束が守れて10個拾って教室に戻り、石について聞き取りをし、こちらが聞き書きをする。
石について表現することと書くことの、2つのことが同時にできないので、まず石について先に語らせる。
14.次に、こちらが単語カードに書き記した語群から、石の説明に合うものを選んで、文章を構成してもらう。
15.単語カードで構成した文章を、鉛筆で清書する。
16.4時間目で疲労が出て、お腹も好き、 SOS カードで終わりを訴える。
教育仮設2-3 実物の長さを測定し 付箋紙で脳外作文を書く
17.別の日、「田んぼにカニ取りに行きたい」と言うので、職員室で許可をもらい、12時までに戻る約束をして出かけ、田んぼでカニを取ってきた。
通常学級の同級生も、初めて竹のものさしを使う日だった。
とってきたカニの長さを様々に測定した。
これは嫌がらずに、cm の書記作業をした。
実物に触れる時、生き生きとする D くんだった。
18.カニ取りのことについて、付箋紙作文を書く。
バケツでカニを見ているところへ近づいて、私が付箋紙に書いた単語語群を見せて誘った。
Dくんは付箋紙単語語群を目でみて読みながら、できそうだな、と思うと席に着いた。
19.用意された付箋紙の単語(名詞)を「いつ」「どこ」「だれ」「なに」「どうした」の作文プリント枠に沿って並べた。
20.付箋紙を並べ、読みながら、抜けている助詞を自発的に書き始めた。
21.文章に必要な、その他の単語についても、自分で書き加え始めた。
22.集中して書いて疲れて、SOS カードを出した。
教育仮設2-4 なぞり書きメニュー作りと お金のやりとり
23.別の日、書くことが苦手で嫌うので、新聞の折り込み広告を切り抜いて画用紙に貼り、レストランのメニューの鉛筆下書きなぞり書きを用意して、マジックで品名や値段を書いてもらった。
24.がってん寿司のメニューを選んでなぞり書きしたあと、模型のお寿司を作って、仲間に配達した。
25.お金の計算をし、お釣りを考えて、仲間とやりとりした。
26.別の日、Dくんは自分でもメニューを作りたくなり、職員室で広告をもらって、自分の好きなお店のメニューを切り貼りし始めた。
はさみも不器用で脇が開き、ハサミが水平になりやすい。
机の上は高さがあるので脇が開きやすい。
机から遠ざかって、椅子を離し、脇を閉めて、お腹に近いところで切ると、脇も閉まって切りやすい。
机から椅子を離して脇を閉めてお腹に近いところで着ると脇も閉まって切りやすい。
以上の事例から、問題数を減らし、ご褒美シールを使い、書く負担を減らし、ホワイトボードを使い、単語カードや付箋紙を使うと、学習の取り掛かりが良く、 触れる石集めやカニ捕りの実物作業から、長さの計測や脳外作文に取り掛かりやすいことが、確認できた。
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