いじめられて傷ついた子どもたちの、悲しみや不登校、引きこもりや自殺はつらいです。
納得できる事後処理があったとしても、本人の心の傷は、深いものです。
そうであれば、いじめは、事後処理ではなく、予防ができたら最善ですね。
いじめの事後に、子どもを個別に呼んで、謝罪・許容させるよりも、いじめについてクラス全体で話し合う方が、何倍も予防効果があります。
予防がかなえば、心の傷は0、いじめは起きないということになります。
学校教育でも道徳の授業などで、いじめ予防の学習を行なっています。
音声による指示の、理解や記憶に弱い、発達障害の子どもたちに、文章よりもいじめ場面の絵を使って、いじめについて話し合うと、場面をイメージしやすく、予防につながるのではないか、という例を紹介します。
文章だけの道徳教材は、以下のようなものです。
下の画像の、5つの教科書の中で、一番下のいじめの場面の絵の教材が、場面を最もイメージしやすく、わかりやすいです。
中学校の道徳の教科書に掲載されている、教室でのいじめの場面の絵です。
絵なので、小学校1年生から中学3年生まで、いじめの予防教材に、使えます。
文章からのイメージを持ちにくい自閉症の子どもも、記憶が短く文章に長く集中できない ADHD の子どもも、文章を書くことが苦手な学習障害の子どもも、絵の教材で場面をイメージしやすく、授業への参加度が高くなります。
全員にコピーを配布して、いじめの場面をピックアップします
いじめの場面と思うところを、良い行動の〇丸印と誤解しないように、とげとげしい三角△や四角□、あるいは雲形💭などで囲みます。
もちろん、低学年で、形を描くことが難しければ、楕円やフリーな〇丸印で囲っても良いです。
全てのいじめの場面をピックアップできなくても、その子どもが気が付いた場面で OK です。
なぜいじめだと思うのか配布用紙に文章で書きます
先生が1つ、理解の例を黒板に書いても良いですね。
例えば、右のいじめ場面は、「丸めた紙を投げつけている、いじめ。それを笑っている、いじめ」
いじめられている人の表情は、「涙が見えます。」
いじめている人や、それを見ている人は、「ゲラゲラ笑っています。」
などです。
発達障害のある子どもたちは、書き方の例を見ると、要求されていることがわかり、まねできます。
1枚書けたら2枚目3枚目を取りに行って、発見できたいじめの数だけ書きます。
文字を書くことが苦手な児童生徒に対しては、先生に許可を求めに行ってオーケーが出たら、いじめ場面の部分をハサミで切り取って、用紙の空欄に貼っても良いことにします。
「 1つも書かないよりは、絵の切り貼りでも、参加度が高まれば素晴らしい」と仲間に解説します。
書いたものをもとに4人グループで話し合います
一人ずつ書いた文章を元に、4人グループで、9~10個のいじめ場面を発見できたか、確認し合います。
グループごとにホワイトボードで発表します
場面をピックアップして、絵に△印を付け、口頭で発表しても良いです。
場面をピックアップして、理由を文字に書いて発表しても良いです。
先生のリードでまとめます
いじめている子の表情はどうか?
いじめられている子の表情はどうか?
ふざけや、からかいも、相手にしてみたら、いじめなのではないか?
関わらないで、傍観している子も、いじめに加担していることにならないか?
相手の気持ち、相手の表情で、ふざけやからかいをすぐにやめ、その場で謝罪や仲直りが大事なのではないか?
敬愛とは、相手の気持ちを考え、相手の立場に立つこと、
自律とは、いじめかどうか自分で判断できるようになること、
協同とは、傍観者にならずに、いじめ防止に協力し合うこと、
そういう意味の学校目標が「敬愛・自律・協同」とかかげられています。
いじめのないクラス、いじめのない学校が、理想です。
この3つを、朝夕のホームルームで、全員で斉唱すると良いですね。
標語をかかげているだけでは、もったいないです。
道徳やソーシャルスキルと、結びつけて行きましょう。
TOSSの先生方も素晴らしい教材を紹介しています
中学校編では、「傍観者」は、いじめに加担しているのと同じだ!という気づきに、力を入れています。
114ページでは、いじめの構図を見える化します。
いじめの構図とは、からかいレベルに始まって、ごっこレベル、嫌がらせレベル、奴隷化レベル、犯罪レベル、といういじめの5つの程度です。
続いて116ページでは、4つの立場を見える化します。
無関心な「傍観者」は、いじめに加担しているのと同じだ!という気づきにまとめていきます。
傍観者が、いじめの抑止力になる、という考えですね。
いじめを出さない学級はここが違う シリーズは、低学年・中学年・高学年・中学校とあります。
猫ちゃんブログへのコメント