教材No.08-1 身振りサイン書籍の紹介
私はアナログ時代のアナログ人間なため、 情報が古いかもしれないが、ご紹介しておく。
東 正の「ことばのない子のことばの指導」(1979年 学研)は、絶版であるが 、Amazon に時々、中古本が登場するので、たまにAmazon で検索して何冊も購入した。
巻末に、黒子のような衣装を着た女性の、実際の身振り写真が載っていて、真似て使いやすい。
東 正の後継の津田 望氏 の「新 ことばのない子のことばの指導」(1998年 学研)は、手に入りやすい。
これも、巻末に、絵による身振りサインが、掲載されている。
身振りは実物の形取りで、実物をイメージして起きる。
梅津八三によれば、構成信号系の表出系の合図・信号だ。
視覚シンボルによるコミュニケーション教材、日本版PIC実践用具(1995年ブレーン出版)は、400枚以上の白黒の絵単語のカードである。
子どもさんによって、必要なカードを使用すると良い。
香川大学の坂井 聡氏が監修した、Uーシンボル集(五大エンボディ)は、コンピューターを利用した、会話補助装置コミュニケーションボード、VOCAに対応している。
教材No.08-2 身振りサインアプリの紹介
現在は、 iPhone ・iPad を使ってアプリをダウンロードし、デジタルなコミュニケーションの視覚支援を取り入れ、活用している方々が増えている。
私も遅まきながら、デジタルのコミュニケーションツールを使おうと考え、wi-fi 環境で使える iPad を購入して、ノートパソコンのように使おうと考えている。
アプリは、iPad、iPhoneにえこみゅをダウンロードしようと考えている。
絵カードを並べて文章を作り、相手に見せることで言いたいことを伝えられる。
音声再生もできるので、VOCAとしても使える。
「僕が」「お母さんと」「病院へきた」と、絵カードを並べられる。
また、文字による気持ちの表出も、取り入れていきたい。
その他、有料1100円だが 「絵カード・コミュニケーション」をApp Storeで も良さそうである。
教材No.08-3 成人した人とのコミュニケーション学習
病院の発達相談で、3歳で出会って24歳の現在も毎月通ってくるダウン症のまさや君と、7歳で出会って28歳の現在も毎月通ってくる自閉症の一平君の、二人と、絵カードによるコミュニケーションで、楽しい会話をしたいと思っている。
28歳の一平君は、現在では身振りでよく希望を伝えてくれる。
7歳で出会った時は音声がなかった。
当時、注射の時は看護師さん総出で、やってもらった。
小学生でひらがな・カタカナを学習し、特別支援学校高等部を卒業してからも、私と10年算数を学習し、現在では、作業所で作ったかりんとうの販売を、病院内で一緒に行なっている。
現在は、身振りをよく使う。
今では、薬も飲むし、注射も、歯の治療もさせてくれる。
書くペンが欲しい時、机の上で手を動かし、鉛筆を持つ真似、書く真似をする。
引き出しを見つめることで私に紙を要求し、「せいかつ(野菜の水くれ)、マルエドラッグ、休み休み休み、11/28(土)」と3枚に書いた。
メモ帳1束の全部に繰り返し書くこともあり、強い伝達意思を感じる。
小学生の頃はよそのお宅のガスボンベの蓋をいじったり、タクシー会社の表示シールを欲しがったり、ポスターを集めたかったりと、様々なブームがあって、その時々にお母さんを困らせた。
今は、夜中の3時まで寝なかったり、無料のパンフレットや紙ナプキンを大量にもらってしまったり、一定のブームがあってお母さんを困らせる。
前回私が、絵を描いて、他のお友達も紙ナプキンを使うからもらうのは3枚にしてくださいと頼んだら、よく覚えていて、今回はノートのそのページを自分から開き、5枚だけもらった、約束を守ったという風に、指差し合図してくれた。
私がお願いした約束を、自分から嫌がらずに再確認してくれたのは、初めてだった。
大人になったなあと思う。
音声は、100円玉を10個数えるときなど、明確な音ではないものの、「イ、ニ、サン、イ、オ、オク、ナナ、アチ、ウ、ジュ」と、だいぶ使う。
目がかゆいので目薬が欲しい、足がかゆいので塗り薬が欲しい、 目を指差しながら「め」、足をかきながら「ぬる」と身振りと音声で要求できる。
音は母音に流れやすく、声の大きさも弱いが、身振りが加わることで、そうとわかる。
看護師さんに目薬を5本欲しいと、「め」と言いながら目を指さして、手で5本の5を作って、身振りと音声で伝えられる。
お母さんの30年近い、休みない努力を思う。
小・中学生でお別れしていたら、この方のこの成長を知ることはできなかった。
22年付き合って、身振りや文字や音声で話す人になったことを知った。
嬉しい。
iPad の絵カードによるコミュニケーションで、成人したお二人とのコミュニケーションをこれからも進展させていきたい。
お二人がグループホームで暮らすようになる時、コミュニケーションツールに使えるといいと思う。
教材No.08-4 身振りサインがお母さんとの間で成立していた浩一君
浩一君は、とても楽しい人で、ユーモアのある映画が大好きだ。
浩一君は音声の言葉がない。
ドクタードリトルシリーズ、タクシーシリーズ、ナイトミュージアムシリーズなどの、映画の面白いシーンを身振りで再現してくれる。
お母さんは、浩一君の身振りの意味がすぐに分かり、私に通訳してくれる。
また、浩一君は、お寿司とそうめんは、回っていないと食べない。
お寿司を指差して、お寿司を要求して欲しくて、回転寿司のお店のセットを工作した。
私が、がってん寿司のお兄さんの、口調の真似をすると喜ぶ。
回転寿司、車、タイヤ、ガソリンスタンド、ユーモアのある映画が大好きだ。
教材No.08-5 文字や数の学習の身振りで、音が出て来た香奈さん
香奈さんとは保健センターの発達教室で出会い、小学校2年生まで学習した。
3歳、年少組の時、非常勤の私が、常勤の井上保健師さんに、「音声のない香奈さんのために保育園の生活写真を撮ってくれ」と依頼した。
井上保健師さんは、すぐに実行してくれた。
井上保健師さんが、リングで束ねた写真カードを香奈さんに渡すと、香奈さんはうれしくて、毎晩それを枕元に置いて眠ったそうである。
香奈さんは、文字の学習を始めると、その場ですぐにその音の身振りを真似してくれた。
算数の加算・減算の身振りも真似してくれた。
身振りの即時運動模倣・意味模倣ができる香奈さんは力があり、ひらがなを全部覚えてからは、音声で話すようになり、小学校の高学年からはうるさいほど喋る人になった。
次回は予定表絵カードについて投稿したいと思う。
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