ソーシャルスキルトレーニングカードの使い方

教材No.10-1 絵や写真カードは状況をイメージしやすい

我々も、日々、ソーシャルスキルを身につけている。

子ども達も同じだ。

子ども達は日常、マークを見かけている。

いつも決まった場所にあるマークは覚えやすい。

位置の記憶が原始的な記憶で覚えやすいからだ。

例えばエレベーターの扉には、下の左のような絵があり、危険を知らせている。

お母さんが絵を指差しながら、「触ると危ないから1 m 離れていようね」 と伝えると、言葉だけでなく予想される出来事が見えるから、子ども達にわかりやすい。

お母さんや先生が脳内で予想する危険を、絵や写真で脳外に見せて伝えることが必要だ。

言葉で急に言われても脳の中で想像できにくい。

絵や写真で見せたら、一瞬にしてわかる。

子ども達にとって言葉だけでは、イメージや自己モニターや空間の全体視は難しい。

下の写真は、保育園の保育士さんの要望で、危険行為を予測させたいというので、写真カードを作った。

「もしもし」と肩をたたくことが◎ 2008/07/02
「あそぼ」と前へ回ることが◎ 2008/07/02

✖印のダメ出し写真カードだけではなく、「どうするといいよ」という写真が必要だと思った。

子どもが危険な場所に登っていたら「降りてね」と声をかける。

保育士さんにそう伝えると、すぐに「これは✖危険です。こうしてください◎」という絵を描いてくれた。

素晴らしい。

2008/09/02 10:16

下は「おはじきを100個入れて、2~3分待っていてください」の物理的なお願いだ。

2011/ 2/21 15:03

手持ち無沙汰だと時間を潰せない方には、小さな長い仕事が必要になる。

時間を待つには、豆本やシールブックの持参、9999の数字カウンターやスライドパズル(ダイソーにあり)などの操作でも良い。

豆本の持参
9999の数字カウンター
スライドパズル(ダイソー・セリアにあり)

教材No.10-2 ソーシャルスキルトレーニング絵カード

下の絵カードは、エスコアール出版から出ている、ことばと発達の学習室 M 作成の「 SST 絵カード」シリーズである。

下の4点のカードは「 SST 絵カード」の”幼年版”で保育園の子どもさん用だ。

「投げないで」よりも「入れよう・しまおう」
「片付けなさい」「一緒に片付けようね」
「前へ立たないで」よりも「座ろう」
「静かに」よりも「寝ているよ」

保育士さんたちは絵が上手いので、これくらいの絵はサッサッサァーと描いてしまうかもしれない。

「片付けなさい」「前へ立たないで」「静かに」と言葉だけで言われるより、この絵を見せられると、自分と物との関係のモニターと、状況の全体視ができる。

この絵を見せられて、「しまおう」「片付けよう」「座ろう」「寝ているよ」と、誘われたら保育園児にもわかりやすい。

下の「 SST 絵カード」シリーズは小学生版が、➀~⑦まであり、中高生版も別にある。

ソーシャルスキルトレーニング指導事例集の本https://amzn.to/3xSbxbp

自閉症の方で、保育園から小学校1年生までくらいの方には、このシリーズの④「一日の生活の絵カード」(左上のピンク)というのがとても良い。

下は、合同出版のイラスト版シリーズである。

アンガーマネジメント https://amzn.to/3r0WJ6D

このシリーズも数多く出版されているが、私は特に「49の学習動作」と、「49の生活技術」と、「アンガーマネジメント」の3種類が気に入っていて、就学児相談や、病院のSST相談で使っている。

下は、TOSSサークルの「5色ソーシャルスキルかるた」である。

行動調整のかるたTOSS教材 | 猫ちゃんブログ

短い言葉と状況の分かる絵があり、ルールがとてもわかりやすい。

TOSSサークルに入られている先生は、小学校1年生に、全員これを購入させたりするらしい。

6年間使えて、それだけの価値のある、ソーシャルスキルかるただと思う。

これをスキルトレーニングに使う時は、できている状況のカードを目標に選ぶ。

立つ時に椅子を入れるとか、挙手するときは手をまっすぐに黙ってあげるとか、物理的に行動をとりやすいカードから目標にするとよい。

スタートは楽にできるところからだ。

ソーシャルスキルかるたに慣れた頃、最もクリアーしたいルールにチャレンジすると良い。

子どものすでに出来ていることを認める声かけをし、その上でチャレンジして欲しいことをソーシャルスキルカードやかるたでお願いする、一貫してそのやり方だ。

玉入れや填め板の教材も、子どもが楽にできることを楽しんで復習し、助走や導入があって初めて、今一番狙いたい教材にチャレンジする。

教材もソーシャルスキルも同じだ。 

一番下の右は、特別支援学校の子どもさんに、ラミネートして作った写真カードである。

予定表でもあり、交渉表でもあり、ルール表でもある。

写真状況だけでなく、文字がついていると、構音がはっきりしない場合に一緒に読むことで、状況を共有しやすい。

教材No.10-3 自分の気持ちが言える、相手への言葉の定型 

下の左のことばと発達の学習室 M 作成の「 SST 絵カード」の気持ちの一覧表はわかりやすい。

状況の認知 https://amzn.to/3r1H3jl

気持ちの表出ができたら、 相手の立場に立った声掛けの定型を覚えたい。

私はSSTでは、「3つ頼むね」とお願いすることにしている。

1つは「うん、そうだね」 「それ、いいね」と、相槌が打てるといいね、と話す。

2つ目は「 遊ぼう、食べよう、見よう」と、レッツで誘えるといいね、と話す。

3つ目は「見せてね。貸してね。どいてね。やめてね 」と、語尾に「ね」をつけてお願いするようにしてみよう、と話す。

下の2番目の声かけの吹き出しの例を与えると、場面にあった言葉を右の2つのように自分で言葉を考え出すこともできる。

教材No.10-4 ソーシャルスキルアップも、現勢の保障と共感から

下は、気持ちの表出が難しい子に、顔色を指差して、SOS を出してもらう。

ラミネートして筆箱に入れておく。

2番目は、「きょうの教室ルールはこれ!」という時は、そこに丸印をつけておくと良い。

3番目と右は、何か出来事があって、子どもの気持ちの聞き取りをする時は、キャロル・グレイのコミック会話のようなプリント(下)を用意しておき、状況を聞き書きしてやると良い。

状況を客観的にモニターする

自分の気持ちだけでなく、出来事全体や相手の気持ちを子どもも整理でき、冷静に全体視と自己モニターができる。 

他には、下のキャロル・グレイのソーシャルストーリーや、応用行動分析からのソックス法というものもある。

キャロルグレイ ソーシャルストーリーブックhttps://amzn.to/3R4ErM9
ソックス法

ルールを評価する方法としては、プリントに花丸、プリントに判子、プリントにシールなどを子どもは喜ぶ。

これも、良くできていることから、評価してあげると、子どもは嬉しい。

その次に、先生やお母さんや子ども自身が狙っているスキルに、チャレンジするといい。

教材No.10-5 大場美鈴さんの『楽々母さんホームページ』

K君のお母さんから教わった、大場美鈴さんの『楽々母さんホームページ』の、応用行動分析に基づく共感的【声掛け変換表】は、我々大人のスキルアップに役立つ。

https://nekochanblog.com/how-to-say-positive-words/

皆さんに、是非のぞいて見てほしい。

いつも下のランキング投票画像をクリックしてしてくださり有難うございます。

人気ブログランキング

にほんブログ村 猫ブログ 元野良猫・元保護猫へ

 病院小児科で臨床発達心理士をしています。
 梅津八三の心理学、行動調整法、子どもの行動理解、育児、教材、ソーシャルスキル、介護、猫の行動について投稿中です。

#猫ちゃんをフォローする
ソーシャルスキル
#猫ちゃんをフォローする
スポンサー広告リンク
猫ちゃんブログ

猫ちゃんブログへのコメント

タイトルとURLをコピーしました