掛け算九九の正答教授法

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教材No.33-1 掛け算の基礎は 足し算

 掛け算九九の基礎は、足し算である。

いくつずつ増えるという、加算の▢穴埋め問題が自由自在でないと、掛け算も難しい。

小学校2年生の算数九九では、まずは5の段を学習し、次に2の段を学習する。

5  10  ▢  20  25  ▢ は、5ずつ増えるということが推論できると、▢も埋められ、5の段の意味が分かる。

5の段は、一の位が5と0の2種類でいいので、5の段は記憶しやすい。

さらに、時刻を5分ずつで読めるようになっていれば、なお5の段の方が記憶しやすい。

2の段は、2  4 ▢  8  10  ▢  14 ‥‥‥、2ずつ増えるということが推論できると、▢も埋められ、2の段の意味が分かる。

そして3の段だ。

3  ▢  9  12  ▢  18  は、3ずつ増えるということが推論できると、▢も埋められ、3の段の意味が分かる。

教材No.33-2 聴覚記憶には 音韻が大きく関わる

そして4の段・7の段になると、音韻から、混乱が生まれる。

かけ算九九は、音声が「し」「しち 」となるところが難しい。

「し・しち」の音韻に惑わされる誤りは、

4×7=24,7×3=24,7×4=24 などだ。

音声が「し」「しち 」となることが、4の段、7の段が難しい理由である。

乗数の音韻に惑わされる誤りは、

7×2=12,8×2=12,9×2=12 などで、2倍の意味が分かっていないと、直近の音声に引かれて、答えの一の位がどれも2になってしまう。

さらに、乗数の次の数字を、言ってしまうということもある。

9×3=24 は、3の次の4を言ってしまう間違いだ。 

これも、いくつ増えるかの加算が、脳内の暗算で、自由自在でないためだ。

いくつずつ増えるかの加算が自由自在でない算数LD (学習障害)がある子にとっては、6の段以上は9の段まで全て難しい。

教材No.33-3 数字タイルを並べる 掛け算九九正答教授法

そこで、6の段から9の段まで、九九の答えの数字タイルを並べる、九九正答教授法というのを思いついた。

九九の正答を子どもに要求するのでなく、九九の正答を子どもの目に見せればいいと思うようになった。

初めは、先生が九九の式を言ってやり、子どもが九九の答えを数字タイルで、小さい方から順に並べていく。

慣れてきたら、子どもが自分で九九の式を言いながら、九九の答えの数字タイルを並べていく。

慣れるまでは、ホワイトボードには、一つの段の答えの数字タイル9個だけ提示して、一段ずつ行なう方が、視覚がすっきりとする。

慣れてきたら、6~9の段まで整然と完成させても良い。

聴覚記憶の九九を、視覚的にも記憶してもらおうという方法である。

並べる運動記憶、目で見る視覚記憶、間違わない安心感、が記憶を助ける。

どうしても脳内記憶が大変であれば、ミニコピーして脳外で、辞書表として頻繁に使えば良い。 

小学校6年生になっても、かけ算九九が定着しない、算数 LD の方に時々出会う。

そういう時は、この数字タイルを使った、九九正答教授法がとても良い。

2.5cm 角のタイルは Amazon や楽天、ヤフーショッピングで、121個1000円前後で購入できる。

直径2cm の丸タイルの方が値段は安い。

是非お試しください。

中学生になった算数 LD の方には、「九九の答えを順序よくたどって、×1から全て言うと時間がかかるので、×5を始めに思い出して、その前後をつぶやくように」と提案することにしている。

教材No.33-4 掛け算九九の意味

九九の意味を実感するには、下の画像のようにタイルを使って5×3=15などを学習する。

枠は、上の画像のように、四方を角材で囲めなくても、下の画像のように、L字に2方向だけ3 mm の角材をボンドで貼れば、タイルを使って九九の意味の学習ができる。

タイルが滑りいいように、表面に、ブックコートを貼っている。

ホワイトボードの角を使えば、角材も、ブックコートも、不要かもしれない。

くもんの棒さし(2020/8/28投稿)のようなものも、九九の意味5×3=15を実感する教材に使える。

TOSS (トス)サークルには、「かけ算九九計算尺セット」という教材があり、ネットで購入できる。

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 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

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