回避行動が起きた時 共感と緩衝行動で対応する方法

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教育仮設No.9-1 社会的引きこもりとは 身の守り行動 

 NHKテレビで、偶然「こもりびと」というドラマを見た。 

繊細で優しい人柄で、自己主張のできない主人公が、周りに合わせることに疲れた挫折から、家庭の部屋に引きこもるようになる話だ。 

生命活動に革命的な新しいことが起こる状況を、心理学者梅津八三(うめずはちぞう)は「革生行動」と呼ぶ。

革生行動は、楽に次々と起きるわけではない。 

新しい学習や、新しい仕事に、次々と対応する状況は疲れる。

新学期や新入社員で不安と緊張の状態が長く続いたり、残業が多すぎ働き過ぎて休暇がなかったりすれば、不登校や過労死に至る人がいる。 

休暇がなくて、残業が多すぎて、もうこの会社では自分は継続して仕事をやっていられないと思い、自分を守るために、転職する人もいる。

そういう自分の身の守り行動が、燃え尽きる前に、楽に起きる人は行動調整が楽な人だ。 

学校教育場面でも同じだ。 

僕にはもう無理だと思って、糸の切れた凧のように、プツンと学校に行けなくなる子どもがいる。 

前回2020/11/24の記事「教室離脱の対応方法」に書いたF君のように、難しいことを回避することで、何とか登校は調整できる子どももいる。⇩

教室離脱に対応する方法
教育仮設No.8-1 梅津八三の行動調整法の心理学梅津八三の心理学については、教材に関するこのブログ投稿の初期に、以下の記事で述べた。「心理学から考える子どもの行動と教材」202/8/15⇩ 梅津八三の心理...

教育仮設No.9-2 粗大な調整と微細な調整

仕事や生活で、全てを放り出さないためには、自分の身を守る「緩衝行動」というクッションが必要だ。 

接近行動と回避行動の間を、緩みで微妙に調整する行動のことだ。

回復のための、休息の行動と思うと良い。 

皆さんの緩衝行動には、どんなものがあるだろうか。 

緩衝行動を言い換えると、ストレスを軽減するための行動、あるいはストレスを抱えながらもそれがあることによって何とかしのいでいけるような、自分を守るためのクッションとなる行動だ。 

F君が回避行動を取ったとき、F君は床に寝転んで、強い拒否の姿勢を示し、自分の身を守った。

大勢の仲間のいる通常学級では、床に寝転ぶのは、粗大な行動で、机の上に伏して断るくらいが、微細な拒否の行動である。 

担任の先生も、机に伏して断られる回避行動であれば、優しい声をかけやすいかもしれない。

子どもが、回避行動で、粗大に床に寝転んだりすると、相対する我々の側も、粗大な行動が起きやすい。 

「起きなさい」とか「だめでしょ」とかを、言いやすくなってしまう。

 粗大な行動に対しては、相手も粗大な行動が引き起こされやすい。

例えば、暴力に暴力で対応するという風な状況が、粗大だ。 

子どもが粗大な行動を取った時、回避行動を取った時、大人は微細に対応できなければならな い。 

それが教育であり、大人である。

教育仮設No.9-3 微細な行動とは相手の気持ちを読む「共感」

回避の行動に対して、微細に対応するとは、子どもの回避の「心を語る」ことだ。 

F君が、どうして苦手な学習に立ち向かえなくて、どうして逃げざるを得ないのか、F君の立場に立って、F君の心を推論できなければならない。

それが「共感」だ。 

共感が欠けると、F君と絆を作れないし、クラスの雰囲気も悪くなる。

大人も結構、心が弱いので、順調の想定しかしていないと、想定外の回避が起きると、辛くてどうしたらいいのかわからなくて、大人も行動調整が粗大になる。 

子どもの拒否や回避に、出会うかもしれないという想定が、大事だ。 

それには、梅津八三の、行動調整の心理学の言葉が、役に立つ。 

大人も子どもも、接近行動が起きる。 

大人も子どもも、あることへの接近が、「自全態(円滑にうまくいく状態)」に至れば、満足して、笑顔が出て、幸せな気持ちになる。

初めは接近しようと思っても、自分の苦手な分野だったり、自分の嫌いな分野だったりすれば、不全態となり、逃げる気持ちも起きる。 

それは、当たり前の素直な気持ちだ。 

回避行動を、誰にも当たり前に起きる自然な行動、自分が苦しまないための身の守り行動だと思えるかどうかが、行動理解のキーポイントとなる。

人は全員が、何にでも立ち向かえる人ばかりではない。 

人はいつでも、立ち向かえる状況ばかりではない。 

個人差というものがある。 

様々な条件によって、できない状況というときがある。 

それを許容できるかどうか、相手の個性を受け入れて、「そうだね、そういう時もあるね」と、共感できるかどうかが、仲良くなるポイントだ。 

F君が逃げた時、F君が床に寝転んだ時、「そうだね、これ難しいもんね。」「そうだね、これ大変だもんね。」「そうだね、やりたくない時もあるよね。」と、まずは、F君の気持ちになって共感できるかどうか、代弁できるかどうかが大事だ。 

NHKドラマの「こもりびと」で、主人公が、大学に落ちたり、正社員に就職できなかったり、長時間労働で疲れて仕事を辞めて、お母さんの介護を頑張ろうと思ったりした時、家族の誰も、挫折に追い込まれた主人公の心の味方になってくれなかった。 

がんばっても、がんばっても、先生や家族に認めてもらえない。

そういう孤独な状況で、生活全体を放棄して、部屋に引きこもるドラマだった。

回避の調整行動が起きたとき、誰も心に共感してくれなければ、引きこもりなどが起きる。

外交的な人は激しい暴力になり、内向的な人は不登校や引きこもりになる。

不登校や引きこもりは、家庭内暴力や触法行為、薬物依存や自殺やリストカットよりは、共感によって回復しやすい気がする。

なんて言葉をかけたらいいかわからないならば、回避の行動に対して、初めはとりあえず共感を示すことだ。 

「そうだね、難しいよね」「そうだね、疲れたよね、一旦休んだらいいよね」と言ってあげたらいい。

それだけで、相手は孤独が緩む 。

先生は「今は後ろで、絵を描いていていいよ。休み時間に話を聞くね。先生、廊下へ一緒に行けないから、戻って来てね。待ってるよ。」

家族は「お父さんも、今すぐどうしたらいいかわからないけど、今夜一緒に考えよう」と 言ったらいい。 

大人もその場で、何て言ったらいいか困ってしまったら、とりあえず否定しないことだ。

叱らないことだ。

拒絶しないことだ。

無理強いしないことだ。 

自分とは違う考え、自分の行動とは違う行動、相手の現勢、相手の気持ちを認めることが、共感だと思う。 

理解できないことも認める、理解できない行動も否定しない、それが共感だ。

金子みすずの「みんな違って、みんないい」とは、そういう意味だと思っている。

接近できなくなって、回避になってしまった行動、その孤独な心の味方になってやりたい。

教育仮設No.9-4 緩衝行動は行動調整を支える大事な行動

全てを投げ出したい気持ちを緩めてくれる行動、皆さんはどんなことをすると、ストレスが回復するだろうか、疲労が回復するだろうか、また少し難しいことにチャレンジする気持ちになるだろうか。 

自分を緩めて、自分を回復させる行動を持っていることが大事だ。 

D君は算数や国語を回避して、石拾いに行きたがった。しかし石拾いの付箋紙作文もした。
G君は算数や国語を回避して、トランポリンという緩衝行動。
G君は45分授業で30分くらい頑張ると疲労して模型で疲労回復。

F君は、図画工作が好きだ。 

昆虫や恐竜も、好きだ。 

折り紙やお絵かきも、好きだ。 

先生は屈んでF君の目を見て「F君の好きなお絵かきを、後ろの席で、静かにやっていいよ。休み時間に先生と話そうね」というような、緩衝行動の提案をした。 

それには、子どもの好きなものにアンテナを張って、知っておかねばならない。

自分の担任する子どもたちの、一人ひとりが何を好きなのか、新学期のうちに情報を集めよう。

好きなものは、子どもたちの持ち物でもわかる。 

ポケモンなのか、鬼滅の刃なのか、ディズニープリンセスなのか、猫ちゃんなのか、昆虫や恐竜なのか、その子の好きなこと・得意な領域を知っていれば、苦しい状況になったときの、緩衝行動に繋げられる。 

Hさんは算数と国語が苦手で不登校、メニュー作りには登校した。
Hさんはこびとづかんが好きで、それに関することならやった。

例えば、私は文章を作る仕事に取り掛かることが億劫な時、パソコンでメールチェックを始める。

そこからパソコンでの、書類作りに移る。

新しく文章を考える仕事に疲れると、コーヒーを飲む。 

考える仕事が嫌で、疲れていると、「明日でいいや」と思ってテレビを見る。

私にとっては、メールやコーヒーやテレビが、自分を緩める行動だ。

接近行動と回避行動の間を支える、緩衝行動の視点を持っていることが大事だ。

子どもの行動を接近と回避で考える。 

行動調整を粗大と微細で考える。 

それぞれその中間を、微妙に調整する緩衝行動の視点を持つ。 

それが梅津八三の言う行動調整法、子どもの行動理解と我々の対応方法だ。

これらの言葉を知っているだけで、随分と子どもへの対処は変わってくる。 

現場の先生方に、梅津の行動調整理論を知って、対応してほしいと思う。 

Ⅰ君は休み時間にレゴをするのを楽しみに45分授業を頑張った。

次回は子どもの得意な領域である「確定域」ということを詳しく述べていきたい。

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