2 保護猫 花ちゃん
10歳を超える保護猫を探していたが、県内ではなかなか見つからなかった。
1か月ほどネットで検索して、ようやく5歳の雌猫を、県内の保護猫協会のサイトで見つけた。
子猫だったクロを亡くした時から憧れていた、生命力が強そうなキジトラ猫だった。
プロの写真家さんが撮ったという、ホームページの掲載写真に、ひと目惚れした。
それが、花ちゃんだった。
ネットで見つけてから2ヶ月経っても飼い主が現われない猫の花ちゃん
花ちゃんを、何週間も毎晩、インターネットで眺めていた。
花ちゃんは5歳のためか、私が見つけてから1か月経っても2か月経っても、新しい飼い主の決定記事が載らないで、そこにいた。
サイトの経歴書には、トライアルのお宅で、夜中に激しく鳴いて、一晩で返されたと正直に書かれていた。
夏になり、私は漸く決心して、インターネットのメールで、花ちゃんを飼いたいと、保護猫協会に申し出てみた。
保護猫協会の保護主さんは、とても喜んで、「譲渡会に会いに来てくれ」と、すぐに返事をくれた。
事前に保護主さんと、何回かメールでやり取りをした。
会いに行くと、花ちゃんは想像していたよりも、堂々とした体格だった。
頭と手足は小さく、しっぽも短いのに、胴体は横綱級だった。
短毛のキジトラ模様と、可愛い口元の点々模様と、エメラルドのグリーンアイがきれいだった。
ツキノワグマのような、首周りの明るい茶色の半月模様も、チャーミングだった。
初対面で、私は花ちゃんを気に入った。
「飼いたいです。」とその場でお願いした。
花ちゃんはもともと野良猫で、2年前に5匹の子猫と一緒に保護されたのだそうだ。
5匹の子猫は、次々と新しい飼い主さんに引き取られ、母猫の花ちゃんだけが残ったらしい。
そう聞いて、子猫と別れた花ちゃんの、悲しみと寂しさを思った。
花ちゃんに会う1年前、私は97歳の親の14年目の介護をしていた。
4か月ほど、親を施設と病院に預け、初めて離れ離れになったことがあった。
そのとき、「身を切るようなつらさ」というものを、私も味わった。
その時のつらさは、産んだ子どもを里子に出すような、心の痛みだった。
子猫と別れトライアルで鳴いた猫の花ちゃん
子猫と別れた花ちゃんのおっぱいは、張らなかっただろうか。
子猫を舐めたり、抱いたり出来なかった花ちゃんの、鳴き叫ぶ姿を思った。
子猫と離れた花ちゃんは、トライアルの新しいお宅で、我が子がどこかにいるのかと、貰われてしまった子猫を探したのではないか。
そういう歴史の花ちゃんだから、保護主さんは、花ちゃんの環境変化を、とても心配してくれていた。
なかなか新しい飼い主さんが現われない花ちゃんは、保護主さんのお宅で既に2年もの間、可愛がられているということだった。
花ちゃんは毎週末の土日に、保護主さんと譲渡会へ欠かさずデビューしていたが、当時3歳の成猫だったこともあり、新しい飼い主さんが2年間決まらずに、5歳になったのだそうだ。
2年も一緒にいれば、保護主さんは情が移る。
保護猫ボランティアで面倒を見て来た保護主さんご家族の、花ちゃんへの深い愛情を思った。
花ちゃんの直接の世話担当だった、保護主さんのお母さまは、花ちゃんを送り出してしまって寂しくないだろうか。
保護主さんとの別れは、花ちゃんにとっても切ない気がした。
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