教材No.10-1 絵や写真カードは状況をイメージしやすい
我々も、日々、ソーシャルスキルを身につけている。
子ども達も同じだ。
子ども達は日常、マークを見かけている。
いつも決まった場所にあるマークは覚えやすい。
位置の記憶が原始的な記憶で覚えやすいからだ。
例えばエレベーターの扉には、下の左のような絵があり、危険を知らせている。
お母さんが絵を指差しながら、「触ると危ないから1 m 離れていようね」 と伝えると、言葉だけでなく予想される出来事が見えるから、子ども達にわかりやすい。
お母さんや先生が脳内で予想する危険を、絵や写真で脳外に見せて伝えることが必要だ。
言葉で急に言われても脳の中で想像できにくい。
絵や写真で見せたら、一瞬にしてわかる。
子ども達にとって言葉だけでは、イメージや自己モニターや空間の全体視は難しい。
下の写真は、保育園の保育士さんの要望で、危険行為を予測させたいというので、写真カードを作った。
✖印のダメ出し写真カードだけではなく、「どうするといいよ」という写真が必要だと思った。
子どもが危険な場所に登っていたら「降りてね」と声をかける。
保育士さんにそう伝えると、すぐに「これは✖危険です。こうしてください◎」という絵を描いてくれた。
素晴らしい。
下は「おはじきを100個入れて、2~3分待っていてください」の物理的なお願いだ。
手持ち無沙汰だと時間を潰せない方には、小さな長い仕事が必要になる。
時間を待つには、豆本やシールブックの持参、9999の数字カウンターやスライドパズル(ダイソーにあり)などの操作でも良い。
教材No.10-2 ソーシャルスキルトレーニング絵カード
下の絵カードは、エスコアール出版から出ている、ことばと発達の学習室 M 作成の「 SST 絵カード幼年版」である。
「 SST 絵カード」の”幼年版1”、保育園の子どもさん用。
保育士さんたちは絵が上手いので、これくらいの絵はサッサッサァーと描いてしまうかもしれない。
「片付けなさい」「前へ立たないで」「静かに」と言葉だけで言われるより、この絵を見せられると、自分と物との関係のモニターと、状況の全体視ができる。
この絵を見せられて、「しまおう」「片付けよう」「座ろう」「寝ているよ」と、誘われたら保育園児にもわかりやすい。
下の「 SST 絵カード」シリーズは小学生版が、➀~⑦まであり、中高生版も別にある。
自閉症の方で、保育園から小学校1年生までくらいの方には、このシリーズの④「一日の生活の絵カード」(左上のピンク)というのがとても良い。
下は、合同出版のイラスト版シリーズである。
このシリーズも数多く出版されているが、私は特に「49の学習動作」、「49の生活技術」、「アンガーマネジメント」の3種類が気に入っていて、就学相談や、病院のSST相談で使っている。
下は、TOSSサークルの「5色ソーシャルスキルかるた」である。
短い言葉と状況の分かる絵があり、ルールがとてもわかりやすい。
TOSSサークルに入られている先生は、小学校1年生に、全員これを購入させたりするらしい。
6年間使えて、それだけの価値のある、ソーシャルスキルかるただと思う。
これをスキルトレーニングに使う時は、できている状況のカードを目標に選ぶ。
立つ時に椅子を入れるとか、挙手するときは手をまっすぐに黙ってあげるとか、物理的に行動をとりやすいカードから目標にするとよい。
スタートは楽にできるところからだ。
ソーシャルスキルかるたに慣れた頃、最もクリアーしたいルールにチャレンジすると良い。
子どものすでに出来ていることを認める声かけをし、その上でチャレンジして欲しいことをソーシャルスキルカードやかるたでお願いする、一貫してそのやり方だ。
玉入れや填め板の教材も、子どもが楽にできることを楽しんで復習し、助走や導入があって初めて、今一番狙いたい教材にチャレンジする。
教材もソーシャルスキルも同じだ。
一番下の右は、特別支援学校の子どもさんに、ラミネートして作った写真カードである。
予定表でもあり、交渉表でもあり、ルール表でもある。
写真状況だけでなく、文字がついていると、構音がはっきりしない場合に一緒に読むことで、状況を共有しやすい。
教材No.10-3 自分の気持ちが言える、相手への言葉の定型
下の左のことばと発達の学習室 M 作成の「 SST 絵カード」の気持ちの一覧表はわかりやすい。
気持ちの表出ができたら、 相手の立場に立った声掛けの定型を覚えたい。
私はSSTでは、「3つ頼むね」とお願いすることにしている。
1つは「うん、そうだね」 「それ、いいね」と、相槌が打てるといいね、と話す。
2つ目は「 遊ぼう、食べよう、見よう」と、レッツで誘えるといいね、と話す。
3つ目は「見せてね。貸してね。どいてね。やめてね 」と、語尾に「ね」をつけてお願いするようにしてみよう、と話す。
下の2番目の声かけの吹き出しの例を与えると、場面にあった言葉を右の2つのように自分で言葉を考え出すこともできる。
教材No.10-4 ソーシャルスキルアップも、現勢の保障と共感から
下は、気持ちの表出が難しい子に、顔色を指差して、SOS を出してもらう。
ラミネートして筆箱に入れておく。
2番目は、「きょうの教室ルールはこれ!」という時は、そこに丸印をつけておくと良い。
3番目と右は、何か出来事があって、子どもの気持ちの聞き取りをする時は、キャロル・グレイのコミック会話のようなプリント(下)を用意しておき、状況を聞き書きしてやると良い。
自分の気持ちだけでなく、出来事全体や相手の気持ちを子どもも整理でき、冷静に全体視と自己モニターができる。
他には、下のキャロル・グレイのソーシャルストーリーや、応用行動分析からのソックス法というものもある。
ルールを評価する方法としては、プリントに花丸、プリントに判子、プリントにシールなどを子どもは喜ぶ。
これも、良くできていることから、評価してあげると、子どもは嬉しい。
その次に、先生やお母さんや子ども自身が狙っているスキルに、チャレンジするといい。
教材No.10-5 大場美鈴さんの『楽々母さんホームページ』
K君のお母さんから教わった、大場美鈴さんの『楽々母さんホームページ』、応用行動分析に基づく共感的な「声のかけ方」は、我々大人のスキルアップに役立つ。
皆さんに、是非のぞいて見てほしい。
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